FC2ブログ

Enjoy Life, Enjoy Hobby

趣味の人生を楽しむサラリーマンの日記

シャイー指揮 ルツェルン祝祭管弦楽団 2017年日本公演

シャイーLFO_201710

2017年10月6日
サントリーホール
指揮:リッカルド・シャイー
演奏:ルツェルン祝祭管弦楽団
【演目】
ベートーヴェン:エグモント序曲
ベートーヴェン:交響曲第8番
ストラヴィンスキー:春の祭典
(アンコール)
ストラヴィンスキー:火の鳥より「魔王カスチェイの凶悪な踊り」

それまでまったく耳を傾けることもなかったクラシックを自分の意思で聴き始めてこの秋で早5年。翌年の春からコンサート通いを始めて、実に多くのオーケストラに触れ、今では演奏の善し悪しもだいぶわかるようになってきたもの自負しています。一時期は海外のオケなら何でもかんでもという感じで行っていましたが、今秋は行きたいものに絞ってチケットを購入。厳選しただけにひとつひとつが楽しみな今シーズン。

ちょうど4年前の秋、日本は大変なことになっていたのです。ウィーン・フィル、ベルリン・フィル、コンセルトヘボウがほぼ同じ時期に来日し、各地でコンサートを行っていたから。その同じ時期に、同じくらいの高い価格設定でチケットが販売されていたのがアバド率いるルツェルン祝祭管弦楽団。クラシック初心者の当時は、名前も聞いたことすらなく、いくらアバドが有名な指揮者だからといってこんなにチケット代が高いのか、くらいにしか思っていなかったことを思い出します(結局アバドの体調不良によりキャンセル)。その後、このオケの成り立ち、アバドとの深い関係を知るようになるわけですが、マーラーのブルーレイ・ボックスを観てその演奏の素晴らしさに感銘を受けて以来、もっとも聴いてみたいオケのひとつになっていました(余談ながら、このブルーレイは画質、カメラワーク、録音のいずれもが素晴らしく、マーラー愛好家なら必聴必見)。

残念ながら、アバドは鬼籍に入ってしまったものの、ルツェルン・フェスティバルもオケも継続され、今はリッカルド・シャイーがアバドの跡を継いでいます。シャイーについては、正直なところそれほど良い印象がなく、オケのメンバーもだいぶ変わったという話もあったので期待半分不安半分でサントリーホールへ。

オケのメンバーがステージに上がると、メンバーが結構変わったと言われていたものの、ビデオで見覚えのある顔がやはり見える。個人的に、聴き惚れるレベルの演奏家だとと思っているトランペットのラインハルト・フリードリヒ、ティンパニのレイモンド・カーフスがいるのが嬉しい。

まずはベートーヴェンのエグモント序曲。さすがに個人技がしっかりしていて上手い。弦の音は美しく、木管も金管も澄んだ音でよく歌っている。一瞬アンサンブルが乱れて音のフォーカルが甘くところも散見されたとはいえ、オケの地力は確か。

交響曲8番は、ゲヴァントハウスの録音ほどでないにしてもシャイーらしいキビキビとした進行で、強弱のアクセントもメリハリのある演奏。正直なところ、ベートーヴェンの交響曲の中では最も地味なこの曲、こうして見ながら聴いてみると木管の構成がしっかりと練られていて良く出来ているなあと感心してしまう。もちろんその木管の上手さがそう感じさせている理由のひとつだったのは間違いない。

ストラヴィンスキーになると編成が一気に倍増。特に金管と木管の人数が圧巻で、見慣れない楽器も多数あり、その規模と楽器の種類の多さはマーラーの交響曲をも凌駕する壮大なものになる。イントロのファゴットの音の引き方がこんなに長いのは初めてで、しかし不自然でも嫌味でもないのは、聴衆の耳を独り占めするに足りる上手さあってのこと。曲が進むに連れ、膨大な数の金管と木管が複雑に絡み合い、普通なら個人技の見せ場と言えるパートが瞬時にあちこちに切り替わり、更に同時進行して行く様は壮観で、マーラーを聴き慣れた耳でもソリストを目で追いかけるのに苦労する。これは、聴いて面白いだけでなく見ても楽しい曲(1階席だと面白さ半減のような)。ティンパニのレイモンド・カーフスは見せ場たっぷりで名人芸を堪能できて大満足。オケの技量を要求される難曲を、この質の高い演奏で聴けたのは素晴らしい体験でした。

この日のプログラムは、トータルの演奏時間で70分程度で、弦を朗々と歌わせる選曲というわけでもなかったため、やや物足りなさがあったのも事実。しかし、アンコールで火の鳥「魔王カスチェイの凶悪な踊り」を迫力のノリで聴かせてくれたことでそんな不満も吹っ飛んでしまった。ここまでステージ脇に据えられていながら使われていなかったシロフォン、ハープ、ピアノがこのアンコールのためだけのものだったとは。なんという贅沢!

終演後は、オケのメンバー同士でにこやかに称え合い、チームワークの良さも見えた良いコンサートでした。やはりオケのメンバーが楽しそうにやっているコンサートは良いですね。

該当の記事は見つかりませんでした。