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趣味の人生を楽しむサラリーマンの日記

「ベイビー・ドライバー」(ネタバレあり)

ベイビー・ドライバー201709

ごく限られた映画館のみで上映され、評判が良いことから徐々に上映館が拡大、近所のシネコンでもようやく遅れて公開してもらえるようになったこの映画。

監督のエドガー・ライトは英国若手新進気鋭の注目株で、僕が見たことがあるのは「ワールズ・エンド 酔っぱらいが世界を救う!」だけ。これ、かなりイッちゃってる映画で、サイモン・ペッグのキャラと相まっていかにもインディペンデントな如何わしいムードが濃厚な映画でした。今回は、ついにハリウッド進出で舞台はアトランタ、俳優もアメリカ人が中心という作りになっています。

タイトルが出るまでのオープニング・シーケンスが痛快。仲間が強盗の間、クルマで待っている主人公ベイビーがiPodを操作して音楽を再生しはじめる。音楽に合わせてステアリングやドアを叩き、雨が降ってもいないのにワイパーを動かしてリズムと同期させながら体を揺らす。妻には僕みたいだと言われたました(苦笑)。強盗を終えて逃げてきた仲間を乗せてからがベイビーの仕事。驚異的ドラテクで警察を煙に巻く。

カーアクションと言うと、単にクルマの姿勢を乱すだけの見せかけであるものが今でも少なくないけれど、この映画ではあくまでも速く走るためのクルマの動かし方をしていることがジムカーナなどのモータースポーツ経験者ならよくわかります。クルマがスライドしているときに車内の様子が映り、前後左右のGに同乗者の体が激しく動いている様がリアルで面白い。その驚異的な車体コントロールをもたらすベイビーの一挙手一投足が音楽にリンクしているところがまた痛快。

音楽とリンクしたカーアクションを撮ってみたい、とエドガー・ライトが思ったのがこの映画制作のそもそものきっかけだったんだとか。それは100%実現できている。カッコいい音楽とカッコいいカースタントがここまでハイレベルでバランスしている映画は他にないでしょう。

そんな成り立ちの映画なだけに、正直なところストーリーは特筆するようなところがあるわけではないし、人間ドラマとしての内容は薄い。でもそれでいいんです。徹底的に音楽にこだわってくれていれば。

僕もそれなりに、そこそこ音楽に詳しいつもりではいるんだけれど、さすが本場のマニアは知識(と体験)の深さが違う。名前を知っているアーティストがたったの半分、知っている曲がハーレム・シャッフル(ただしローリング・ストーンズ版)、ホカス・ポカス/フォーカス、ブライトン・ロック/クイーンの3曲だけという体たらく。それもしょうがない。このサントラに選曲されているのはいかにも英国の音楽好きならではのもので、日本人には馴染みが薄い曲が多いんです。少なくとも、僕の学生時代のミュージック・ライフなどでよく採り上げられていたアーティストとは顔ぶれが全く違うから、日本でこの映画の曲の多くを知っているという人は少ない(何しろ時代もバラバラでジャンルの幅が広い)と思われ、こういう曲を知っている人こそ真の音楽通だと言えるでしょう。

その知らない曲たち、カッコいい曲が多すぎて映画館でそのままサントラを購入。映画のサントラってまったく聴く気がしないから買わないんだけれど「ブギー・ナイツ」以来、2度めの購入となりました。「ブギー・ナイツ」のときにコモドアーズ、オハイオ・プレイヤーズ、ホット・チョコレートなどを聴くようになったのと同じように、ここからまた幅を広げることができるかと思うと楽しいですねえ。

そんなわけでカッコいい音楽に埋め尽くされ、カーアクションが同期する興奮がこの映画の何よりの魅力。それだけに、終盤の展開がちょっと残念。なぜなら、単に銃をぶっ放し、カーアクションは力技の凡庸なものになってしまっていたから。最後にもう一度、オープニング・シーケンスのようなクールなカーアクションが来ると期待していただけに、ガッカリ感は小さくなかった。予算がなかったのかアイディアもエネルギーも前半で尽きてしまったのか・・・。

クイーンファンとしてはブライトン・ロックがフィーチャーされていることに触れないわけにはいかない。曲リストのひとつに入っていたことは知っていたけれど、なんのなんの、一番の主役に据えられているではありませんか。クイーンのベスト盤は数あれど、ロック・チューンを集めた「ロックス」にすら入らないクイーン・ファンのみが知っている曲をクライマックスで採り上げるマニアっぷりに苦笑い。セリフで曲名が呼ばれるのもこの曲だけという厚遇ぶり。

ただですねえ、初期のクイーンは録音が悪くて音が薄いものだから、他の曲に混ざって流れるとそれが顕著にわかってしまう。この映画を観た人、疾走感があることだけは感じてもらえたかもしれないけれど果たしてこの曲の良さをわかってもらえたのかが少々疑問です。そんなの関係ないねっていうことで監督の好みで中心に据えてしまったところがまた痛快なわけですが。

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