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趣味の人生を楽しむサラリーマンの日記

思ったよりずっと面倒 - 遠近両用メガネ作りの紆余曲折

メガネ201805

僕は視力が0.1ということもあり、進みつつある老眼への対処はメガネのレンズ外に目線を外す(あるいはメガネを外す)という原始的な方法で逃げてきました。とはいえ、さすがに50歳を過ぎてくると混雑した電車でスマホを見たり文庫本を読んだり(そういえば最近は電車の中で本を読んでいる人をまったくと言って良いほど見かけなくなった)するときに苦しく感じることが増えて面倒に思えてくるようになってきました。というわけでついに観念して遠近両用メガネを作ることに。

現在、普段使いのフレームとしてダーウィン(マルマン)というブランドの黒色チタンで細いフレームのものが1本、ポールスミスの茶色セルフレームのものが1本、それ以外に調光レンズでサングラス代わりとして使っているレイバンの黒いセルフレームが1本、の以上合計3本を常用しています。いずれも3年以内に購入したもので、劣化もなく、デザイン的にもまだ使えるものであるため、3本とも遠近両用レンズに総入れ替えすることにしました(度が異なるメガネを併用するのは結構キツイので)。

遠近両用メガネなんて、レンズ下部の度を弱くするだけでしょ、と安易に考えていたんだけれど、これが結構紆余曲折があったので書き留めてみました。この情報は、ネットで調べただけではなかなかわかりにくいもので、これから遠近両用メガネを作ろうという方のために参考になれば幸いです。

【まずは1本作ってみた】
まずは、メガネ屋さんに行って遠近両用メガネを作りたいという相談をしてみる。メガネはかれこれ10年くらい同じ度数で作っていて、視力が落ちているという実感もなく、日常生活でもクルマの運転でも困っているわけではないことを伝えたものの「一度、しっかり調べてみましょう」と言われじっくり検眼をすることに。結果、視力は以前より落ちていたようで、5段階上げたところ(段階は0.25刻みなので数値にすると-1.25)がもっとも遠くが見通せる度数ということになった。日本では、ピークよりも数段階度数を落とすのが一般的で、急に度数を上げると違和感が多くなることも考慮して、2段階アップ(-0.5)に留めることにする。あとは老眼部分をどのくらい落とすかというところで、手元の小さい文字を見ながら+1.50(6段階落とす)ことすることで仕様が決まった。ここまでは遠近両用メガネを作ったことがない人でも想像がつく流れ。

次はレンズ選びに入る。近視用メガネであれば、コーティングやら何やら細かいポイントはあるものの、実際には屈折率=薄さを選ぶだけで良い。僕の場合、この度数だとかなりぶ厚くなってしまうので細いフレームの場合には屈折率1.76、太いフレームなら1.60でいいかな、などと判断することになる。とりあえず1本目はフレームが太いポールスミスのフレームに従来と同じ屈折率1.60のレンズを選ぶ。しかし、遠近両用は薄さ以外のファクターでレンズにさまざまなグレードがあり、お値段もかなり違っていることが店員の説明でわかってきた。

ごく大まかに言うと、遠近両用レンズはグレードによって見え方が違うとのこと。グレードが高いほど遠くが見える近視領域が広く歪みが少ないという説明を受ける。現状、まだ老眼の度数が弱い(=遠近の度数ギャップが小さい)ことと、上位グレードは大幅にお値段が高く(最上位だと1組で10万円近く)なることから、エントリークラスで良いでしょう、ということになった。

できあがってみると、思ったほど小さい文字の読み取りが楽になった感じがしない。近視度数を2段階上げたので近くがむしろ見づらくなってしまったことがその一因。それでも目線をレンズ下部に移すとやはり手元の細かい文字は幾分見やすくなっていることを実感し、初の遠近両用メガネは機能的に満足できるものに仕上がった。

【もう1本をネットで作ってみる】
以前の記事で、ネットのショップでレンズを入れると旧来の街のメガネ屋よりもかなりお安くメガネを作ることができると書いたこと(http://buhaina.blog.fc2.com/blog-entry-206.html)がある。今回検眼しなおした度数の数値は入手済みなので、もう1本はネットで注文してみることにした。ダーウィンのフレームは細いので、一番薄い屈折率1.76のレンズでないと見た目がかなり悪くなる。2本のうち、こちらを後回しにしたのは薄いレンズほどネットで作るときの価格メリットが大きくなるから。

調べてみると遠近両用レンズでもネットショップなら街のメガネ屋の1/3以下とやはり圧倒的にお安い。ならばとエントリークラスよりひとつ上のスタンダードクラスを選択。同じ度数で注文して仕上がり待つ。

出来上がってきたメガネを着けてみると、なんと見え方がポールスミスに入れたエントリークラスのレンズと全然違う。グレードを上げたからより見やすくなるかと思ったら全くの反対で、むしろ見づらい。

遠近両用レンズは、レンズ中央部が近視度数に合わせたものになっており、真正面を見たときに遠くがもっともよく見えるようになっている。下部に視線を移すと度が弱くなるのは誰もが知っているところで、更に加えるなら下だけでなく上も横も端になるほど度が弱くなる。これは最初に作ったポールスミスのフレーム=エントリークラスのレンズでも同じではあるものの、スタンダードクラスのレンズで仕上がったメガネだと横目を使ったときの度の弱さが明らかで、例えばテレビを少し横目で見たりするとだいぶぼやけて見えてしまう(エントリークラスのレンズでは少しぼやける程度)。これはレンズ側方に限った話ではなく、レンズ下部に向かって度が下がるところもスタンダードクラスの方がぼやけ始める位置が早く、3メートル弱の距離から100インチスクリーンで映画を見ていると視界下部に来る字幕が少しぼやけてしまう(エントリークラスではほとんどぼやけない)。要はスタンダードクラスの方が近視度数のスイートスポットが全体に狭く、目線が中央から外れたときの遠方のぼやけ方が大きくなってしまう。

これはレンズの仕様以外に何か問題があるのではないか?と思い。最初に遠近両用レンズを作ってもらったメガネ屋さんに相談してみた。

作った2本のレンズのフレーム共に、最近のデザインに多い、やや丸みを帯びたスクエア形状で面積も余裕があるもの。レンズの形状や面積がまったく違うというほどではなく、それが見え方の大きな違いになっているとは考えにくい。

ポールスミスのセルフレームは鼻バッドがフレーム直付けなのに対して、ダーウィンのフレームは曲線の延長部分を介して鼻パッドが付いているため、目とレンズの距離が少し遠くなる。遠くなると目線を横にずらしたときによりレンズの端を通して見ることになるのでボヤけやすいのではないか、ということで、フィッティングを調整して目とレンズの距離を両者で近づけてもらうと多少は良くなった。しかし、構造が違うフレームでレンズと目の間の同じ距離にするのは無理があるし、根本的には改善されていない。あと、PD(瞳孔間距離)が2ミリ違っているとのことでネットで作ったレンズの方が左右で1ミリずつ中心が内側寄りになっていて、その影響があるかもしれないとの見解をいただいた。

【レンズの仕様違い】
今度はネットショップにPDの違いによる影響を質問してみる。しかし、PD 2ミリの違いではそこまでの影響は考えにくいとのこと。そこでレンズのメーカーに問い合わせて調べてくれることになった。

ここまでの話、実はエントリークラスと書いてきたレンズはセイコー製のヴィジオDSという製品で、スタンダードクラスと書いてきたのは同じくセイコー製のパシュートNVという製品。ヴィジオDSはセイコーに限らず累進レンズ(端に行くほど度数が連続的に緩くなってゆく現在一般的な遠近両用レンズ)の中では特殊な設計で、レンズのアイポイントがレンズの水平線の2ミリ上方に設定されており、水平線から2ミリのところでは累進帯(度が低くなる)が発生しない、要は横目で見たときにスッキリ遠くまで見えるレンズであることが判明。パシュートNVを含む他レンズのほとんどは累進帯が4ミリに設定されていおり、横目で見たときにアイポイント位置から累進帯(端に行くほど度数が下がる)と見える傾向にあるらしい。

メーカーのWebサイトの説明は視界の歪みが少なく遠用視野がクリアに広く見えるアピールすることに重点が置かれていてようで、説明とイメージ画像だけを見ているとエントリークラスよりもスタンダードクラスの方が優れているんじゃないかという印象を受ける。でも、僕は歪みはほとんど気にならないためスタンダードクラスのメリットがあまり感じられず、側方視界の見通しを重視した場合、今回選んだエントリークラスのヴィジオDSの方が見やすいことがわかった。実はWebサイトをよく読むとヴィジオDSの説明には遠用視野が広いことが確かに謳われており、僕が感じた通りのことが説明されている。しかし、他のレンズを含めてWebサイトにあるイメージ図はどれも側方の視界が広く見えるように読める(良くないとは書かないでしょうね)説明ばかりで、これまでに遠近両用レンズを何種類も使って試した人でもなければ高いレンズを選んでおけばより見通しが良いだろう思ってしまうような気がする。

メガネ屋にあるレンズカタログの説明も似たようなもので、自ら遠近両用レンズを使用している店員の説明もそれを補足するほどのものはなかった。見え方がどのようであってほしいかは完全に個人の好みであり、側方視界は重要ではなく、近視領域が狭いパシュートNVの方が近くが見やすいから良いという人もいるはずで、どのレンズが使いやすいというのは一概には言いにくい。

ちなみに、メガネ屋の店員さんはかなり親身になって話を聞いてくれて、フィッティングをあれこれ試してくれて、とても良く対応してくれた。ベテランで知識もそれなりにあるように見えた。それでもレンズ製品ごとの特性までは把握しきれていなかった。レンズ製品ごとの特性にバリエーションが多いと、踏み込んだ知識を持っている人は少ないのかもしれない。

今の僕はこれまで使ってきた通常の近視用メガネが基本状態で良く、視線を下にズラしたときに近くが見やすくなってほしい、という希望だったので、その特性に近いエントリークラス(ヴィジオDS)が一番合っていたことになる。結局、ダーウィンのフレームもエントリークラス(ヴィジオDS)に作り変えてもらったところ、ほぼ同じ視界(それでも目とレンズの距離が広いので若干側方視界はボケる)になり、ようやく自分の望んだ遠近両用メガネが2本揃うことになった。

【調光レンズはどうだったのか】
残る1本の調光レンズは、これまでと同じエクストラアクティブという調光機能の製品を選び、その場合にはセイコーではレンズの商品が用意されていない。よって、昭和光学製のスマートSPというレンズを入れることになった。これはアイポイントが水平線から4ミリ上方の仕様のレンズになる。ならば、横目で見づらかったセイコーのスタンダードクラス、パシュートNVと同じように側方遠方視界が悪くなるはず。ところが仕上がったものを装着すると、これがまったくそんなことはなく、側方視界もスッキリ見える。ポールスミスのフレームとヴィジオDSの組み合わせと同じように、下を覗き込んだ場合以外は、どのように視線をずらしてもあまり度の低下を感じない。

こうなってくると、近視度数の視界の広さは単にアイポイント位置の設定だけで決まるものではない、ということになってくる。

【まとめ】
遠近両用レンズは、同じ度数の仕様で作っても視界は大きく異る、ということが実際に複数のレンズで作ってみてようやくわかりました。セイコーのヴィジオDSとパシュートNVをしばらく併用していたとき、パシュードNVの側方視界がかなりボヤけて見えたのはストレスを感じるレベルの差異で、併用は厳しいと判断して、ヴィジオDSに統一せざるを得ませんでした。遠近両用レンズでどんな視界を望むか(側方視界が遠くまで見通せた方が良いのか、それでも良いから近くが見やすくなった方が良いのか)によって、その人にとっての最適なレンズは、グレードや値段に関係なく違ってくるようです。尚、ネットの情報によると度が強くなると歪みが増えるようで、そうなるとグレードの高いレンズのメリットを感じやすいのかもしれません。僕はエントリークラスでも歪みはまったく気になりませんでしたが・・・。

また、フレームが違えば、目とレンズの距離、目がレンズのどの高さに位置するのか(アイポイント)も当然違ってきます。似たようなフレームの形状であっても、鼻パッドの位置はそれぞれ異なり、レンズの形や面積が微妙にそれぞれ違っていて、フレーム構造に由来する不確定要素、それによる視界の違いは小さくないでしょう。セルフレームのものは目とレンズの位置が近くなるため近視度数領域が広くなる傾向はあると思います。あとはレンズの特性で遠用視野が広いものを選ぶと、近視用メガネに近い(違和感のない)見え方になりますが、どのレンズが該当するかは体験に基づいた知識のある人にアドバイスしてもらわないと有用なものにならない可能性が高いところが難点です。

1万円以下でレンズとセットのメガネを販売しているショップが増えた今、3~5倍の値付けをしている旧来のメガネ店は、レンズごとのサンプル、各種フレームを用意して、ユーザーに合ったメガネ選びを提案できるようにしてほしいものです。高齢化社会が進む中で必要なサービス、かつ高くても選んでもらえるお店となるためにサービスの充実が必要ではないかと思いますが、いかがでしょう?

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