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Enjoy Life, Enjoy Hobby

趣味の人生を楽しむサラリーマンの日記

映画という楽しい趣味

僕は子供の頃から映画にほとんど関心がありませんでした。映画館なんて、超話題作があって気が向いたとき、年に一度行くかどうかという感じ。友達が映画を話題にしているときにはつまらなさそうに横で聞いているだけ、という無関心なジャンルでした。

初めての長時間フライトになった98年のロンドン旅行(当時31歳)のとき、緊張していたのか機内でまったく眠れず、やることがなくて困っていたときに救ってくれたのが映画です。当時は座席にひとつのモニター、オンデマンドでコンテンツを楽しむというファシリティはごく一部の航空会社に限られており、決まった時間に前方のスクリーンに投影してみんなで観るというのが当たり前のスタイルでした。欧州便は一度のフライトで映画2本上映が一般的だった中、ブリティッシュ・エアウェイズは3本も上映してくれてかなり助かったものです。

やることがなくて仕方なく観た映画、「007/トゥモロー・ネバー・ダイ」「ピースメーカー」といった派手なアクション系だけでなく、日本で未公開だった「スイッチバック」なんていう地味なサスペンスなどもあり、そのどれもこれも面白く、31歳にして「映画って面白いんだな」と初めて思うようになりました。

キング・クリムゾンの日本公演を録画するために契約してそのままだったWOWOWは、それからは映画鑑賞のためのチャンネルになり、以来、恐らく毎年50本くらいは観るほどになっています。そして多くの映画を観れば観るほど映画って面白いなあと思うようになっていった、というわけです。

ほぼ同じ時期から、DVDが登場し始め、5.1chサラウンドを家庭で楽しめるようになると、廉価品のセットでホームシアター環境も整備、そこからおよそ20年を経て今では機材もグレードアップしてプロジェクター(スクリーンは100インチ)まで用意するほどになり、映画を観ることは僕の生活の重要な一部となっています。

とはいえ、僕は映画マニアではありません。ただ単に観て面白かったなあ、つまらなかったなあ、あの役者良かったなあ、などと思う程度で考察を巡らせるほど映画に熱中しているわけではない。せいぜい20年弱の趣味でしかなく、特に過去の名作系には疎く、過去の名作を面白いと思うこともほとんどありません(多くは演出が古臭くて観ていられない)。

そうやって、単に映画ファンとして数だけ観て溜め込んできた映画経験値。観れば観るほど面白い、と思うだけでなく、もうひとつ言えるのは歳を重ねれば重ねるほど映画というのは面白いということ。人生経験を積み重ねて、世の中、自分の価値観だけではない、いろんな価値観がある、と思えるようになると映画は更に断然面白くなる。

先日の記事で「現実と嘘っぱちの世界との距離感を自分なりに取って、2時間だけ別世界に連れて行ってくれることが映画の持っている力なわけです。自分が生きているわけじゃない架空の世界、自分とは違う道を歩む人の人生を仮想体験することが映画ファンの楽しみなわけです」と書いたんですが、映画の面白さはここに集約されると僕は思っています。

若い頃は自分の価値観が常に中心にあって、それ以外のものは間違っていると思いがち。いわゆる自分が決めたあるべき論にこだわってしまう。人生経験を積むうちに、いろいろな人の価値観を知って「こういう生き方もあるんだなあ」とだんだんわかるようになってきて「自分のあるべき論は他人にとってのあるべき論とは限らない」こともわかるようになってきます。

こうやって人間の価値観の多様性がわかるようになってくると、映画はもっと面白くなる。ときどきネットの掲示板で、主人公に共感できなかったから面白くなかったという感想を見かけます。自分のあるべき論にこだわっているとこういうふうにしか感じられなくなってしまうわけです。自分ならこの主人公のような選択はしないけれど、この人はこういうふうにしか生ききられないんだろうな、つまり自分とは違うタイプの人間の生き方を疑似体験できるところが映画の面白さなんじゃないでしょうか。間違ったことをしているけれど、この人の弱さがこういう道を選ばせてしまったんだろうな、などといろいろな人の生き方を疑似体験できることで自分の感受性が上がり、考え方の幅も広くなるものです。共感できるかできないかだけで映画を観るのはちょっと勿体ない。

ドラマの話になりますが、「ER」はいろいろな人間の価値観を、そして人間というのはどこか欠点が必ずあるものだということを表現した名作です。多種多様な人間が様々な困難に遭いながらがんばって生きている。だから面白い。若い頃はケリー・ウィーバーが嫌な管理職にしか見えなかったのに40歳を過ぎて自分も管理職になってからもう一度観ると彼女の気持ちもわかるようになってくるわけです。映画でも昔は面白いと思ったのに歳を重ねてから見ると単純すぎてつまらないと思うようになったり、若い頃はつまらないと思ったものが心に染みるようになったりすることがあります。それは社会に揉まれて、時に痛い目にあったり、辛い目にあったりするうちに自分の幅が広がっているからなんだろうと思います。

あと、バッドエンドだからこの映画は嫌い、という声も不思議です。人生、良いときも悪いときもある。映画でもハッピーエンドとバッドエンドがある。映画というのは大げさにいうならある人の人生を描いているわけで、両方あって当然でしょう? せっかく現実逃避して映画を観るのにバッドエンドは観たくないという気持ちはわからなくはないけれど、ハッピーエンドばかりの人生、ハッピーエンドばかりの映画しかない世界はきっと楽しくないと思うんですが。

映画は嘘っぱちでも結局は人間を描いている。だから人生経験を積めば積むほど面白さが増す。少なくとも僕にとって映画は楽しむことができて、悲しむことができて、いろいろ学ぶこともできるとても魅力的な娯楽。まだまだこれから人生経験を積んでいくことで、これからもっと映画を深く味わえるようになるだろう、生涯楽しめる趣味として音楽とともに僕の中に在り続けていくだろう思うと嬉しくなります。

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