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趣味の人生を楽しむサラリーマンの日記

ボーダーライン (ネタバレ控えめ)

ボーダーライン201705

メキシコ絡みで麻薬カルテルを取り扱う映画といえば、かつての「トラフィック」をやはり思い出す。ソダーバーグ監督のスタイリッシュな映像と演出が印象に残りつつ、素材が素材なだけに内容はシリアスな映画だった。

この映画もメキシコからの麻薬密輸組織との闘いが題材に。しかし、演出や映像はもちろん、描こうとしているコアな部分がまったく違う。

「オール・ユー・ニード・イズ・キル」がなければ恐らくオファーが来なかったであろう、エミリー・ブラントが女戦闘員(FBI捜査官)を演じる。冒頭の突入シーンからしてその仕事がハードで厳しいものであることを見せつけ、それに耐えうる優秀な戦闘員であることを観ている人に印象づける。そして国防総省の偉そうな人(ジョシュ・ブローリン)に抜擢されるところまでは、特に目新しいストーリーとは感じない。

ところがチームに参加してからの女戦闘員は、そのミッションに翻弄され続ける。エグすぎる麻薬カルテルとの攻防。麻薬カルテル撲滅のために動いているのはわかるものの、一体何を目指しているのかわからない国防総省の偉そうな人。なんの為にいるのかまったくわからない不敵でくたびれた感じのメキシコ人(ベニチオ・デル・トロ)。

抜擢されたと思っていたら、実は単に利用されていただけれあることがわかってきた女戦闘員は、愚直な正義感で国防総省の偉そうな人に抵抗する。疑問を抱きつつ、自分の信念に基いて行動しているうちに不敵なメキシコ人が何者で何を目的にチームに同行しているかも知ることになってしまう。

女戦闘員は、冒頭のシーンでタフであることを印象づけたものの、しかしそんなものはどうってことがない、というほど闇が深く過酷な麻薬カルテルの様子が描かれていて本当に恐ろしい。実は、その冒頭のシーンでのエミリー・ブラントは華奢で、とてもじゃないけれどタフな戦士には見えない。タフに見えない=一般人の感覚に近いことで、彼女の目線が視聴者の気持ちを代弁する役割を担っており、麻薬カルテルの世界が如何にエグいかを知らしめる効果を狙った設定なんでしょう。でも、もう少しタフでマッチョな雰囲気があって、そういう人の心が折れてゆくところを表していったほうが、より効果的だったように思える。

それにしても終盤のベニチオ・デル・トロの静かで凄みのある演技、というか存在感はちょっと代わりがいないと思わせるものがある。胡散臭さとヤサグレ加減を横溢させるジョシュ・ブローリンも役にピッタリ。映画を観終わったときには、どちらも普通の人から見たら感覚が麻痺した狂人にしか見えなくなる。

この剛直なストーリーと演出、映像は観ている者をグイグイ引き込んで、尚且つプレッシャーを与え続け、観終わるとグッタリしてしまうほど。この感覚、なんとなく覚えがあるなあと監督を調べてみると「プリズナーズ」のドゥニ・ヴィルヌーヴ監督とのことで妙に納得。この人、今後ちょっと目が離せない感じ。公開中の「メッセージ」も必ず観てみよう。

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