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趣味の人生を楽しむサラリーマンの日記

ネルソンス指揮 ボストン交響楽団 2017年日本公演

ネルソンスBSO201711

2017年11月8日
サントリーホール
指揮:アンドリス・ネルソンス
演奏:ボストン交響楽団
【演目】
モーツァルト:フルートとハープのための協奏曲
(アンコール)
イベール:間奏曲
ラフマニノフ:交響曲第2番
(アンコール)
ラフマニノフ:ヴォカリーズ

ボストン交響楽団は、前回、2014年来日時に行く予定だった。マゼールの体調不良(その2ヶ月後に鬼籍に入る)で来日がキャンセル、チケットを払い戻したから。代役だったデュトワが嫌いというわけではないんですが、マゼールのマーラーが聴きたくてチケットを買ったので行く気が失せてしまったんです。とはいえ、アメリカのメジャーオケであるボストン交響楽団そのものにも強い関心があったのは事実で、次の機会を伺っていて、ようやくその機会が訪れました。

一方、2013年の秋にバーミンガム市交響楽団を率いたネルソンスは聴いたことがある。ネルソンスは今でももちろん若いんですが、当時は更に若手というイメージで、ステージではラフな服装で指揮台の足を踏み鳴らして(ツイッターでは紙相撲指揮とか言われていた)のエネルギッシュな指揮ぶりが印象的だった。その時の印象やCDで聴く限り、若い指揮者にしては少々前時代的なロマンチックな演奏スタイルで、個人的には結構好きな部類。

そんなネルソンスは、その後ボストン交響楽団の音楽監督に就任。ボストン交響楽団という評価の高いオケを得て更に活躍している印象で、そんな上り調子のコンビを楽しみに会場へ。

モーツァルトはボストン交響楽団の主席フルート奏者であるエリザベス・ロウと同首席ハープ奏者のジェシカ・ジュウがソリストを務めての演奏。軽快なテンポで始まり、室内オーケストラのような小編成(木管はオーボエ2本、金管はホルン2本だけ、チェロとコントラバスはそれぞれ4本2本)のオケは抑えめに優しい音色で軽やかに音を紡ぐ。その後も典雅な終始モーツァルト・ワールド。もともと音量が大きくない楽器の協奏曲、モーツァルトはかくあるべしという感じ。ただ僕は、小奇麗な美音を味わうことはできても、曲そのものはあまり面白いものではないと思っていたので、心地よすぎてやや眠くなってしまうことに。もっと人生経験を重ねればこういう曲の良さもわかるようになるんでしょうか。アンコールのスパニッシュ風味デュオの方が面白く聴けました。

ラフマニノフは一気の編成が大きくなる。しかし、マーラーやストラヴィンスキーのように金管と木管の物量を投入する編成ではないところが違う。今回、初めて生演奏に接してみて、ラフマニノフはオーケストレーションは独特であることを実感しました。まず、木管を聴かせるパートはあるものの、明確にスポットライトを浴びるかのような曲の作りにはあまりなっておらず、ソロの見せ場も少ない。例えばオーボエがソロを取っているかと思うと、ホルンやクラリネットが静かにサポートしていたりする。ベートーヴェンやブラームスのようなきっちりとしたパートの組み立て、流れと比べると構成がモヤっとした感じ。また、ボストン交響楽団の木管部隊は、個人技はまずまずでも聴き惚れるレベルとまでは言えないところがそう感じさせた理由なのかもしれない。金管はやや音が荒く、合奏時の精度ももうひとつ。でも、アメリカのオーケストラらしい馬力は流石でした。

曲そのものはロマンティックで濃厚な甘さを持ち味とするだけに、弦の表現が求められるところで、その点はもう文句なし。ネルソンスの芸風もあって、ゆったり、ねっとりと奏でる弦は雄弁に歌い、やや明るさを伴う音色はこれまで聴いたオケの中でも最上級の美しさ。ラフマニノフはこのくらいやっちゃっいましょうという潔さが良い。席の正面に位置していたせいか、チェロやコントラバスの余裕たっぷりの鳴りっぷりも印象的でした。

僕はオーケストラの演奏精度はそれほど高いレベルを求めていません。それよりも気持ちよく楽器が、オケ全体が歌っている演奏を好みます。ちなみに、ピアノのレッスンを受けるようになって改めてわかったのは、楽器の上手い人は力まずともクリアかつ大きな音が出るし、弱音はより繊細な音を出すことができるということ。そしてそれらを組み合わせて音楽を音楽らしく表現する方法を身に付けている。「よく歌っている」と感じるのは、そのような技術と表現力が一体となってはじめてできることだと思います。そして、「よく歌っている」演奏が一番僕の琴線に触れる。そうした観点で、ボストン交響楽団の演奏はとても素晴らしく、次の機会も是非聴いてみたいと思わせるオーケストラでした。

一方で、ラフマニノフの交響曲第2番はロマンチックの極北に位置する個性を持ちつつ、その甘さが時に気恥ずかしささえ感じさせるもので、ドイツやウィーンの音楽の格調高さや、フランス音楽のような洒脱や洗練といった、どこかピリっとした要素がほとんどなく、構成もやや冗長。平たく言うと、あまり面白くない。それは行く前からわかっていたことだけれども、やはり実演を一度聴いてみないことにはと思ってこの日のプラグラムを選び、しかし実演に触れてもその印象は変わりませんでした。モーツァルトと合わせて、この日のプログラムは僕向けではなかったようです。ラフマニノフを聴きながら、「ああ、このオケでマーラーやチャイコフスキー(特に「弦楽のためのセレナード」あたり)を聴いてみたい!」なんてことを考えていました。やはりプログラムの選択は大事ですね。前日(ショスタコーヴィチの11番)を選んでおけば良かったかも、と少し後悔したコンサートでした。



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