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趣味の人生を楽しむサラリーマンの日記

「ジュリエットからの手紙」(ネタバレあり)

ジュリエットからの手紙 201708

映画掲示板では滅多に見ないほどの高得点を稼いでいるこの映画。一方で、お堅い生真面目な男性からは「こんなくだらない映画が高評価とは」という声も散見されます。理由はわからなくはないです。

僕が好きな映画は、人生にはうまくいかないことや苦々しいことがあったり、葛藤があったりなど、複雑な感情が入り混じったもの。そういったものの方が話に深みがあるし、自分の心の中も葛藤して何かしらの答えを出そうと考えたりするのが好きだから。

「ジュリエットからの手紙」は、すべてが一番望まれた結果となるハッピーエンドな映画であり、身も蓋もない言い方をすると話に深みはない。口の悪い言い方をすれば、少女漫画的乙女チックなストーリー。女性の支持者が圧倒的に多いのはそういった理由があるからでしょう。

正直に言うと、点数を付けるとするなら僕もそれほど高得点を付けようとは思わない。では、くだらないと思ったかというとそんなことはまったく思わいませんでした。

何よりもまずヴェローナの街並み、郊外のシエナの景色が素晴らしい。そこを走るランチア・デルタがまたピッタリで、次々と視界に入ってくるイタリアでしかあり得ない美しい風景に目を奪われてしまう。僕は田舎暮らしには憧れていないけれど、ここなら生涯心豊かに暮らしていけるかも、と思わせるほどの素晴らしいロケーションに心が洗われます。

ご都合主義でありきたりと言われそうなストーリーでも、中で描かれているエピソードは「あるある」要素はしっかりと取り込んであり、特に主人公ソフィーの婚約者、ヴィクターの描写はいろいろなものを表現しているんじゃないでしょうか。

以下、結婚とは?の考えが一致していないと理解していただけないかもしれません。結婚は同じ家で生活していることだという人にはわかってもらえないでしょう。結婚とは、人生を共有すること、という認識の人ならわかってもらえるんじゃないかと思います。

いくら婚約者がいるからと言って、自分が人生を賭けて取り組んでいることを第一に考えるのは当然のことで、ヴィクターが料理とワインに夢中になっていることは理解できる。しかし、フィアンセが何を大切にしているのかをまったく理解していないということを許容してくれる人はまずいないし、そのような人と人生を共にすることはできないと考えるのは当然のことでしょう。婚約者の夢が叶ってライターとしてデビューできたというのに、いくら仕事が忙しいからといって記事にまったく目を通さず(雑誌の記事なんて15分もあれば読める)、記事を讃えて一緒に喜んであげることもできないようでは結婚しても単なる同居人にしかならないでしょう。映画掲示板で「婚約者を捨ててかわいそう」と言っている人が少なからずいたけれど、これほどまでに自分を見てくれていない人と結婚する方がうまくいかないことが目に見えているし、このまま結婚していたらむしろ2人ともかわいそう。実際、映画でも別れのシーンでヴィクターは落胆してはいるものの、信じられない、絶望的というリアクションをしているわけではなく、ヴィクターがかわいそうだと見える人は、結婚=人生を共有する人という感覚がないんでしょうね。

最後に結ばれるチャーリーも、人の感情としてどう受け止めてしまうかを描く性格付けになっている。最初のころにチャーリーが言っていることはすべて正論で、正論を押し付けがましく言ってくる人が嫌な人に見えることが描かれている。でも、正論を言っている人はその人なりに、悪いことが起きないよう、身近な誰かが傷つかないよう、などと気遣っているからこそ、そのような言動になってしまっている。根本にあるのはその人なりの優しさの現れであり、しかしこういうタイプの人はなかなか理解してもらえない、という世の中によくあることを描かれているわけです。

この映画を「売れ線狙いの浅くてくだらない映画」と言う評価は確かにその通りで正論でしょう。そう受け止める人がいるのも理解できる。しかし、映画掲示板でわざわざそれを書き込んでいる人は、いろいろと欠けているところがあると言わざるを得ない。もちろん、こういう映画が嫌いなら、それはその人の自由で構わない。だからといって、高評価の人を見下すようなコメント(自分は映画をわかっている、とでも言いたいのか?)をする人は、まさにこの映画のヴィクターと同じタイプの人種(周囲が見えていなくて結局自分のことしか考えていない)でしかないですね。カジュアルなスイーツ屋に来て「辛口の日本酒や上質な天ぷらや蕎麦が食べられないような店なんて話にならない」と店員に言い放つ人がいたら誰もがアタマがおかしいと思うでしょう?この映画にイチャモン付けている人ってそういう人ばかり。

人生なんて苦しいことの方が多いし、多くの場合思った通りにいかないもの。だからこそ、この映画のように「こうなったらイイのに」が全部実現して行く綺麗な話があってもいいじゃないですか、と僕はそう思います。

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