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趣味の人生を楽しむサラリーマンの日記

ガラパゴス日本文化の地盤沈下

今年の東京モーターショーは、イタリア、英国、米国メーカーが出展を取りやめた。ロールス・ロイス、ジャガー、フィアット、アルファロメオ、フェラーリ、マセラティ、ランボルギーニ、キャデラック、シボレーなど、歴史と伝統あるブランドの出展がない。華やかなジュネーヴやパリのモーターショーに比べると寂しいもので、もはや国際モーターショーと言うのが憚れるくらいになってきています。

理由はWebニュースなどで書かれている通りで、市場縮小、メーカーの人気が偏っていることが原因でしょう。でも根本にあるのは日本だけのガラパゴス文化にあると僕は思っています。

このブログで以前、日本独自の「お客様は神様」な文化が特異であることを嘆いたことがあります。
http://buhaina.blog.fc2.com/blog-entry-127.html
(類似関連ページ:http://buhaina.blog.fc2.com/blog-entry-256.html

客だから不満なことがあれば何を言ってもいい、何を要求してもいい、しかも尊大な物言いで構いやしない。だいたい、地下鉄に時刻表がある国なんて珍しいというのに、日本では少し遅れると駅員に噛み付いている人が現れる。もはや病んでいる言ってもいいほどなのに、それをおかしいと思わない。

クルマというものは、確かに道具としての側面があります。特に電車などの公共交通機関が発達していない都市部以外のところではクルマがなければ買い物に行くことさえできなくなってしまうところも珍しくない。移動の足としてクルマは欠かせないわけです。

日本のクルマが壊れないことはもう随分前から世界で認められています。モノを買うときに合理的な選択をするアメリカでは、だから売れた。欧州では、歴史やモノとしての価値、それらを具現化しているブランドを好む傾向があるので北米ほどではないけれど、それでもそれなりに日本車は市場を確保しています。高品質でも高くはない、ということが武器になれば商品として世界で認められるわけです。また、日本車の圧倒的な品質に危機感を抱いて、外国メーカーも品質を向上させ、自動車全体の品質が上がったことも日本車の功績だと言えるでしょう。

一方で、多くの人がクルマにエモーショナルな要素を求めているのもまた事実です。これはクルマ好きな人に限らない話で、デザインや色、装備や快適性、ブランドといった要素に自分の好みを求めているわけです。「クルマなんて動けばなんでもいい」と言っている人をときどき見かけますが、「じゃあ、軽自動車でいいじゃん」と言うと、「いや、軽はちょっとねえ」と言うわけです。今や軽自動車の性能で困ることなんてないわけで、エモーションが働かなければこんな返事が返ってくることはありません。

今回、出展を取りやめたメーカーは、超高級ブランドは別として、日本で人気のない(売れていない)、総じて品質についてはあまり高い評価を得ていないメーカーのように見えます。日本という市場で成功しなかった、努力が足りなかったメーカーだと切り捨てるのもいいでしょう。僕は、合計14年、アルファロメオとジャガーに乗ってきて、たしかに国産車の品質には及ばない細かいトラブルはあるけれど、たとえば旅行の計画が狂ったなどの困った事態に陥ったことは一度もありません。また、かつて品質に難ありと言われたメーカーでもそういう話を最近は聞かなくなりました。走行に影響ない部分の品質は国産車に及ばないし、理詰めでしっかりしたクルマ作りをしているドイツ車のような安心感はないけれど、困るようなことはなく、工業製品としての質を追求するドイツ車、日本車にはない魅力がある。だから、日本以外の国ではそれなりに売れている。欧米ではそういう多様性を受け入れる感性があるから、いろいろなメーカーが生き残っている。発展途上の中国も(嗜好の方向性はともかく)エモーションが働くクルマ選びをしているから、上海モーターショーは大盛況になるわけです。

「日本人は音楽を愛していない。作り手も、聴き手がこんなレベルだからこの程度の音楽でいい」と書いたことがありますが、クルマについても品質以外のエモーショナルな部分は似たようなことが言えると思います。メーカーは魅力的なクルマを作ることをせず、品質ばっかりやっていた。それは即ち、クルマ好きを育てる努力をしてこなかったということです。こんなに国産車のシェアが高い国は他になく、それ(単一の価値観)が異常だと思わない国民の危機感のなさはもはや重症と言ってもいいでしょう。

そんな特異な日本の市場でもその市場が大きいうちは、外国メーカーも日本に合わせてやろうとしていた。でも海外の人はみんなわかってきたんですよ。人間性をないがしろにして異様に高い品質ばかりを追求する非文化国、そして人口減で縮小しか見えてこない市場であることを。

東京モーターショーの出展が減っているのは、あまりにも特異な日本文化の地盤沈下であると僕は強く思っています。日本市場で生き残れなかったんだから勝手にやめれば、と思っている人が多いうちは更に地盤沈下して行くでしょう。日本人は早く気づいた方がいい。品質の要求度だけが異常に高く、それによって失われているものがたくさんあることを。

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