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Enjoy Life, Enjoy Hobby

趣味の人生を楽しむサラリーマンの日記

ジャガー I-PACE 試乗

IPACE201907


一時期、世間を騒がせていたタカタのエアバッグ問題も話題としては収束し、ああ、自分のクルマは無関係だったのかなと思っていたらリコールのお知らせが。ディーラーに持っていったついでに、短時間ではありますが、I-PACEに試乗させてもらいました。

外観はSUV的で、しかしSUVとしては(エアサス仕様で一番低くしていたこともあって)やや低めの車高と従来のジャガーとは異なるベクトルを向いた短いボンネット(エンジンがないのでクラッシャブルゾーンとしての長さが必要なだけ)が特徴で、ジャガー以外も含めた他車にはないオリジナリティの高いデザインがまずは売りといったところでしょう。僕の好みではないけれど、いかにも電気自動車というわざとらしさを全面に出さずに、それでいて電気自動車ならではデザインになっているところにまずは好感。ただし、近年のジャガー・デザインの傾向と良くも悪くも一貫性があるために電気自動車に明確な近未来のイメージが欲しい人には、少し物足りないと感じる人もいるかもしれません。まあ、僕はその控えめなところがジャガーのデザインの良いところだと思うっているんですが。

乗り込んで、スタートボタンを押すところは、スマートキーが一般的になっている最近の内燃機関のクルマと同じ作法で戸惑うところは特になし。しかし、スタートボタンを押しても動作すべきエンジンがあるわけでもなく、目の前のディスプレイ表示が変わるだけで当然無音。そして無振動。そこから、軽くアクセルを踏むとそろりと始動。動き始めから最大トルクが出るというモーターの特性から、出だしがピーキーなのかもと勝手に想像していたんですが、ゆっくりとした動き出しに神経を使うことなく、スムーズな始動が可能です。2.2トンの車重を感じさせる重厚な乗り味は駐車場で動かしているだけでもわかります。電気自動車はバッテリー搭載の都合上、重々しくなるところは仕方のないところで、今のバッテリー技術(航続距離を稼ぐためには多くバッテリーを積まなくてはならない)だと、この重々しさは電気自動車ならではの特性ということになります。

路上に出て走ってみて感じるのは、とにかくスムーズだということ。加速を得たいというときに内燃機関のクルマはパワーにかなり余裕がある高性能車でもないかぎり、トランスミッションのキックダウンまでに少し間があり(少し待たされて)、キックダウンしてエンジン音が高まって加速するというプロセスを踏むわけですが、アクセルの踏み加減に応じてすぐに反応して、踏み加減に応じた加速が得られる感覚は電気自動車ならでは。深くアクセルを踏み込めば、2.2トンの車重を感じさせない厚いトルクでグイグイ加速するところも気持ちイイ。回生ブレーキの設定を「高」にするとアクセルペダルを抜いたときにサッと減速して、電気自動車ならではの速度調整も可能で、しかも不自然さがない。とにかく、運転者の感覚に寄り添った扱いやすさに、洗練という言葉を思い浮かべずにはいられません。また、重いバッテリーを床下に積んでいるために、ある程度車高があるクルマであるにもかかわらず、重心の低さもハッキリと実感できます。

静かな故に、他のノイズが目立ってしまうのではないかとの予想は裏切られ、ロードノイズが良く遮断されていて、騒音面は快適そのもの。風切り音も皆無で、Webの情報では高速道路でも良く抑えられているとのこと。

内装も価格相応の質感があり、全体の操作性も従来の自動車と違和感がなく、自動車好きに戸惑わせるところがまるでない。良い意味で、自動車らしさがそのまま生かされていて、完成度がとても高いところに感心してしまいました。自動車雑誌(クルマ好きのライター)の評判が良いのも納得の仕上がりです。

洗練されていて、自動車として失ったと思わせる部分がまるでないところがなんと言ってもI-PACEの素晴らしいところ。充電インフラと航続距離の課題は、すべての電気自動車共通の課題ではありますが、そこを除けばまるで不足がない完成度で、とりあえず新しいものを出しました、という安易さが皆無、初めての電気自動車でも妥協なく、従来のクルマらしい楽しさを失わずに、電気自動車ならでは良さを活かそうというジャガーの心意気を感じさせるものでした。価格とサイズ(拙宅の駐車場には入らない)に課題はありますが、そう遠くない将来にもっと身近になってくるのではないか、と思わせる完成度の高さ。もちろん。ワインディングでのハンドリングや、上り下りでの重さに由来するネガティヴな要素など未知数のところはありますが、電気自動車の時代になったらつまらないんじゃないか、という僕のイメージが一変、いや、手の届くクラスのモデルが早く出てくれないかなと思うくらい好印象でした。

ピアノ・レッスン 第53回


(ピアノレッスンの記事は自分のための備忘録を主目的としています)

2週間ぶりのレッスンながら、早めの夏休み旅行があって実質8日間の練習期間。

前々回、前回と、右手の2番+4番 ⇔ 3番+5番重音をレガートで弾くところで苦労してきたチェルニー Op.599-No.17に一番力を入れて練習してきました。というか力を入れすぎて却って、どういう力加減で指を動かせば良いのかわからなくなり始めたところで夏休みに突入。休みが開けてみると、あれ?以外にも休み前よりも無駄な力が入らずにスムーズに弾けるではありませんか。煮詰まったときには休みを取ってリフレッシュする、ということも時には有効なのかもしれませんもちろん、2番+4番 ⇔ 3番+5番重音の切り替えをスムーズに行うのは初心者にとっては簡単なことではないものの、前回レッスンの教訓である弾き急がないことを心がけることで、それなりに弾けるようになり、先生から修了印をいただく。

次はチェルニー Op.821-No.4。前曲に注力してきたため、この曲はまだ練習不足。指定のテンポVivaceよりもだいぶ遅く、ややつっかえながら弾いてみると「だいたい弾けて言いますね」との言葉をいただく。最後の2小節は右手の強弱の付け方とポジション移動が多いところで、そこに集中する必要がある。すると、最後の左手の大きなポジション移動の直前の音を最後まで押さえきっていない(要は手抜きになってしまっている)との指摘が入る。自分ではまったく気づいておらず、手抜きしていたつもりもなかったところで、これも弾き急ぎの悪癖のひとつなのかもしれません。意識して丁寧に弾くことを心がければ、しっかりと弾けるので、ここは心構えの問題のようです。他に、右手のメロディはもっと短く区切って軽快に弾くようにというアドバイスと、もう少しテンポを上げること、テンポを上げても左手のリズムがバタバタしないように、指をあまり鍵盤から離さずにソフトに弾くことを残りの課題としてこの日は終了。

次の課題曲、チェルニーop.823-No.38の譜読み。
チェルニー op.823-No.38

この曲は、右手と左手で役割分担をしてメロディを構成しているため、右手と左手を個別に練習するのが難しい。よって、最初から右手と左手を同時に進めてみるものの、左手の2音目は切り気味にしつつ、右手はスラーですっとつながっているという、左右で音の切り方が異なるところで躓く。教えてもらっても、うまく左右を音の区切りができない。ここは自宅練習で励まなくてはなりません。

リトルピシュナ46番、左手のみの練習。この曲に取り組み始めて結構な時間が経過しているけれど、まだところどころミスタッチがなくならないので、指の押さえ方を再度始動していただく。これだけ練習しきてもまだまだ修行が足りないようです。そのくらいこの曲は初心者には難易度が高い(しかも左手しかやっていないのに)。更に2小節譜読みを進める。それにしても、同じような音程の上げ下げが続くだけなのに、よくもまあこれだけ指の動かし方のバリエーションがあるものだと感心してしまいます。徐々に左手のポジションが右方向にズレて行くところもケアしなくてはならず、難しさが増すばかり。

「ワルツ・フォー・デビー」は譜読みもいよいよ最後の4小節。使用している譜面だとこの最後の部分は、コードを4種類、ひとつずつ押さえて終了するんですが、最後のコードはアルペジオにした方がカッコよく決まるので、少しアレンジして音を足してもらい、ジャズらしいエンディングにしてもらう。先生が弾くとカッコよく決まるこのアルペジオのエンディング、しかしなかなか同じような感じにならない。アルペジオ部を穏やかかつなめらかに弾くポイントを教えていただいたところでこの日のレッスンは時間切れ。

今回のレッスンまでの教訓
●右手のメリハリに注力しすぎて左手の押さえを疎かにしないこと。
●左手リズムをエレガントかつズムーズにするために指をあまり鍵盤から離さない。
●ジャズっぽいエンディングを演出するためにあえて指の運びを穏やかに。

勝手にオーケストラランキング 2019

2年前に書いた自分勝手なオーケストラ・ランキング、その後観たコンサートを加え、見直しを含めてアップデートしました。

オーケストラの演奏というのは、指揮者がオケの力をうまく引き出していたか、曲がオケの特徴にマッチしていたか、その日の調子はどうだったのか、観た席はどこだったのかといった要素が結構大きいので、お遊びランキングとして軽い気持ちで見ていただければと思います。尚、あくまでもオケの技量に着目したもので、そのときの感動の度合いと必ずしも一致しているわけではありません。上位ランクでも好みと違う演奏もありました。また、最近は耳がかなり肥えてきたことが自分でもわかるので、2014年以前に観たオケは評価が甘めの傾向があるかもしれません。


【Sランク】
クリーヴランド管弦楽団
⇒ ベートーヴェン「交響曲第2番」「第6番)
(指揮:フランツ・ウェルザー=メスト、2018年)

バイエルン放送交響楽団(注)
⇒ マーラー「交響曲第9番」
(指揮:マリス・ヤンソンス、2016年)

ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
ハイドン「交響曲第80番」、ブラームス「ピアノ協奏曲第1番」
(指揮:サイモン・ラトル、2015年)

ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団
⇒ ストラヴィンスキー「火の鳥」、チャイコフスキー「交響曲第5番」
(指揮:マリス・ヤンソンス、2013年)
⇒ ブラームス「交響曲第1番」、マーラー「交響曲第4番」
(指揮:ダニエレ・ガッティ、2017年)


【Aランク】
シュターツカペレ・ドレスデン
⇒ シューマン「交響曲第2番」同「第3番」
(指揮:クリスティアン・ティーレマン、2018年)

ルツェルン祝祭管弦楽団
⇒ ベートーヴェン「交響曲第2番」、ストラヴィンスキー「春の祭典」
(指揮:リッカルド・シャイー。2017年)

ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
⇒ ベートーヴェン「交響曲第9番」
(指揮:ズービン・メータ、2016年)
⇒ マーラー「交響曲第3番」
(指揮:マリス・ヤンソンス、2015年)

シュターツカペレ・ベルリン
⇒ ブルックナー「交響曲第5番」「交響曲第6番」
(指揮:ダニエル・バレンボイム、2016年)

シカゴ交響楽団
⇒ ベートーヴェン「交響曲第5番」、マーラー「交響曲第1番」
(指揮:リッカルド・ムーティ、2016年)

ロサンゼルス・フィルハーモニック
⇒ マーラー「交響曲第6番」
(指揮:グスターボ・ドゥダメル、2015年)
⇒ マーラー「交響曲第9番」
(指揮:グスターボ・ドゥダメル、2019年)

マーラー室内管弦楽団
⇒ ベートーヴェン「ピアノ協奏曲第2、第3番、第4番」
(レイフ・オヴェ・アンスネス弾き振り、2015年)

サイトウ・キネン・オーケストラ
⇒ ベルリオーズ「幻想交響曲」
(指揮:小澤征爾、2014年)

ミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団
⇒ ブルックナー「交響曲第4番」、プロコフィエフ「ロメオとジュリエット」抜粋)
(指揮:ワレリー・ゲルギエフ、2015年)
⇒ ブルックナー「交響曲第3番」
(指揮:ロリン・マゼール、2013年)


【Bランク】
ロンドン交響楽団
⇒ バーンスタイン「交響曲第2番」、ヤナーチェック「シンフォニエッタ」、マーラー「交響曲第9番」
(指揮:サイモン・ラトル、2018年)

ボストン交響楽団
⇒ モーツァルト「フルートとハープのための協奏曲」、ラフマニノフ「交響曲第2番」
(指揮:アンドリス・ネルソンス、2017年)

マリインスキー歌劇場管弦楽団
⇒ ラフマニノフ「ピアノ協奏曲第3番」「第4番」、「シンフォニック・ダンス」
(指揮:ワレリー・ゲルギエフ、2017年)

バンベルク交響楽団
⇒ モーツァルト「交響曲第34番」、ブルックナー「交響曲第7番」
(指揮:ヘルベルト・ブロムシュテット、2016年)

ベルリン放送交響楽団
⇒ ブルックナー「交響曲第8番」
(指揮:マレク・ヤノフスキ、2015年)

ベルリン・ドイツ交響楽団(注)
⇒ R.シュトラウス「英雄の生涯」
(指揮:トゥガン・ソヒエフ、2015年)

ウィーン交響楽団
⇒ ベートーヴェン「交響曲第4番」、ニールセン「交響曲第5番」
(指揮:ヘルベルト・ブロムシュテット、2015年)


【Cランク】
エストニア・フェスティバル管弦楽団
⇒ シベリウス「ヴァイオリン協奏曲」「交響曲第2番」
(指揮:パーヴォ・ヤルヴィ、2019年)

フィルハーモニア管弦楽団
⇒ ベートーヴェン「交響曲第7番」「ピアノ協奏曲第3番」
(指揮:エサ=ペッカ・サロネン、2017年)

トーンキュンストラー管弦楽団
⇒ ベートーヴェン「ヴァイオリン協奏曲」、R.シュトラウス「英雄の生涯」
(指揮:佐渡裕、2016年)

パリ管弦楽団
⇒ メンデルスゾーン「ヴァイオリン協奏曲」、マーラー「交響曲第5番」
(指揮:ダニエル・ハーディング、2016年)

国立リヨン管弦楽団
⇒ ラヴェル「ピアノ協奏曲」、サン=サーンス「交響曲第3番」
(指揮:レナード・スラットキン、2014年)

バーミンガム市交響楽団
⇒ ブラームス「ピアノ協奏曲第1番」「交響曲第4番」
(指揮:アンドリス・ネルソンス、2013年)

ドレスデン・フィルハーモニー管弦楽団
⇒ ブラームス「ヴァイオリン協奏曲」「交響曲第1番」
(指揮:ミヒャエル・ザンデルリンク、2019年)
⇒ ベートーヴェン「交響曲第7番」、ブラームス「交響曲第1番」
(指揮:ミヒャエル・ザンデルリンク、2013年)


【Dランク】
スイス・ロマンド管弦楽団
⇒ メンデルスゾーン「ヴァイオリン協奏曲」、マーラー「交響曲第6番」
(指揮:ジョナサン・ノット、2019年)

フィラデルフィア管弦楽団
⇒ プロコフィエフ「ヴァイオリン協奏曲第2番」、ブラームス「交響曲第2番」
(指揮:ヤニック・ネゼ=セガン、2016年)

国立トゥールーズ・キャピタル管弦楽団
⇒ サン=サーンス「ヴァイオリン協奏曲第3番」、ムソルグスキー「展覧会の絵」)
(指揮:トゥガン・ソヒエフ、2015年)

ベルリン・ドイツ交響楽団(注)
⇒ ベートーヴェン「ピアノ協奏曲第3番」、ブラームス「交響曲第1番」
(指揮:トゥガン・ソヒエフ、2015年)

バイエルン放送交響楽団(注)
⇒ ブラームス「ピアノ協奏曲第1番」、R.シュトラウス「薔薇の騎士」
(指揮:マリス・ヤンソンス、2014年)

ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団
⇒ メンデルスゾーン「ヴァイオリン協奏曲」、ショスタコーヴィチ「交響曲第5番」
(指揮:リッカルド・シャイー、2014年)

ドイツ・カンマーフィル・ブレーメン
⇒ ブラームス「ヴァイオリン協奏曲」「交響曲第2番」)
(指揮:パーヴォ・ヤルヴィ、2014年)

【Eランク】
ウラル・フィルハーモニー・ユース管弦楽団
⇒ ブルッフ「スコットランド幻想曲」
(指揮:リオ・クオクマ、2019年)

ロイヤル・ノーザン・シンフォニア
⇒ ストラヴィンスキー:弦楽のための協奏曲、モーツァルト:交響曲第38番「プラハ」
(指揮:ラルス・フォークト、2018年)

フランス国立ロワール管弦楽団
⇒ ラヴェル「ダフニスとクロエ第2組曲」「左手のための協奏曲」)
(指揮:パスカル・ロフェ、2013年)
⇒ デュカス「魔法使いの弟子」、サン=サーンス「死の舞踏」、ラヴェル「ボレロ」
(指揮:パスカル・ロフェ、2017年)

ラムルー管弦楽団
⇒ サン=サーンス「序奏とロンド・カプリチョーソ」「ハバネラ」、デュカス「魔法使いの弟子」、シャブリエの狂想曲「スペイン」。
(指揮:フェイサル・カルイ、2013年)


【Fランク】
ロシア国立管弦楽団 [ロシア国立シンフォニー・カペラ]
⇒ チャイコフスキー「交響曲第4、第5番、第6番」
(指揮:ヴァレリー・ポリャンスキー、2015年)

新日本フィルハーモニー交響楽団
⇒ マーラー「交響曲第2番」
(指揮:ダニエル・ハーディング、2015年)
⇒ チャイコフスキー「ピアノ協奏曲第1番」、ストラヴィンスキー「火の鳥」
(指揮:カチュン・ウォン、2016年)

デュッセルドルフ交響楽団
⇒ シューマン「ピアノ協奏曲」、シューベルト「ロザムンデ序曲」
(指揮:アジス・ショハキモフ、2015年)

東京都交響楽団
⇒ ベートーヴェン「交響曲第3番」
(指揮:小泉和裕、2014年)

NHK交響楽団
⇒ ブラームス「交響曲第2番」「交響曲第3番」
(指揮:ヘルベルト・ブロムシュテット、2013年)

読売交響楽団
⇒ サン=サーンス「交響曲第3番」
(指揮:川瀬賢太郎、2013年)


(注)は2度観てまったく印象が違ったオケ。バイエルン放送交響楽団がSランクとDランクに、ベルリン・ドイツ交響楽団がBランクとDランクの2つに分かれているのは、共に指揮者が同じだったのに同じオケとは思えないほど何もかもが違っていたから。一方でその他複数回観たオケは指揮者が違っていてもオケの地力、音色に大きな差異を感じませんでした。

事前の期待度ほどでないと印象が悪くなるもので、数々の名演をCDで聴くことができるバイエルン放送交響楽団(1度目)はオケの揃い方も音色も歌い方もイマイチと感じ、世評よりもかなり低いランクに(2度目で評価が一変しましたが)。一方でアフォーダブルなチケット代ながら音色がリッチで雄弁だったオケもありました。日本のオケは全体的に個人技が見劣りするし、オケとしてもベタッとのっぺりしたサウンドで全体に締まりがなく、サイトウ・キネンを除いてどれも残念だった印象。たまたま行った日が悪かったんでしょうか。

Sランクはオケの性能が別格。コンセルトヘボウの暖色系で滑らかな美音と雄弁な歌い方、全パートに亘る高度な演奏技術は、ベタなチャイコフスキーの交響曲ですら涙を誘ったほど。ベルリン・フィルも格別なレベルで、小編成のハイドンでこんな音が出るのかとその上手さに敬服。バイエルン放送交響楽団(2度目)も個人技、オケのサウンドの主張共に極上レベルでマーラーの9番は当分生で聴かなくてもいいやと思わせたほどの圧巻の演奏でした。

あえて細かく格付けしましたが、Cランク以上は、満足して会場を後にすることができたオケです。Bランクはコンサート後「とても良い演奏だったねー」と思えたオケで、Aランク以上は一切集中力が切れずに演奏に没頭して「ホント、素晴らしいモノ聴かせてもらいました」と思えたオケ。いずれにしても数年前の英グラモフォン誌のランキングや日本の雑誌のランキングとはだいぶ違います。

ちなみに、クラシックにまだ関心がなかった(演奏の良し悪しなどまったくわからなかった)ときに現地で観たロンドン交響楽団(ムソルグスキー「展覧会の絵」)とローマ歌劇場管弦楽団(ヴェルディ「アッティラ」)は、生演奏って素晴らしいな、で終わってしまったので評価できません(今思うともったいないことをした・・・)。


前回からのアップデート分のオケ短評。

フィルハーモニア管弦楽団:
別日のマーラー6番はネットでは評判良かったけれど、この日はもうひとつ。古楽アプローチのベートーヴェンが僕の肌に合わなかったのと、席のせいかトランペットだけやたらと響いていたのでそもそも演奏に集中できなかったという要因が大きかったかも。

ルツェルン祝祭管弦楽団:
演奏者の実力はさすが。でもこれまで映像で観てきたアバドの演奏と比べると、統制感と繊細さがやや不足していた印象。

ボストン交響楽団:
美しい弦と安定した金管。演奏力は高いとは思ったものの、突き抜けた感じがしないのは木管の響きと艶がもうひとつ足りていなかったから。

マリインスキー歌劇場管弦楽団:
美しい弦と安定した管。知名度、チケット代はだいぶ違うけれど直前に聴いたボストン交響楽団とサウンドの感触もオケの精度も同等という印象(ラフマニノフは得意曲だったからかも?)。

クリーヴランド管弦楽団:
弦の朗々たる歌いっぷり、金管木管も非常に高いレベルで安定、かつ饒舌で、個人的な感触ではシカゴをも凌ぐ実力。

ロンドン交響楽団:
温もりのある弦の雄弁な歌い方が印象的で管も安定。欲を言えば、金管木管にもう一息の主張があれば、という感じ。

シュターツカペレ・ドレスデン:
渋みのあるドイツオケらしい弦の音色が特徴的で、管のレベルも高く、オケ全体から発する音楽的な「圧」を感じた。

スイス・ロマンド管弦楽団:
各パートの歌いっぷりが見事で、合奏の迫力もかなりのもの。ただし、一部管楽器の音は汚く、全体に音のバランスが悪く、元気はいいけれど粗っぽく、デリカシーが欠けている(指揮者の責任も少なからずある)。

エストニア祝祭管弦楽団
非常設オケながら、指揮者にしっかりと統率され、一流オケのようにとまでは言わないけれど、個人の力量やオケとしてのアンサンブルはなかなかのもの。

ウラル・フィルハーモニー・ユース管弦楽団
学生らしき若手多数のオケだけに聴いて感心させられることこそないけれど、予想外にオケとしてのまとまりが良く、著しく技量が低いということもなかった。将来性を感じさせる楽団員の姿を見ていると、これはこれで良いと思えてくる。

ピアノ・レッスン 第52回


(ピアノレッスンの記事は自分のための備忘録を主目的としています)

前回からの継続課題曲、チェルニー Op.599-No.17から。右手の、2番+4番 ⇔ 3番+5番をレガートで弾くところがポイント。前回までよりはスムーズに弾けるものの、まだまだかなりぎこちなく、その部分だけであればうまく弾けても曲として通して弾くと指が動かなくなってしまう。2拍目の指離れが早いために音のつながりが悪くなっているとの指摘もそこに加わって、先生の合格印が出ません。

自分でもこの2週間の練習で指の動き大幅に良くなったという実感はあまりなかったので、この状況は仕方のないところ。では、なぜ2週間やってもあまり上達しなかったのか。先生にいろいろ指使いや、指の動きが良くなる方法を教えていただくうちに自分でわかってきた。要は、これまで練習でやってきたテンポが早すぎて(といっても指定のAndante=「歩くような」程度)、その速度に追随させようとして無理な(しかも自己流の)指使いをしていた。だからピアノの弾き方の基礎的な指の動かし方が上達していない。

ピアノレッスンを始めたときから、僕は曲を弾き急ぐところがあって、先生はあからさまに注意したりはしない(「一度両手を下ろして深呼吸しましょうか」と言われたことは数回ある)けれど、「いいテンポで弾きますね」といわれたときには、「そこまで急がなくてもいいかな」という意味が含まれているのではないか、と今日気づきました。また、弾き急ぎは練習としては何もいいことがないことを改めて再認識。

あと、レッスン後にもう1度考え直して、これまで無意識にやってきた曲の弾き方習得ステップも間違っているという結論に至りました。

これまで:
[1] まずはゆっくり弾いて曲をなぞれるようにする
[2] ある程度なぞれるようになったらテンポを上げて行く
[3] テンポを上げつつ、まだしっかり弾けていなかったところを修正する

あるべきステップ:
[1] まずはゆっくり弾いて曲をなぞれるようにする
[2] 指がしっかり動くようになるまで練習する
[3] しっかり動くようになったらテンポを上げる
[4] 上の[2]と[3]を繰り返して設定するテンポまで上げる

これまでは譜面通り指を動かせるようにする精度とテンポアップを並行してやって、それぞれを向上させる手法を採っていたわけですが、「曲が弾けるようになりたい」という気持ちが強すぎるために、曲の形に聞こえる形を目指して、言い換えると曲に聞こえる体裁だけ整っていれば細かいところは気にしなくてもいいや、という進め方をしてきたということに気づきました。曲が弾けるようになるまでに時間を要するかもしれませんが、やはり急いで曲の形だけなぞれるようになっても、技術(ってほどではまだないんですが)が身に付かないということを肝に銘じる必要がありそうです。

次は、もうひとつの練習課題曲 Op.821-No.4。こちらは左手でジグザグ連符を打ち続けながら、右手で軽快にメロディを奏でる曲。Vivace(活発に)の指定速度には程遠いスピードしか弾けないため、弾き急ぎに陥ることもできない状態なのは不幸中の幸い。4小節目と7小節目のスタッカート部でメロディを軽快さと躍動感を持たせるために、手を大きく上に跳ね上げて落とすポイントを教えていただく。普通の手の高さから打鍵するだけでは平板に聞こえるメロディが、こうすることによって確かにメロディにメリハリと躍動感が出てくるもので、ここをポイントにして次回までにスピードと精度をもう少し上げることが課題です。

リトルピシュナ46番、左手のみの練習。ミスが多いところを先生が観察し、指の使い方を教えていただく。ポイントは、移動が大きいところで指離れを早くする(残しすぎない)ことと、黒鍵をズルっと空振りしてしまうところで厚めに指を乗せること、真上から指を落とすのではなく入る方向から斜めに鍵盤の角を狙うやり方を提案していただく。言われてすぐにできるようになるわけではないけれど、詰めていけばより正確に弾けそうな感触は得たので、教えていただいた方法で精度を上げる練習をして行こうと思います。

今回は、ここまでで時間を使い切ってしまったので、「ワルツ・フォー・デビー」は前回までの確認のみ。

それにしても弾き急ぎの悪癖は早く直さないといけません。

今回のレッスンまでの教訓
●テンポを上げるのはしっかりと指が動くようになってからにする。
●強弱とメリハリ、躍動感を出すポイントでは手を高く上げて落とす弾き方が必要。
●鍵盤の抑え方は、指の進行に合わせて変えた方が精度が上がる。

ザンデルリンク指揮ドレスデン・フィルハーモニー管弦楽団 2019年日本公演

ユリア・フィッシャー201907


2019年7月3日
サントリーホール
【演目】
ブラームス:ヴァイオリン協奏曲(ユリア・フィッシャー)
(アンコール)パガニーニ:24の奇想曲第2番
ブラームス:交響曲第1番
(アンコール)ブラームス:ハンガリー舞曲第5番

ドレスデン・フィルハーモニー管弦楽団は、まだクラシックを聴き始めの頃に観に行ったことがある。演目はベートーヴェンの交響曲第7番とブラームス交響曲第1番という黄金の名曲プログラム。オケの良し悪しがまだそれほどわかっていなかったときだったとはいえ、馴染みのある曲だったこともあって良い印象が記憶に残っている。

その後もこの指揮者とオケのコンビはよく日本に来ているけれど、どの日もベートーヴェンやブラームスの有名曲が中心の演目。オーケストラとして音楽性をアピールすることよりも人気曲で集客しようという意図しか感じられないプログラムで、そればかりでいいの?と疑問を感じて観に行こうという気にはなれなかった。ミヒャエル・ザンデルリンクは親の七光りで、音楽家としての意欲が足りないんじゃないかとも思った。ちなみに、今回の日本ツアー別日では、

シューベルト 交響曲第7番「未完成」
ベートーヴェン 交響曲第5番「運命」
ドヴォルザーク 交響曲第9番「新世界より」

という、ある意味滅多にお目にかかれない絵に描いたような人気曲プログラムが組まれていたりする。

ミヒャエル・ザンデルリンクは今シーズン限りで主席指揮者の座を退く(後任はヤノフスキ)ことになっているけれど、これまでに目立った活躍は聞いたことがなく、集客プログラムを何年も続けるような指揮者が評価されるようなことはないのでは?と思っていたら、最近はコンセルトヘボウ管弦楽団とベルリン・フィルでも客演しているというから、なんとも不思議な感じがする。

それはともかく、この日も正直なところ興味をソソられない、普通なら足を運ぶことはないプログラム。しかし、ソリストがユリア・フィッシャーとなると観に行かないわけにはいかない。ソリストがお目当てでオケのコンサートに行くのはこれが初めてのこと。

以前の記事(http://buhaina.blog.fc2.com/blog-entry-412.html)に書いた通り、ユリア・フィッシャーのヴァイオリンに僕は魅せられてしまっている。彼女のヴァイオリンは、端正でありながら単なる折り目正しさに収まることなく、情感が豊か、抑えるところは抑えつつ、ここぞいうところでの荒々しさも当然備え、その表現の幅の広さと曲の場面にあった表情作りの巧さがあり、それを曲全体の表現に昇華させている。

有名曲ともなると、これまでに数多くの名手による録音が残されており、過去の演奏家とは違う表現を主張するために、創意工夫、趣向を凝らした、場合によってはわざとらしいフレージングをする奏者も少なくなく、それを好ましいとする人には彼女のヴァイオリンは少し物足りないと感じるかもしれない。でも僕は、正直さに溢れていながら端正な技巧と表情が豊かな彼女のヴァイオリンに惹かれる。

そのフィッシャーによるブラームスのヴァイオリン協奏曲、まさにここで書いてきた通りの演奏だった。普通、期待した通りの結果が返ってきただけの場合、人間はそれほど満足したりはしないんだけれど、そんな不足感は皆無で演奏に没頭してしまっていた。要は好きな演奏家の演奏を、生で聴いたらやはり素晴らしかったという当然と言えば当然の話。実演を聴いて付け加えるとしたら、完璧にコントロールされた微音の美しさと繊細な響きが出色で、第2楽章は素晴らしい聴きどころだった。このまま演奏が終わらなければいいのに、と思う演奏を聴けたことは本当に幸せなことである。

後半の交響曲第1番は、この日に限ってはボーナス扱いで気軽に臨んだ。6年前に聴いて好印象だったこのオケ、しかしその後多くの素晴らしいコンサートに触れて耳が肥えてしまった今聴いたら物足りないと感じるんじゃないかという懸念があったから、期待値を下げていた。ところが、オーソドックスなテンポによる進行と、誇張のない自然で柔らかい表現が心地よく、シュターツカペレ・ドレスデンにも通じるドイツオケらしい少し渋めの(洗練を志向していないとも言える)サウンドが曲に良く合っている。厳しい目で見ると、金管と(オーボエ以外の)木管に力強さに物足りなさがあった(上手くないのに汚い音で大きな音を出されるよりはずっと好ましい)し、テンポを急に上げたときに弦のセクションが乱れたりする場面もあったけれど、手練の曲ということもあってブラームスの良さを上手く表現していたように思う。経験上、S席が2万円以下のオケで安心して音楽に身を委ねられる演奏を聴けることは少ないだけに嬉しい誤算だった。

というわけで望外に良い演奏を聴けたこの日のコンサート。もちろん、ユリア・フィッシャーを存分に味わえたことが最大の喜び。次はバッハの無伴奏や、リサイタルでフィッシャーを聴いてみたい。

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