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趣味の人生を楽しむサラリーマンの日記

完全ワイヤレス・ノイズキャンセリング・イヤホン SONY WF-1000XM3 レビュー

WF-1000XM3-201908


まず、僕のポータブル・オーディオに対するスタンスから。

もちろん、音が良いに越したことはない。でも音質至上主義ではない(音質は据え置き機に求める)。DAPについては携帯性や操作性の良さ、管理のしやすさ(ライブラリの扱いやすさ)、アルバムや曲の閲覧性の高さがまずは重要で、ここがダメだと使うことじたいにストレスを感じてしまう。最近のDAPは、携帯性に背を向けたサイズと重量、無線化していく世相に逆行する不便で取り回し性の悪いバランス・ケーブルの採用が、一部ポータブル・オーディオ・マニアに喜ばれており、個人的には、音質追求を口実に本末転倒な方向に向かっているように感じています(持ち運びと取り回しが不便な機器が重宝される場所ってどんなところなんだろう・・・)。

そもそも、基本的には雑音、騒音にまみれた屋外で聴くためのものがポータブル・オーディオ。良い音質を求めはするけれど、落としたり失くしたりする可能性があって、製品サイクルが短いポータブル・オーディオは価格も含めてソコソコのもので良い、というのが僕のスタンスです。DAPやケーブルに大金を投じるなら、同じ金額を据え置き機に投資した方が遥かに良い音質が得られるのは明らかで、ポータブル・オーディオ界の行き過ぎた音質追求と、音質追求に取り憑かれたマニアを相手にした商売には疑問を感じてしまうのです。すべてのオーディオ機器について言えることだけれど、その音楽がより魅力的に聴こえるようでなければ音質向上に意味がない、というのが僕の考えで、雑音の中で使用するポータブル・オーディオにおける小さな音質変化(音楽を聴くことを忘れ、音の違いに神経を集中させて違いを探し出さないと気づかないような音質変化)に意義を感じません。

ポータブル・オーディオにおけるヘッドホン/イヤホンについては、今やワイヤレスであることが必須条件で、電車通勤中の使用をメインにしていることからノイズキャンセリング機能の高さを重視しています。通勤で使う以上、携帯性も重要なポイントです。

現在、主に使用しているのはSONY WH-1000XM2ヘッドホンとWI-1000Xイヤホンで、前者は、飛行機や新幹線か、装着時に暑さを感じる6~10月以外の時期限定での使用。暑くない時期でも出社時の通勤では使えない(始業時から髪型が潰れているのは受け入れがたい)ので、主力機は後者になっています。そんな限られた条件でもWH-1000XM2を使っているのは、ヘッドホンの方がずっと音質が良く、音に柔らか味と温もりがあるから。WH-1000XM2でも、音質を追求した室内用途のヘッドホンに比べたらそれほど高音質というほどではありませんが、ポータブル用途の音質としては十分で、安心して音楽に身を任せることができるところが気に入っています。

DAPはこだわりの専用機ではなく、iPod Touchを使っています(iPhoneでも良いが曲が多すぎて容量が足りない)。他のDAPと比べて音質が劣るとは思っていない(地味めの傾向なのは事実ながら質が悪いとは思っていない)し、ライブラリの管理性と(好みのミュージックアプリを見つけることができれば)操作性がトータルで優れていることが選択の理由。僕の持論としては、DAPというものは機種ごとに音の傾向の違いこそあるものの、クオリティの差はそれほど大きいとは思えず、大した違いがないDAP機種の選別に時間と労力を費やすことに意義をあまり感じていません。カセットテープのウォークマンから使ってきた身からすると、今販売されているDAPはどれもポータブル用途としては十分に高音質で満足できるものです。

現在の主力イヤホン、WI-1000Xは、ノイズキャンセリングを含めて機能的に大きな不満はありませ。ただ、音質には不満があります。ロックやジャズを聴いているぶんにはその音質にもそれほど不満がないのですが、音源によっては、芳醇で優雅な響きを持つオーケストラの弦の音(特にヴァイオリン)がかなり人工的に聴こえてしまうところがあり、例えばベーム指揮ベルリン・フィルのブラームス交響曲第1番などは聴いていて気持ちが悪くなるくらい違和感があるのです(もちろんあくまでも僕個人の感覚の話であり、オケの音でも美しく聴こえる音源も多い)。また、BA型ドライバーのイヤホンは、どうにも温もりとパンチが欠けていると感じることが多く、僕の好みに合っていないようです。

この度、新発売となったソニーの完全ワイヤレス・イヤホンWF-1000XM3は、ダイナミック型ドライバーで、ひょっとするとオーケストラの違和感が少ないのではないか、ということに期待して購入しました。選択理由が完全ワイヤレスありきではないところは他の方は違っていると思いますが、完全ワイヤレスのイヤホンがどんな使い勝手で、通勤音楽ライフにどんなメリットがあるのか、という興味もあっての購入でもあります。

僕のノイズキャンセリング・ヘッドホン/イヤホン歴は以下の通り。
・BOSE QC2
・BOSE QC15
・BOSE QC20 ※
・BOSE QC30
・SONY WH-1000X
・SONY WH-1000XM2 ※
・SONY WI-1000X ※
※は現在も所有しているもの。

ソニーとボーズ以外の製品はノイズキャンセリング機能が弱かったり、携帯性が悪かったりするため、今のところ選択肢に入ってきていません。BOSE QC20以降のモデルのノイズキャンセリング性能はどれも十分なレベルにあり、近年の両社の製品はどれも満足できるクオリティにあります。WF-1000XM3は、完全ワイヤレス・イヤホンとして業界は最高レベルのノイズキャンセリングを謳っていますが、ヘッドホンや、有線・ネックバンド式イヤホンまで対象を広げれば最高ではないことをソニー自身が認めた物言いで、それでも今この時期に出す製品なら納得できるレベルにはあるだろう、と見込んで購入しました。

音質
WI-1000Xよりは情報量はやや落ちる印象ながら、屋外でのカジュアル使いであればその差は小さいと言って差し支えない程度の小差。低音から高音までバランスが良く、尖ったところのない聴きやすい(言い方を変えると低音も高音も抜きん出たところがない)タイプで、故に音源を選ばずうまく鳴らせる。BOSEのQC20/QC30と比べると音の見通しが良く、楽器のリアリティもなかなかのもの。10年前のイヤホンの水準を考えるとイヤホンも随分音質が良くなったなと思わずにはいられないし、現代の水準で聴いても音質はなかなか良いと言って差し支えないレベルだと思う。ただし、情報量や音のきめ細かさがとても高いとまでは言えないので、音質の要求度が高い人には物足りないかも。音源によってはどこか味気なく無味乾燥な音に聴こえることもあり、オーディオ機器としての主張、音の面白みには欠ける印象(押し付けがましくないとも言える)。一番気にしていたポイント、オーケストラの弦の音は、WI-1000Xよりは自然な音で表現できていて、これは個人的には喜ばしいポイントだった。それでも、安心して身を委ねられるほど自然な響きとは言い難く、本機でも人工的な匂いを完全に払拭できているわけではない。BOSEも含めてイヤホンでオケの弦の美しさを表現できているものに出会ったことがないので、ひょっとするとこの価格帯のイヤホンの限界なのかもしれない。誤解ないように付け加えると、人工的に聴こえるのは一部音源のオケの弦セクションの響きであって、美しく表現される音源も多く、ヴァイオリン独奏、ピアノはナチュラルで微妙なニュアンスを描く表現力があるし、ジャズの場合を含めて金管、木管の響きもこの価格の製品としては上々の音質、再生力を持っていると思う。

ノイズ・キャンセリング
総合的にはWH-1000XM2、WI-1000X、BOSE QC30をやや下回る印象。キャンセリングできる得意分野と不得意分野がはっきり別れている。低周波ノイズと高周波ノイズはかなりキャンセリングできていて、これまで使用してきたNC機の中でも最上位に来る。一方でその影響もあってか、人の声や駅の発車通知メロディなどがWI-1000Xよりもやや目立って聞こえる場面があるし、駅で聴こえてくる電車の走行音(線路との接触音)は結構聴こえてくる。車内にいるときの走行音のキャンセリングは優秀なので乗車中は音楽に没頭できる。

ちなみに、ノイズキャンセリングとは特に(空調、エンジンなど)機械的な騒音が発する低周波ノイズ、高周波ノイズを打ち消す技術で、飛行機や新幹線などで特に大きな効果を発揮し、そうしたノイズ成分の含有率が低い音(人の声など)のキャンセリングは得意ではない。ノイズ成分は文字通りノイズでしかなく、そのノイズ成分が多い環境では低音と高音がマスキングされて音楽が聴き取りづらくなってしまう(ロードノイズはじめ様々なノイズに包まれるクルマで音楽を聴くときに低音と高音が聴こえにくくなるのと同じこと)もので、そうしたノイジーな環境で、聴いている音楽のバランスが乱されないないことこそがノイズキャンセリング最大のメリット。一方でノイズキャンセリングを、外音キャンセル(すべての外音を打ち消すもの)と受け止めている人も少なからずいて、人の声が聴こえやすいことにネガティブな(ノイキャンってこんな程度か、話し声が聴こえてくるから使えない、のような)反応を示す声もネットではよく見かける。ノイズキャンセリング技術がどのようなもので、どのような効果を目的としたものかを考慮すると、人の声が比較的聴こえやすいことが欠点であるとは思っていない。ノイズ成分を大きく除去して、音量を上げなくても低音高音のバランスを崩さずに聴ければ、ノイズキャンセリング機能は優秀、というのが僕の評価軸になっている。

その観点で言うと、WF-1000XM2のノイズキャンセリング性能は優秀で実用的。中音域をよりカットできれば申し分ないとは思うけれど、現状でも十分満足できるレベルにあると思う。

装着感
カナル型として、ごく普通。イヤーピースが平凡で、BOSEの装着感抜群で遮音性に優れたStayhearイヤーピースと比べると見劣りしてしまうところはWI-1000Xと同様。イヤーピースのフィット具合によって、外音の遮断度合い、ノイズキャンセリングの効き、音のバランスが大きく変わってしまうのはイヤホンの常識ではあるけれど、この平凡なイヤーピースだと、そうしたフィットしていない、本来のNCや音質を損なう状況になりやすく、また気づかないうちに微妙に緩んでいる状況になっていることもある。完全ワイヤレス機としては個体が重く、大きいため、走ったときに落ちるんじゃないかという不安も少し感じる(ジョギング程度では落ちないでしょう、恐らく・・・)。

操作性
左右のタッチセンサーでいくつかの操作が可能。後述のHeadphone Connectアプリで左右にそれぞれ(あるいは両方とも同じ)機能をアサイン、またはタッチセンサーを無効化することができる。アサインできるのは、「コントロール機能」(曲の一時停止、再生、曲送り、戻しなど)、と「ノイズキャンセリング機能」(NCのON/OFF、アンビエントモードの切り替え、クイックアテンションモード)の2種類。
耳の収まり具合を微調整したりするときに不用意にイヤホンに触れるとタッチセンサーが反応していしまうけれど、イヤホンの外周をつまむように扱う習慣が身に付けば問題ない(WH-1000Xシリーズも右側は似たような注意が必要だった)。

ケースから取り出すと電源ON、ケースに収めると電源OFFとなるため、電源を入れる/切る操作を意識する必要はない(AirPodも同様らしい)。ケースへの出し入れ以外での電源を操作は、アプリでオフに一応できるものの、装着すると電源ONになる=ポケットに入れたりするとセンサーが反応してONになってしまうため、このイヤホンを使うときにはケース携帯が必須になる。

イヤホン内側にあるセンサーにより、装着、脱着を判別しており、音楽再生中にどちらかのイヤホンを外すと一時停止になる(アプリからその機能をオフにすることも可能)。1000X系のヘッドホンで好評だったクイックアテンション機能は、イヤホンを外したときに一時停止するのであれば特に必要性は感じない(片手でヒョイと外したり戻したりするのが面倒なヘッドホンだからこそ、右手をハウジングにかぶせるだけで外音を聞けるようにするクイックアテンション機能は便利だった)。

惜しいのはイヤホン側で音量調整できないところ。狭いタッチセンサー部に多くの機能を持たせることは難しく、上記「コントロール機能」「ノイズキャンセリング機能」を、NCイヤホンとしての基本操作と考えるとしたら、音量用調整機能が省略されたのは仕方がないかもしれない。個人的にはノイズキャンセリング機能はON固定でしか使わないため、代わりに音量調整機能をタッチセンサーにアサインできるようになっていれば良かったのに、と思ってしまう。ただ、このイヤホンは当然iOS/Android専用機というわけではなく、アプリで操作できない機器には同社の看板DAPであるウォークマンも含まれている。ウォークマン・ユーザーが使えない、アプリでしか使えない機能を実装して盛り込むことには商品戦略上、よろしくなかったのかもしれない。音質にかかわる機能以外のものを排除した、音質に注力した機器で聴きたいという、ごく一部のオーディオ・マニアがスマホとは違う専用プレーヤーを求めた結果、利便性が失われ、もうひとつの同社看板製品である無線イヤホン/ヘッドホンの機能をフルに使うことができないというジレンマが生じている(深読みしすぎか?)。

接続性
接続優先モードで使用して(音質優先モードで特に音質が向上しているように感じないので)みて、普段、通勤で使用している環境(都内地下鉄、駅など)で、音が途切れるケースは少なく、途切れても瞬断に留まる。とはいえ、ほとんど途切れることがないWH-1000XM2、WI-1000Xよりはやや切れ頻度は高い。この程度の発生頻度なら許容範囲でしょう。

DAPとの接続のマナーは従来のソニー機と同様。つまり、イヤホンの電源を入れると前回接続していたDAPにしか接続しに行かず、そのDAPの電源が入っていない(あるいはBluetoothがオフになっている)場合には、ペアリング済み接続可能状態の別DAPがあったとしても接続しに行かない。接続機器が固定でないユーザーにとって、この仕様は面倒。ペアリング済みのDAPが圏内にあれば、前回接続したか否かに関係なく自動で接続をリジュームしてくれる(いちいち設定画面を開いてBluetooth接続しなくても良い)BOSE製品の方が使い勝手が良い。

携帯性と扱いやすさ
完全ワイヤレスという、なんとなく自由度の高いイメージに反して、完全ワイヤレスであるが故に携帯性はそれほど良くはなく、取扱いに関してはむしろ制約が増えるように感じる。
イヤホンを外したらケース収納が必須(事実上、収納しないと電源OFFできない)で、ケースは厚みがあってポケットに入らないため、イヤホン本体がこれだけ小さくてもケースを収納するためのカバンを持って歩く必要がある。取扱いにおける最大の制約は、短時間聴くのと止めたいとき、あるいはこれから聴くんだけれど少し後のタイミングで聴けるようにしておきたい、というときにイヤホンの居場所がないこと。

例えばコンビニで買い物をするとき、ネックバンド式のWI-1000Xならイヤホンを外してダラッとぶら下げておけるけれど、完全ワイヤレスだと外したイヤホンは服やズボンのポケットに入れるしかない。ポケットに入れると装着センサーが反応して一時停止した音楽が再開されてしまうし、タッチセンサーの誤動作を誘発する可能性もあり。そもそも、無用な付け外しは落下、紛失のリスクも伴う。そうかと言って、ごく短時間の使用停止のためにカバンからケースを出して収納するのもあまり現実的ではない。

有線イヤホンだと上着の内ポケットに収めておいて、ネックバンド式なら首まわりに置いておいて、音楽を聴くタイミングになったら耳にセットすることができる。完全ワイヤレスだと、聴きたいタイミングになったときにケースからイヤホンを取り出して耳に装着するというステップをきっちり守らなくてはならない。耳に軽めに挿入し、外の音が聴こえる状態にしておいて音楽を聴き始めるときに押し込む、というやり方も普通のイヤホンならできるけれど、完全ワイヤレス・イヤホンだと落とすリスクがあってそれもできない。アンビエントモード(外音取り込みモード)にすれば、装着状態で周囲の音は聴き取れるとはいえ、それでも聴き取りにくいし、周囲の人から音が聴こえる状態だと見てもらえることはなく、装着状態での会話はそもそも失礼と考えているので僕にとっては現実的ではない。

アプリ
iOS、Andoroid端末ではHeadphone Connectというアプリでいろいろと設定などを操作できる。設定項目は従来とほぼ変わりなく、以下の通り。
・バッテリー残量表示(昔はインジケータ表示のみだったが今は%表示もされる)
・アダプティブサウンドコントロールON/OFF(自動外音コントロール)
・外音コントロール(NCレベルの調整)
・気圧調整
・定位設定
・サラウンドモードの切り替え
・イコライザー
・ヘッドホンを外したら一時停止
・音質モード(音質優先か接続優先か)
・DSEE HXのON/OF
・L/Rそれぞれのボタン機能の変更
・通知音と音声ガイダンス
・自動電源オフ
・着信時バイブレーションON/OFF
・ソフトウェアの自動ダウンロード

WH-1000XM2、WI-1000Xにあった、定位変更、サラウンド設定、気圧調整機能はない。また、イヤホンの電源OFFもできるようになっている。その場合、耳に挿入すると電源ONになるが、すなわちポケットなどに入れた場合にもONになってしまうことを意味する。

左右独立で接続しに行く仕組みのせいか、アプリを開いてから接続まで、WH-1000XM2、WI-1000Xよりもやや時間を要する。アプリでイコライザーをカスタマイズできるのは、ソニー製品だけの特長ではないけれど、同じアプリで同じように扱えるのは楽なもので、気がつけばソニー製ばかりが手元に残っているのはそのせいもあるかもしれない。どのヘッドホン/イヤホンもFLAT状態のバランスは好みではないため、イコライザーと調整のしやすさは僕にとって重要な項目である。
(余談)イコライザーを毛嫌いする人、邪道と決めつけて音に拘っていることを主張している人が、少なからずいますが、なぜイコライザーが良くないと思っているのかという疑問に立ち返った方が良いと思います。かつて、昭和の時代にはアンプにトーン・コントロール機能があるのが一般的で、その部分を音質劣化をもたらす余計な回路と考え、バイパスすることで音質向上が図れることを売りにする製品がその後主流になっていったことがあり、それを機にトーン・コントロールやイコライザーは音を劣化させるものという常識が多くのオーディオ・マニアが刷り込まれました。しかし、DAPやヘッドホン/イヤホンのイコライザーに余計な回路などあるはずがなく、単なるソフトウェアのバランス調整でしかありません。好みの音のバランスでもないのに、我慢してイコライザーを使わないという選択に意味があるようには思えません。

バッテリー時間
イヤホン単体の稼働時間はNCオン時で6時間というカタログ・スペック。片道1時間弱の通勤でしか使用していないため今のところ使い切ったことがなく、実測値はまだわかっていない。個人ブログで6時間以上稼働したという情報があり、これまでのソニー製品もカタログデータ以上は稼働していたので恐らく6時間は問題なく使えるでしょう。イヤホン単体の稼働時間を測定できていないのは、使用しないときにケースに収めるから(=充電してしまうから)でもある。通勤で使用している限り、(他社でも一般的な方式である)ケースがバッテリーを備え、ケースからイヤホンに充電する2段階充電の仕組みはとても理に適っていて、電池切れで使用不可にならないようにバッテリー残量を気にしなくて済むことは思っていたよりもずっと気が楽だということが、使ってみてようやくわかった。尚、WF-1000XM3は従来のソニー製品と異なり、残量をパーセンテージでアナウンスしてくれる。

これまでのノイズキャンセリング・ヘッドホン/イヤホンは、当然ながらバッテリーが切れてしまうと音が出ない、あるいはNCが使えない状態になってしまうため、バッテリー残量には常に目を光らせておく必要があった。しかし、ケースを介しての2段階充電だと、ケースバッテリー残量がゼロになってからイヤホン単独でも数時間使うことができるため、ケースのバッテリーが少ない、または切れたことに気づいてから(イヤホンをケースに戻してイヤホン本体の赤LEDがすぐに消えるとき=ケースの電池残量が少ない、赤LEDが点灯しない=ケース電池残量なし)充電すれば良い。
通勤での使用(1日あたり2時間未満)がメインの用途だと、ケースを介しての2段階充電は扱いやすく、理想的な仕組みのように思える。万が一、イヤホンのバッテリーまで使い果たしたとしても10分の急速充電で90分稼働できる機能もあり、バッテリー残量に神経質になる必要はないところはWF-1000XM2の魅力のひとつと言って良いでしょう。
ちなみに、WH-1000XM2、WI-1000Xでバッテリー残量を知りたい場合には、Headphone Connectアプリを開くか、電源ON状態のときに電源ボタンを押す必要がある。一方で、WF-1000XM2はイヤホンをケースから取り出して電源ONになった直後に残量をアナウンスしてくれる。主体的に見に行かないと残量がわからないのと、受動的であっても把握できるのとは大違いで、電源ON時のバッテリー残量アナウンスは全機種に実装してもらいたいところ。

その他
ケースの底面が丸みを帯びていて自立しない(前モデルはできた)ようになっているのは使い勝手が悪い。カバンに入れたり、ただ置いておくだけであればもちろん問題ないけれど、イヤホンを収めるときにケースを立てておけないデザインの意図がよくわからない。

デキが良いWF-1000XM3の登場により、ネックバンド型のWI-1000Xの価値が下がったと捉える人が多いことでしょう。WI-1000Xは、完全ワイヤレス機とと比較して、

・スーツの襟周りにネックバンドの収まり具合が良くない(少し浮く。BOSE QC30はそうならない)
・冬場のマフラー装着時にネックバンドとケーブルが邪魔になりやすい(この形状の宿命)。
・Tシャツなど襟なし服のときに皮膚に直接当たって異物感がある(夏場は気持ち悪い)。

という使い勝手の悪さがある。しかしながら、WI-1000Xの方が優れている点もある。

・バッテリー連続稼働時間はWI-1000Xの方が上(約11時間)で長距離フライトの連続使用に耐える。
・有線も使用できるため、飛行機内の映画鑑賞などにも使用できる。
・音量調整をイヤホン側でできる。
・イヤホンを耳から外してもダラッとぶら下げておける。
・電源OFFし、外してカバンに無造作に押し込むことが片手でできる。
(WF-1000XM2はカバンからケースを取り出して両手で収めなくてはならない)

総論
前機種の「ないよりはマシかも」のレベルより大幅に機能向上した実用的なノイズキャンセリングを備えた完全ワイヤレス・イヤホンとして、現状では唯一の存在と言って良いでしょう。音質もまずまずで、バッテリー駆動時間も完全ワイヤレス・イヤホンとしては上出来、特に通勤用途では問題ないレベルにある。総合的に見てよくできていて、妙な癖もないので広くお勧めできます。特筆すべきは、従来のノイズキャンセリング・ワイヤレス・イヤホンよりも価格を抑えている(発売当初34,000円だったWI-1000Xより10,000円も安い)ことで、この値段でこれだけの機能と音質を備えた製品をいち早く出したことで、カジュアル・リスニング用途に向いた製品としては頭一つ抜け出した存在と言って良いでしょう。他社から競合製品が今後どんどん出てきて選択肢が増えることを望みたいところです。

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