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趣味の人生を楽しむサラリーマンの日記

ガッティ指揮 ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団 2017年日本公演

ガッティRCO-2017 Live

コンサート通いをはじめてかれこれ4年半が経過し、有名、無名、海外、国内のオーケストラを聴いてきたけれど、これまで聴いてきた中で一番素晴らしいと思ったオーケストラはロイヤル・コンセルトヘボウ。2013年に観た東京文化会館のコンサート(ヤンソンス指揮でストラヴィンスキー「火の鳥」、チャイコフスキー交響曲第5番)は、その美しさと雄弁な歌い方を今でもすぐに思い出せるほど記憶が鮮明に残っています。その後もCDやDVDで、芳醇、滑らかで美しい音色、よく言われるビロードのようなサウンドに魅せられ続け、今ではもっとも好きなオーケストラと胸を張って言うまでになっているというわけです。今回の来日はダニエレ・ガッティが音楽監督に就任してから初めての日本ツアーで、その点が楽しみであること加えて、プログラムが魅力的だったため、東京公演に2日連続で行くことにしました。


2017年11月20日
サントリーホール
指揮:ダニエレ・ガッティ
演奏:ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団
【演目】
ベートーヴェン: ヴァイオリン協奏曲(フランク・ペーター・ツィマーマン)
(アンコール)J.S.バッハ:無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第2番より「アレグロ」
ブラームス: 交響曲第1番

ベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲は、2016年春にレイ・チェンをソリストに迎えた佐渡裕とトーンキュンストラー管弦楽団の演奏を聴いたことがある。レイ・チェンのヴァイオリン演奏はが瑞々しく素晴らしいと思ったものの、曲そのものは冗長で変化に乏しくあまり面白いとは思えなかったというのが正直なところ。

ハイドンやモーツァルトの協奏曲ほどではないにしても、編成は小さめのこの曲、穏やかに始まる最初の30秒で、滑らかでリッチなサウンドが滲み出て来る。ああ、4年前に聴いたときと同じだなあ、と思わず頬が緩んでしまう。ツィマーマンは、品良く穏やかに、それでいて美しく歌い、時に情感も顕にするという、余裕たっぷりの見事な演奏。比べるものでないことを承知の上で言うと、レイ・チェンの演奏は(良い悪いの問題ではなく)今思うと若さと力強さが全面に出た別モノだったのだと今になって思う。同じ曲でこうも違うものかと驚いてしまう。ツィマーマンは、ソロが休みのときでも第1ヴァイオリンのパート(時にはヴィオラのパートまで)を弾くという、演奏そのものを楽しむ余裕まで見えて、力まなくても聴き手を魅了できることを示していたように思う。ツィマーマンのしなやかさとオケの音色が見事な一致をしているところも見事でした。

メインはブラームスの交響曲第1番。

ブラームスの交響曲はすべてが素晴らしいと思っていて何度かコンサートに足を運んでるものの、これまで深い感銘を受けた演奏に出会ったことが一度もなく、次は是非超一流のオケで聴いてみたいと思っていました。コンセルトヘボウなら実力的には文句なし。

重厚に始まる第1楽章。テンポは適度に早くもなく遅くもなく丁度良い塩梅。いや少し早めか?それにしても、金管、木管の各パートの上手いこと上手いこと。全部のパートが上手いだけでなく、バランスが取れていてアンサンブルも見事で、オケ総体の実力として本当に素晴らしい、と途中何度も唸ってしまった。弦があまりにも艶々しているのでドイツ的な渋みが欲しい人には少々物足りないかもしれないけれどその弦の確かな歌い方も見事なもの。第4楽章ではテンポをぐっと落として始まり、途中は早めで終盤はまた遅めという展開。最近リリースされたマーラーの2番のSACDもそうだけれど、ガッティはテンポを落とすと決めたところはガクンと落とす。ただ、この日は第3楽章までのテンポ感と第4楽章のテンポ感のつながりがあまり良いように思えなかった。それでもこれだけの音で聴けたブラームスに満足。艶々なブラームスはこれでこれでアリでしょう。

尚、この日と同じプログラムで11月3日の演奏がラジオで聴けます。参考までに。
https://t.co/9tRED7BIQJ?amp=1

2017年11月21日
サントリーホール
指揮:ダニエレ・ガッティ
演奏:ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団
【演目】
ハイドン:チェロ協奏曲 第1番(タチアナ・ヴァシリエヴァ)
(アンコール)J.S.バッハ:無伴奏チェロ組曲第3番より「プレリュード」
マーラー:交響曲第4番 (ソプラノ:マリン・ビストレム)

近年、サントリーホールではもっぱらL/R席を選んでいます。できることならお安めの席で、というのもありますが、これらの席はなんと言っても演奏者が目の前にいて、音が近く、指揮者や演奏者たちの機微がはっきりと見えるところが魅力。しかし、昨年ウィーン・フィルで第9を聴いたときに、重大な欠点があることを思い知りました。歌手を後ろから聴く形になり、当たり前のことながら歌がまったく届いてこない。そんなわけで今回は久しぶりに正面側の席を選んでみました。

ハイドンのチェロ協奏曲は、室内オーケストラの規模にコンセルトヘボウのチェロ主席がソリストとあって、どこかアットホームな雰囲気。ガッティはオケにお任せ状態で、ときどき体を動かす程度。席の関係で前日よりも音がやや音が遠いものの、音のバランスが良く、オケの美音は相変わらずで典雅。曲としてはそれほど面白いものではないものの、こうした曲もたまにはいいものです。

マーラーの4番は、木管パートに聴かせどころが多く、コンセルトヘボウはまさにうってつけ。実際、素晴らしく艶のある音で魅了してくれたし、見ながら聴いてみて木管のオーケストレーションの面白さもたっぷり味わうことができた。ホルンとトランペットも上手さが際立っていて、聴き惚れることしばしば。ところが、ここのところの仕事のストレスのせいか曲がどうにも僕の内面に突き刺さってこない。こんなに良い演奏だというのに。急に部分的にテンポ早めるところがちょっと気になりはしたんだけれど、そんなことに眉をひそめるほど僕は神経質ではない。第3楽章の終盤に舞台右袖からソプラノ歌手が登場し、ティンパニの右隣に立ってそのまま第4楽章に入るという演出。個人的には、この楽章の歌は透き通るような率直な歌い方が好みなんですが、代役の歌手は微妙に揺らす感じ。そんなところもあまり心を動かされなかった理由なのかもしれない。僕は、どのようなスタイルで演奏されたとしても自分の「こう在るべき論」といのはなるべく持たないようにして、「この指揮者はこう表現するんだね」と受け止める方だと思っているんですが、肌に合わないということはあるのかも、と思ってしまった。

繰り返しますが、オケの実力は本当に文句なし。CDでは感じ取ることができない至上の音色はやはり生で聴いてこそ。ただ、両日とも感動にまでは至らなかったのはガッティの唸り声(こんなに大きな声出している人初めて見た)と、個性的なテンポ設定に馴染めなかったからかも。ガッティの指揮には音楽の流れの悪さみたいなものを感じてしまう。うーん、ないものねだりをしてもしょうがないんですが、ヤンソンスで聴いてみたかったというのが正直なところ。とはいえ、ガッティもまだ音楽監督に就任して日が浅いので、これからもっと熟れてくるかもしれません。

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