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趣味の人生を楽しむサラリーマンの日記

私的プロジェクター遍歴とSONY VPL-VW315導入

VPL-VW315 201708

拙宅に初めてプロジェクターを導入したのは、2004年の7月のこと。購入したのは日立 Wooo PJ-TX100J(実売20万円、解像度1280×720、コントラスト1200:1、最大輝度:1200ルーメン)というモデルで、しかし、AVマニア的にホームシアターを強く望んでいたからというよりは単に大画面で映画を見たかったからというのが導入の理由でした。

当時はまだDVDの時代でテレビ放送も4:3のアナログ放送、WOWOWではワイド画面で映画を放送していたものの、こちらもアナログのSD画質。ブラウン管テレビのサイズは4:3画面では29インチ、16:9ワイドだと36インチが最大で「テレビとはそのくらいの大きさで見るもの」というのが常識でした。そのうちにプラズマ・テレビが、少し遅れて液晶テレビが家電店に並び始め、ブラウン管では実現できなかった大画面サイズが話題になってくる。しかし、当初は下位モデルでも50万円くらいはしていたはずで、しかもそのお値段だと画面サイズもせいぜい42インチ程度。1インチ1万円を切ったのはもう少し後のことだと記憶しています。

一方、設置環境(要は部屋の広さですね)さえ許せば100インチ以上も可能なプロジェクターは20万円程度。普通の3LDKマンションの拙宅は専用のシアタールームなどはもちろんなく、観るときに機材とスクリーンをいちいち引き出さなくてはならないし、暗室状態にするために遮光カーテンを取り付ける必要があるなどの面倒があったものの、画面サイズと価格の観点でプロジェクターに惹きつけられたのは半ば自然な流れだったと言えるでしょう。

そんな理由で導入したプロジェクター、実際に映画鑑賞で使ってみると予想していなかった副次的効果があることに気づきます。部屋を真っ暗にして、ソファに腰掛けて鑑賞すると、目の前には大画面だけ。他のことに気持ちが逸れず、完全に映画に没頭する、いや没頭せざるを得ない状況になる。そして、没頭して映画を観たときに映画から受け取るもの、観た後の充実感は、明るい部屋のリビングでテレビを観ているのとは次元が違うことを肌で感じるようになる。僕は今でも、プロジェクター最大の利点は映画に没頭できることにあると思っています。

その後、ハイビジョンの時代になり、WOWOWもデジタル放送に移行してフルHDがスタンダードに。日立PJ-TX100JはDVD解像度はクリアしていたもののフルハイビジョン(2K)にはかなり足りない仕様、しかしそれでもデジタル放送の2K映像を投写したときの画質は文字通り目が覚めるかのような鮮やかさで「フルハイビジョン対応のプロジェクターだったらもっと綺麗なのか...」という思いを抱かずにはいられませんでした。

当時は20~40万くらいの価格帯で各社から続々とフルハイビジョン対応プロジェクターの新製品が登場し、まさに百花繚乱の様相。機種が多すぎてどれを選ぶのか頭を悩ませた人も少なくなかったんじゃないでしょうか。雑誌のレビューを読み漁り、価格が熟れてきた2008年2月にSANYO LP-Z2000(実売22万円、解像度1920×1080、コントラスト15,000:1、最大輝度:1200ルーメン)を拙宅に導入しました。

都内家電店でデモを見てからこの機種に決めたわけですが、はじめて家で画面を投写してみたときの驚きは今でも覚えています。なんと言っても「テレビに近い感覚で観れる画質」に感動。3年前に発売されたプロジェクター日立PJ-TX100J(および同世代製品)は、モアレが出たり格子柄がはっきり見えたりするのが当たり前で、パッと見でテレビの画質には遠く及んでいないことが誰にでもわかる代物でした。プロジェクターはこの程度のもので、要は画面サイズが大きい(大きく取れる)ことだけが取り柄だったわけです。しかし、LP-Z2000は、2メートルも離れれば格子柄は気にならなくなり、モアレなんて当然出ない。更に感動したのが、前機種と同じ1200ルーメンでありながらひと目でわかる画像の明るさと黒の沈み込み=即ちコントラストの高さ、そして色の鮮やかさ。テレビの精緻な描写には及ばないとはいえ、目の当たりにした画像は、フルハイビジョンの解像度による明瞭でクッキリした精細な画質。たった3年程度でプロジェクターというのはここまで来たのかという、驚異的と言えるほどの技術の進化だったんです。

そのLP-Z2000も、気がつけば使い始めてから8年半が経過し、使用時間は1500時間を超過。700本くらいは映画を観たんだなあという感慨を抱きつつも、画質には今でも特に不満を抱いているわけではなく、遠くない将来に迎えるであろうランプ寿命の時期が来たとしても交換して使い続けようかなくらいのつもりでのんびりと構えている状態でした。そもそも家電店に行っても4Kテレビは遠巻きに眺める程度の関心で画質に大きなこだわりもなく、昨今のプロジェクターに投資するつもりもなかったからです。

なにしろ、最近のプロジェクターはお値段が高い。ちょっと高い、どころではなくかなり高い。もともとプロジェクターは誰もが欲しがるようなものではなくマニア向け製品。フルハイビジョン・フィーバーでそれなりに売れたあとは地道な画質向上のモデルチェンジを重ねるのみとあって買い替え需要が少なく、市場がどんどん縮小。僕のようにフルハイビジョン機の初期に買ってそのまま使い続けている人は結構多いんじゃないでしょうか。いきおい、プロジェクターという家電は更にマニア向けとなり、海外メーカーを除けば今ではビクター、ソニー、エプソンの3社のみが細々と作り続けているのみ。4Kネイティヴのプロジェクターとなると更にマニア向けの高価な画質追求モデルばかり。こんな値段ではとてもじゃないけれど、気軽に買おうという気になれません。エプソンの4Kモデルはまだ親しみを覚える値札がついているものの、パネルは2K、画素ずらしによる4K化で透過型液晶であることを考えると割安感がもうひとつ。一方で、ネイティヴ4K機種に絞ると一般人には最初から眼中に入ってこない価格の製品しかありません。

そんなとき、2年前に発売されたソニーの4Kプロジェクターの最下位モデルで既に生産終了品であるVPL-VW315が、在庫処分的におよそ40%オフで売りに出されているではありませんか。VPL-VW315(解像度4096×2160、コントラスト非公開、最大輝度:1500ルーメン)は、ファームウェアのアップデートでHDR対応となり、スペック的には不足なし。プロジェクター・ユーザーには憧れ(上にはもっと上がありますが)の反射型液晶パネル搭載機で4K云々以前にプロジェクターとしての基礎能力が高いことに疑いの余地はない。もちろん、40%オフでも一般人には呆れるような値段であることには変わりない。しかし、4Kプロジェクターがこれより安い価格で市場に出ていたことは恐らくこれまでにもなかっただろうし、少なくともこの先しばらくはこれより安く買える機会もないんじゃないかと思えます(エントリー機に適した透過型液晶のネイティヴ4Kパネルはまだ存在しないし開発されているという情報も聞こえてこない)。

Ultra HDプレーヤーを導入し、「ラ・ラ・ランド」のUltra HD盤を購入して、しかし何の恩恵にも預かっていないどころかUHD盤を2Kディスプレイで観るとむしろ劣化(注:本稿最後に書いてある通り結果的に別原因だった)する事象を目の当たりにすると、薄っすらとモヤモヤした感情が心のどこかに居座り始めます。UBP-X800の特典で「パッセンジャー」UHD盤も無料で配布されることになっていて、ディスプレイが対応していないことは、まるでパズルのピースがひとつだけ欠けているかのような気分になりつつあった、そんなときに現れた在庫処分品。こうなると自分への言い訳は得意です。「LP-Z2000はだいぶパネルが劣化して色ムラが出始めているなあ」「ランプもそのうち交換しないといけないし」「フォーカスずれの持病と付き合い続けるのも微妙に疲れてきたなあ」「そもそもサンヨー製品は故障したらもう直してもらえないかも(実際、パナソニックになってから一度修理に出したときには対応が悪かった)」とLP-Z2000を使い続けるデメリットを並べ、在庫処分品をポチってしまいました。本当は4Kで見るためにはAVアンプも対応している必要がありますが、それを見越してかUBP-X800にはHDMIが2ポートあって、アンプを買い替えなくて済むことがわかったのも購入を後押し。

こうしてやってきたVPL-VW315。

まず、ふた回り大きくなったサイズは視聴時の設置場所では困らなかったものの非視聴時の収納では、これまでのラックに入らなかったので他の収納場所を空けてなんとか確保。やはりLCOSのプロジェクターは大きい。重さは2倍の14キロになって視聴のたびに毎回引き出す拙宅の運用ではやや負担増といった感じ。

仕様上の騒音が19dBから26dBとかなり大きくなってしまうことを懸念していた通り、確かに動作音は以前より大きく感じられるようになりました。まあ、ウチは機器と視聴位置が1メートル程度離れているのでランプモード「低」であればそれほど気になりませんが、強いて言えばここが唯一の不満かも。

以下、画質について。

画質は、世代の違い、パネルの違いで、LP-Z2000と比べると大幅に向上。LP-Z2000ではスクリーンに寄ると見えた格子柄(画素間の隙間)は、かなり近寄っても認識できないレベルで、ここが画質の精細さとなって現れているんでしょう。明るさもスペック通り十分な輝度。発色は妙な強調感がなく自然な感じであるところが個人的には好ましい。上位機種から(そしてLP-Z2000にはあった)オートアイリス機能が省かれているものの、もともとあまり好きな機能ではない(字幕の明るさが変わったり、短時間に輝度が繰り返し変化するとアイリス調整の音がカチャカチャとうるさかったり)し、固定アイリスでも十分に高コントラストで、黒の沈み込みも、画質にそれほどのこだわりがない僕には十分。やはりパネルの基礎能力が違うのは大きく、画質にまったく関心がない妻でさえも「わあ綺麗!」と言うくらいLP-Z2000との差は歴然としたものがあります。DVD解像度+αのWooo PJ-TX100JからフルハイビジョンのLP-Z2000にしたときに「テレビに近い感覚で観れる画質」と感じた画質は「テレビの画質に肉薄する鮮明で精緻な画質」へと進化。上級クラスのプロジェクターの地力は、なるほど高価なだけはあるという説得力がありました。

4Kソースの再現性はどうか。UHD盤「パッセンジャー」で、プレイヤー側の解像度設定を4Kにしたときと2Kにしたときで比較。2K出力ではHDRではなくSDR(スタンダード・ダイナミックレンジ)となるため、4Kも合わせてSDR設定にしての確認。結論から言うと解像度の差がよくわからず、正直なところ見分けがつかない。よほどの画質マニアでないと違いはわからないんじゃないでしょうか。テレビ/プロジェクターの4K解像度は、最新のデジカメ画素数が一般の人にはToo Muchであるのと同じように、一般人には既にToo Muchのように僕には思えます(ソフト側がそこまで高解像度でない可能性もあり)。

2Kで解像度が十分でプロジェクターの基礎性能の向上を望むのであれば、VPL-VW315と同時期発売で価格が半分ほどになるSONY VLP-HW60で十分だったのではないか?そうなると4Kプレーヤー、4Kソフトを味わうために購入したVPL-VW315は過剰な投資だったのではないか?とイヤ~な汗が出てきそうになってきました。

しかし、HDR機能が入ってくると事情が変わってきます。

まず、SDRからHDRをオンにすると誰もがわかるくらいに画面全体がだいぶ暗くなる。プロジェクターであれば暗室環境でないとしっかりと描写できないのではないかと思われるレベルで暗くなり、部屋が明るい環境で使っている人、明るい画面を好む人には「こんなに暗くては見れたもんじゃない」という声も聞こえてきそう。しかし、それは暗部を暗く表現できるようになったと見ることもできる。「ラ・ラ・ランド」の冒頭シーンは、ロサンゼルスの明るい日差しを後ろから受ける人物のカメラアングルが多くあり、逆光になるために顔がだいぶ暗めに描写されます。SDRだと顔の表情はある程度わかりやすい明るさである反面、部屋の照明を付けたときのように画面全体が白浮きしたような画像になり、HDRオンのときには黒がぐっと沈み、逆光のときの顔が暗くなって表情がわかりづらくなります。

これはつまり、HDRが暗いということがひとつの事実としてある一方、SDRだと暗いところが黒潰れしやすいために全体の輝度を上げてることでそれを回避しているのではないかという見方ができます。SDRをHDRと同じくらいの明るさ(暗さ)にすると、逆光の顔は恐らくほとんど表情がわからないくらいに黒潰れしてしまうんじゃないかという感じがします。また、HDRでも顔が暗めに映るのは、強い日差しの逆光ではそれが本来の画であるとも考えられます。更に、SDRでは白に近い青空がHDRだとより青く、SDRではうっすらとしか見えなかった雲がHDRではよりハッキリと見えるようなるという違いも確認できます。SDRでディスプレイの輝度を落としてもこの雲が大幅に明瞭に見えるようになるわけではなく、このあたりもHDRならではの表現力ということになるでしょう。宇宙の真っ黒な空間描写が多く出てくる「パッセンジャー」では、HDRでは深い黒で描写できるところが、SDRでは白浮きし、感度を落としたフィルムのようなざらついたノイジーな描写になるところも大きな違いとして挙げられます。

尚、「ラ・ラ・ランド」で、Ultra HD盤とブルーレイ盤の輝度比較をすると、画面が明るい順(UBP-X800のHDRソフト表示設定標準のとき)に

Ultra HD SDR > ブルーレイ(=SDR)>>> Ultra HD HDR

となっていて、明るいものほど白潰れしてディテールの表現を損なっており、暗い部分が白浮きしていることがわかります。Ultra HDでの微細な描写はHDRでこそ、より効果が出やすいように思います。一方で、HDRは画面全体が暗くなり、理屈の上ではその暗い部分が黒潰れせずに表現できる筈のところ、その効果はそれほど感じません。ディスプレイ側の技術なのか、ソフトの作り込みの問題なのかわかりませんが、HDRはまだ技術的に未完成(そもそもプロジェクターではHDRを表現する輝度が足りないと言われている)で、場面によっては描写が望ましくないということもあるんじゃないか、というのが僕の想像です。少なくとも僕が目を通した雑誌では実際にディスプレイに写っているSDRとHDRの画面比較紹介写真がなく、イメージ画での比較しかないのは、すべての面でHDRが優れているとまでは言えないからじゃないでしょうか(広告主にとってネガティヴな情報に成り得るものを雑誌が掲載するとは思えない)。

まとめると、単なる4K解像度にはブルーレイ2Kからのアドバンテージをほとんど感じられなかったものの、HDRを含めた総合的な画質では4Kディスプレイでしか表現できない描写がある、というのが僕の感想です。

このように、プロジェクターとしての基礎能力の高さと、HDR対応のプロジェクターならではの表現があるという画質のメリットは確かに価値があります。でも、従来の2Kディスプレイ、ブルーレイと比較して価格差相応に映像表現の飛躍的向上(大袈裟に言うならば視覚的感動)があるかと訊かれると、少々微妙で、やはり4Kネイティヴ・プロジェクターの価格がもう少し下がってこないと、胸を張って「かなりお勧めです」とまでは僕は言えません。とはいえ、これまでより確実に画質が上がったVPL-VW315で観る映画は、映像の表現としてのレベルが従来機と大きく違うことは間違いなく、この世界を味わってしまうと元には戻れないと思ってしまうのも正直なところ。

ところで・・・4Kプロジェクターに入れ替えるきっかけになった、Ultra HD盤を2Kディスプレイで再生するときに発生する暗部の階調破綻現象(後日加筆:バンディングと言うんだそうです)ですが、VPL-VW315をポチった翌日に、プレーヤーUBP-X800のファームウェア・アップデート通知がソニーからあり、「HDRコンテンツ再生時に、色合いが適切に再現されない場合があることの改善」が含まれていて、あれ、これってまさにビンゴなのでは思ってアップデートしてみたらナント改善されてしまいました。アップデート前にVPL-VW315への4K出力でも現象が確認できたのでこれはもうUBP-X800の問題で確定。この現象がなかったらプロジェクターを買い替えようと思っていなかったかも、と思っても後の祭り。まあ、LP-Z2000の余命もそれほど長いわけではなく、タイミング良く割安で4K LCOSプロジェクターを購入できたということでこれも何かの巡り合わせと思うことにしましょう。この素晴らしい画質で映画を存分に味わえるのは大いなるの喜びで、家で映画を観ることがより楽しみになりました。これから長く愛用していきたいと思います。

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