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趣味の人生を楽しむサラリーマンの日記

ショルダーバッグを奢る


僕はファッションに殊更強い興味があるわけではない。若い頃は服やファッションに金をかけるくらいならクルマやCDに注ぎ込んだ方が良いと思っていたくらいで、服なんてなんでもよかった。それでも40歳を過ぎると「さすがにイイ歳なんだからちょっとはまともな格好してないとマズイかも」と思うようになってきた。きっかけは http://buhaina.blog.fc2.com/blog-entry-41.html でも書いた映画「ラブ・アゲイン」かもしれない。確かに食うのに苦労するほど困っていないのに、いつの時代のものなのかもわからないような古い服やユニクロばかり着ていてはさすがにちょっと恥ずかしい。妻が服装チェックをして「それはもうさすがにヤバいんじゃないの?」と言ってくれるので気を緩めずに済んでいるという実態もあったりする。

それなりに身なり(服装や靴やアクセサリー)に気を配ると周囲の目も変わるもので、「オシャレですね」なんて言ってもらえることもあり、悪い気はしないものだ。自分の審美眼も磨かれるので、服を見ればなんとなくどのくらいの値段なのかもわかるようになってくる。服に限ったことでないけれど、モノの良し悪しを見分けられるようになるのは大人として悪いことじゃないと思う。とはいえ、何でも高いモノならいいってもんじゃない。自分の年齢や雰囲気に合っているかどうかがなんと言っても重要で、自分に合っていて上質なものを身に着け、行動や所作もそれに合うように心がけてそれが板についてくると、嫌味なく上質な雰囲気が出てくるものだと思う。ゼニアやアルマーニを40代で着てもしっくりくる人はいないだろうし、クルマだとたとえばジャガーのXJやマセラティなんて、いくらモノが良くてもある程度のシニア層にならないと似合わないわけで、無理して自分のものにすると却ってセンスを疑われてしまうものだ。

気軽に買える価格レンジでないブランドで、しかし以前から気になっていたのがボッテガ・ヴェネタ。イチローが愛用していることでも知られるこのブランドは、ルイ・ヴィトンやグッチのように誰でも知っているというほどではなく、パッと見でわかるようなロゴマークや派手さがあるわけではない。でも少しでもファッションに興味がある人が見れば「ああ、ボッテガだな」とわかるアイデンティティがあるし、上質であることもわかる。そんなやや控えめでいながら主張もあるところを好む人が愛好家となっているようだ。

高すぎて遠巻きに見ていただけだったボッテガ・ヴェネタ、ついにショルダーバッグを買ってしまった。

ボッテガショルダー

ネット販売だと黒でトレードマークの編み模様が前面に出たものが多いんだけれど、これはカジュアルでありながら淡く落ち着きを醸し出すモスグリーンのもの。羊革の柔らかい感触と革でしか得られない落ち着いたツヤが上質感を演出。軽く柔らかいので身に付けていてもフィット感も抜群で、「なるほど、これがイイ物ってやつか」と納得させられてしまう。

これまでも似たような作りでもう少し大きめなサムソナイトの革製ショルダーバッグ(これでも25,000円くらいしたんだけどね)を使っていたんだけれど、身に付けたときの感触と素軽さがもう全然違う。

これは大事に使いたい。そう思える逸品。これも御殿場のアウトレットで入手。カバンはやっぱり実物を見て触って納得して買うのが良いものだと実感した次第です。

(余談)
2年半ぶりくらいに御殿場アウトレットに行ったら客の半分くらいが中国人でビックリ。店員も中国の方を配置している店が多く、まさに中国の観光客さまさまという感じでした。サムソナイトのショップは夕方になると人気商品がほとんどさばけてしまっていたほど(それに買った物を詰めて帰っていくと思われる)。最近は、銀座のデパートや秋葉原などで爆買いしている中国人が多いというニュースは知っていたんだけれど、それを目の当たりにしてしまいました。中国人の買い物パワー、凄まじいです。

スーツケースを新調した

僕が使っているスーツケースは、記憶が定かではないものの、おそらく98年くらいに購入したものだと思われる。ACEが作るProtecAブランドの容量95リットルくらいもので少なくとも軽く4万円くらいはしたはず。ACEはその昔サムソナイトをライセンス生産していて、エンジニアで外回りをしていたときに使っていたサムソナイトのアタッシュケースが丈夫で馴染んでいて好印象だった。そのACEがサムソナイトのライセンス生産を終えて製造していたのがProtecAブランドのもので、僕の目には名前が変わっただけで作りが同じに見えたこともあってスーツケースもProtecAをチョイスした。一生モノとしてしっかりとしたものをと思って選んだわけである。

このProtecAのスーツケースはとても堅牢に作られていて、開け閉めの操作、運送時のハンドルの感触、キャスターの動きなど、どれをとってもしっかりしていると感じさせる「良いモノ」だった。内装もキッチリしていて両面に仕切りがあり、それらを引っ掛けるところもゴムと専用の引っ掛けやすい金具で作られている。スーツを持っていくためのハンガーとそれを固定するアタッチメントも本体にガッチリ取り付けられていた。かように、大変「良いモノ」であるところは今でもその価値を失っていないし、あと10年経ってもきっと同じように使えるに違いない(もちろんもっと高級で良いモノもあるけれど)。

しかし、時代は変わった。かつてはうるさく言われなかった持ち込みラゲッジは今では多くの場合23キロ以内という規定を厳密に守ることを求められるようになった。このProtecAのスーツケースは推定95リットルくらいのもので、ギッシリと詰め込むと35キロくらいまで入ってしまう。これは実際にやってしまったことで2007年にアメリカ国内便に乗ったときに詰め込んで測ったらこの重量だった。荷物が一杯になるような海外旅行はそのときが8年ぶりだったものだから厳しくなったことを知らずにそんなムチャな詰め込みをやってしまっていたのだ。

2007年当時でも店頭で販売されているスーツケースはもはやこのようなガッチリ丈夫なものはなく、軽さを売りにしたものばかりであることはには気づいていたものの、一生モノとして購入し、決して安くないスーツケースで作りの良いものを廃棄する気持ちになれず使い続けていた。しかし、その後も何度か欧州旅行に行くと、6割くらいの詰め込みで23キロくらいになってしまうところを目の当たりにし続けることになり、2009年以降アメリカは旅行しないないけれどTSAロックに対応していないのも気になって「う~む、さすがにもう時代遅れかも」と思うようになってきた。

で、アウトレットに行ったときにとてもお安くなっていたので結局新しいProtecAのものを購入。税込みで26,000円程度とお求めやすい価格で、手で押すと凹む昨今の樹脂製系、そしてファスナー開閉、更にハンドルなしというモデルを選んだ。容量96リットルで4.5キロとなかなかの軽量さがウリのスーツケースである。このサイズだと運ぶときにハンドルの必要性は低いので収納性(内側の出っ張りのなさ)と軽さを優先しての選択。

スーツケース2
スーツケース1

17年前に買ったグレーのProtecAのスーツケースとはもうまったく別物で、押してもビクともしなかった剛健さからペラペラの樹脂製系になっただけで高級感は大幅に減退、しかし重量は7.4キロから4.5キロと2.9キロも軽くなった。2.9キロなんて言ったらワインを2本入れてもまだ余裕でお釣りがくるくらいだし、服なら長袖のシャツ2枚にGパン1本と靴1足くらいは収まるだろう。いずれにしても「あともう一声」どころでない余裕ができるのは確か。というか古いスーツケースがいったいどのくらいの重さなのかは後で測ってみて知ったことで、こんなに重かったのかと驚いてしまった次第。

最近のスーツケースは軽量化の名の下、外装はプラスチック感が濃厚で内装はビニールで覆っただけという最低限のものが多い。そう考えると今回購入したものは、外観はエンボス加工がされて安っぽいテカリが抑えられ、内装も薄いなりにシートが張られている。それに一応はMade in Japan(内装はちょっと雑だけど)で、軽量スーツケースとしてはまずまずの質感だと思うし、型落ちの売れ残りのおかげで価格が抑えられていた(レンタル4回分でトントンくらいか?)ので納得の買い物ができたと思う。この価格ならまたご時世が変わって買い換えることになってもあまり心が痛まないし。

スーツケースを新調すると気分がいいし、旅行が楽しみになる。これで6月のウィーン、ベルリン旅行もこのスーツケースでフレッシュな気分で行けるというもの。

更に安心を求めてラゲッジチェッカーとしてミヨシという会社のMBL-02というものを購入(一緒に写っているのはiPhone6)。
はかり

単位は、kg、g、lb、ozの四種類の計測が可能。精度は10キロ以下なら±100g、10キロ以上なら1%と説明書には書かれていて実際その通りの印象。吊り下げて重さが安定するとアラームが鳴り、記録が表示される。軽い物だとすぐに安定して結果が出るけれど、9キロくらいの荷物で試してみたら吊り下げるとどうしても少し揺れるのでちょっと時間がかかる。あと、その影響で測定時のバラツキも出やすくなる(それでも9キロで100グラム前後の範囲だったけど)。これが20キロ以上だと安定させるのはもっと大変だろうし精度ももう少し甘くなりそう。ちなみにここで言っている精度とは計測器としての精度のことではなく、荷物を安定させられないことで出る誤差のこと。この種のチェッカーで誤差が大きく出たと言っている人が少なからずいるけれど、測り方によっても結構変わるので必ずしも機材のせいばかりではないような気がする。尚、このMBL-02という機器最大の利点はボタン電池ではなく単4電池で動作すること。旅行先で電池切れでも困らないことでしょう。おすすめできます。


メガネの嗜み-調光レンズを試してみる

メガネリスト

僕は中学生のときからメガネを使い始めているので、メガネはもう体の一部になっている。25年くらい前にコンタクトレンズを一度試してみたけれど、ソフトレンズなのにすぐにズレてしまったり、どうにも痛かったりと体に合わず、手入れも面倒でやめてしまった。そんなわけでメガネは僕の視力を支えてくれる唯一の手段になっている。まあ、最近はレーシックという選択肢もありますが・・・

メガネとお付き合いすることが決まった以上、ポジティヴに楽しもうではないか、と10年くらい前に急に思い立って、そこから2年くらいいろんなメガネを何本も作ってきた。今でも利用しているのが上の写真の4つ。仕事用、プライベート用とTPOに応じて使い分けている。

メガネは本当に体の一部だし、掛け心地が良くないとなかなか長時間愛用するようにならない。そういう機能面での重要性はもちろんのこと、やはりファッション性も重要なものであるという思いは多くの人に共通しているだろうと思う(余談ながら交通事故で壊れると購入時の価格で保証される医療機器という本来は完全なる機能品)。

ちなみに、人は自分にないもの、制約があって得られないものに憧れる生き物。メガネ利用者が憧れるモノ・・・それはサングラス。

サングラス、よく言われているように黒い目をした日本人には眩しくて生活しにくいというシーンは日本ではほとんどなく必須というわけではないと思う。それでも、特にこれからの春から夏にかけれは眩しいと感じるシチュエーションはあるし、男が肩肘張らずに飾れる数少ないアクセサリー(あとは時計とバッグくらいでしょう?)として欲しくなってしまう。

コンタクトレンズ不適合者がサングラスをするとなると、度付きの専用品にするか、クリップオン式にするのが一般的な方法になる。ただ、出掛けてから一度も室内に入ることもなく暗くなるまでに家に帰るという行動パターンはまずありえないので、度付きサングラスの場合は通常のメガネをいつも所持して室内に入ったらかけかえないといけない。クリップオン式はケースに入れてしまうだけという意味ではサングラスと同様に扱えそうだけれども実際に使ってみると落としたり(そして傷ついたり)、失くしたりしやすいという小ささゆえの気遣いが必要になるし、サングラスのようにちょっとシャツに引っ掛けておくという技も使えない。

要は、どちらを選んだとしても何かとめんどくさい。面倒だと気楽に着けようという気になれなくなり、あまり使わなくなってしまう。さらに言うとクリップオン式はレンズの2枚重ねによる乱反射が気になるし、「いかにも追加してます」という見た目もスマートとは言い難い。

そんな人への福音となるのが調光レンズ。以前から興味はあったけれど、ついに作ってみた。レンズは各社から発売されている中、トランジションズという調光レンズの老舗ブランドのものを選んでみた。

調光レンズの特徴は、紫外線に反応して色が着くこと、高温度環境下では着色が鈍くなること、と言われている。トランジションズではシグネイチャーというモデルの他に、紫外線だけでなく明るさにも反応するエクストラアクティブというモデルもあり、こちらを選んでみた。

まず、窓がない完全室内だとほんの少しだけグレーがかっているものの無色といって差し支えないくらい透明に近いので、見た目は普通のメガネに十分見える。太陽光の下にいると素早く着色が始まり、今の時期(4月)ではもっとも色が濃くなるまでの時間は1分もあれば十分。また、かなり重い雲がたちこめていても外にいると薄っすらとグレーに色づく。一方で退色は遅く、透明に見えるようになるまでには5分以上は要する。しかも、窓がある部屋にいると紫外線を受けるので透明にはなかなかならない。

調光レンズ暗
調光レンズ明

この特性からするとビジネス・シーンでの使用はちょっと厳しそう。特に外からオフィスに戻ってきたときなどは明らかに色が残ってしまうので、お堅い企業に勤めている人には向いていないと思う。オフィスに窓があったら天気の良い日だと常時薄っすらと色が着いた状態になってしまうかもしれない。

用途のひとつとして考えていたクルマ運転時の使用はどうか。自車アルファロメオMiToのガラスは、カタログでは紫外線をカットしているかどうかを明示していないものの、ネット上の情報によるとフロントガラスで99%、サイドとリアでも70%カットしているという。実際に使ってみると、もともと直射日光を受けていないと晴天で眩しいくらいでもほんのり色が着く程度なので、クルマの室内でも大きな防眩の役割を果たしてくれるわけではない。それでも少しは眩しさを和らげてくれるし、トンネルに入ったときに暗すぎて見えない、ということにもならないのでこれでも良いと言えるかもしれない。ただし、調光レンズは暑くなると着色が鈍くなる特性があるらしいので真夏だとほとんど色が着かない可能性が高そうだ。

この調光レンズは、レンズの表面に感光物質をコーティングする方法で作られているのでコーティングが劣化すると着色しない、あるいは鈍くなることになる。このためレンズの手入れはより気を付ける必要があり、購入したショップの店員からは「なるべく乾拭きを避けて、ゴシゴシ拭かないで叩くように拭いてください」とアドバイスをいただいた。実際に拭いてみるとレンズの滑りが手持ちの他のメガネよりも良く、確かにコーティングがしっかりとされている感じがする。

総合的に見ると、このエクストラアクティブというレンズはあくまでもサングラスとして使うものだと思う。紫外線に敏感に反応するので例え色が薄かったとしても色が着いていることが他人からわかる以上、フォーマルな場面では普通のメガネとして見えもらえない可能性が高く、レジャー・シーンでの用途に限定されてしまう。一方で直射日光を受けない限り、色着きが薄いので防眩効果はあまり高くなく、特に「ピーカンだけど日陰にいる」というシチュエーションでいかにもサングラス的な外見を求める人には物足りないと感じる人が多いんじゃないだろうか。

つまり、都合の良いときだけサングラスになってくれるメガネとして、あるいは眩しいシーンのときに強く減光していかにもな外見のサングラスとして、とかんがえると少々中途半端であることは否めない。やはりそうは好都合なものは存在しないらしい。これを以ってあまり実用性が高くないと評する人がいたとしてもおかしくないと思う。

でも使ってみて思ったことは、この中途半端さが休日用に気軽に使う分には丁度いい。1日中、着用していても困るシーンがないのだ。最も濃くなったとしても目玉が完全に見えなくなるほどではないのでそのまま室内に入ったとしても視界が暗すぎて困ることは少ない(モノの色を判別したいときだけは注意が必要だけど)。しかも数分待てばどんどん視界は明るくなっていく。着色も退色も連続的に変化する特性は急に視界の明るさが変わらないのでむしろ自然にすら感じる。運転中にトンネルに入ったとしても田舎道で照明がほとんどないようなトンネルでもない限り暗すぎて困ると感じることはない。つまり、良い意味でサングラスをしているという意識をあまりしなくても過ごせてしまう。これは、別途度付きサングラスやクリップオン式サングラスを持つときに、付替えや取り外しを常に意識していなくてはならないのと対照的な気楽さで、弱視者にとってこんなに気を使わなくて済むとはない。レジャーのときは持ち出しや保管のことを考えずに調光レンズのこのメガネを着ければ良いというイージーさがとても良い。

あとは2~3年という寿命が気になるところだけれど、僕は最初からサングラスとして作った(だからフレームもサングラス的なものを選んだ)のでレジャーでしか使わないし、丁寧に扱うつもりなのでもう少し長く使えるといいなあ、という感じ。まあこればかりは願うしかない。

というわけで機能的にはとても満足できる一品で、お気に入りのアクセサリーとして愛用できそう。これからの季節、外出時、旅行時には大活躍してくれることでしょう。

(2018年4月1日追記)
利用しはじめてから3年、月に2、3度という過保護な使用頻度で利用してきた結果はどうなったか。まず、調光による着色に関しては今でも問題なく、日差しを受ければサングラス同様に黒に近いところまでしっかり色付いてくれているので機能劣化は感じない。一方で、着色のない状態のときにわかるのがプラスチックレンズの経年劣化現象である黄色化。メガネ屋さん曰く、通常のプラスチック・レンズよりも黄色経年劣化の進みは早いとのこと。傍目から見て違和感があるほどではないので、通常の使用上気にしなくても良いと思う。

今更ながらコンデジを買う-キヤノン Powershot S120

最近のデジカメ市場、特にコンパクト・デジタルカメラの市場はすっかり縮小していて壊滅状態らしい。かつてあれほど盛り上がった市場を奪ったのは言うまでもなく携帯電話、スマートフォンである。

確かにその瞬間を切り取ることだけを求めた記録としての写真は、カメラが高性能化したスマホでほとんど足りてしまう。FacebookやTwitterに上げるのもスマホの方が遥かにラクだし、画面上のタップでフォーカスや露出を合わせてくれるという、撮影者の気軽な要望を反映できるところなどそれまでにあったコンデジより優れているところもあるくらいだ。

一方で、自分の意思で「こういう写真が撮りたい」と画作りを考える人は、以前より遥かに安価になった一眼カメラを手に取るようになり、より綺麗な写真を撮りたいという人が増えていることも手伝ってまずまずの盛況ぶりらしい。

こうなると、一眼カメラのように画作りを積極的にできるわけはなく、スマホのように使い勝手や写真の扱いに優れているわけでもない低価格のコンデジはほとんど価値がなくなってくるのも仕方のないところ。実際、愛猫のふとした瞬間の写真を撮りたくなると僕も反射的にiPhoneを手に取ってしまう。

それでもコンデジは手元に1台欲しい。まず第1にiPhoneだと容量的に写真を何枚も撮り溜めることができない(アンドロイド系は高価なmicroSDカードを挿せば問題ないだろうけれど)。しかしデジカメは3500円(=64GB)程度のSDカードさえ買えば事実上撮影枚数の上限がなくなる。そして、少しでもカメラの知識がある人ならやはりコンデジであってもデジカメの方が撮影の自由度がずっと高いところはやはり大きな魅力だと思う。

手元にはパナソニックのDMC-ZX1という、5年半前くらいに購入したコンデジがある。旅行のときにはバンバン撮りまくっているのだけれども、前述の通り、スマホのカメラのように画面の被写体をタップしてピントと露出を一瞬で合わせるという軽業が使えないし、そういうときの暗部の記録が苦手でほとんど黒つぶれしてしまう。そんな機能的な不足を感じるようになり、撮れた写真の画質が特に優れているわけでもないからどんどん使わなくなってしまっていた。また、写真に黒い筋がはっきりと映るというトラブルがときどきあって、こうなるといざ大事な写真を撮りたいというときに使えない。

旅行を控えて、やはりデジカメが欲しくなった。デジカメは僕の関心のあるジャンルのガジェットではないので、最近の動向は一切知らず、1から調べ始めてみる。最近の機種を調べてみると、コンデジの中でも安価なお気軽スナップしショット用と少しこだわりを持った人のニーズに応える高級機と二分化していることがわかった。また最近は、無駄に数が大きくなった画素数よりも撮像素子のサイズから画質を語ることが普通になっているようで一般のデジカメ使用者の知識も変わってきているんだなということもこの機会で初めて知った。

そしてリサーチの結果、購入したのがCanon Powershot S120。既に発売後1年半が経過しているモデルで、メーカーのWebサイトでは在庫限りと注意書きが加えられている古い機種である。それはまた即ち後継機種がないことも意味している。

選んだ理由は、オートでもそれなりに完成度の高い写真が撮れるという評判と、スマホのように液晶へのタッチで被写体にピントを(測光設定次第では露出も)合わせることができること、そしてワイド端でF1.8という明るいレンズを採用していること。競合には更にロングセラーで高評価のサイバーショットDSC-RX100という人気製品もあったけれど、サイズとタッチパネルの差でS120を採ることになった。

とまあ、こんなことを書き連ねているとカメラマニアには笑われそうだけれど続けよう。デジカメの新製品なんてまったくチェックしていなかったので5年の進化にはやはり驚くことが多い。

まず、起動が早い。たぶん今はこのくらいは当たり前だろうし、もっと早い製品もあるらしいけれど、S120のスピードで不満の声を上げる人はほとんどいないんじゃないかと思う。またピント合わせも早い。電源を入れてからシャッターを切るまでの時間がここまで短く済むと撮影行為のフットワークが断然軽くなって快適だ。これを体験してしまうと、5年前のパナソニックのデジカメが鈍くてイライラしてしまう。このスピード感ならスマホを取り出してカメラを立ち上げるスピードにも遜色がないように思う。

また、これも今では当たり前のようだけれども、事実上シャッターを切っている時間だけ撮り続けることができる連写機能にも驚いてしまった。僕はかつて一口持っていた競走馬を撮影するためにハイスピードエクシリムの最初期モデルEX-FH20を持っているけれど、20倍ズームと超高速連写さえあきらめればS120で事が足りてしまうようになった。

暗いところではF1.8のレンズが効いて、パナソニックDMC-ZX1では1/8のシャッタースピードのところが1/30で撮影できる。しかもISO感度もS120の方が低い。ここまで違うと手ブレを写真を大幅に減らすことになるし、ノイズも少なくて済む。撮影モードと効果の多彩さ、それらを呼び出すインターフェイスの扱いやすさも良好で持っている機能を引き出しやすいところも良いと思う。ただし、カメラ操作をすることや、各所機能の内容にも関心がないという人にはこれら機能の使いこなしと操作方法の習得はさすがにちょっと煩わしいかもしれない。

何はともあれ、前述の通りiPhoneのように液晶タッチで被写体にピントも露出も合わせることができることを要件にしていたので、「スマホのように撮影出来て高機能を」という僕の要求に応えてくれる。それ以外のマニュアル設定、エフェクト系設定も多く、すべてを使いこなすことはできそうにないほど豊富だ。

外に持ちだして景色などの写真を撮ってみたらその仕上がりにもっと驚いた。ひとことで言って画像の情報量が多い。解像感もあるし色の出方も綺麗で、しかもナチュラル。昔のデジカメのようにやたらエッジ強調をするという稚拙な手段も採っていないから自然な仕上がりになっている。ハイエンドのオーディオ・スピーカーが妙な色付けがなくても全域に渡って美しい音を出すのと同じように、カメラが良いと画全体のグレードが上がることがよくわかった。その気になればHDR撮影や背景ぼかしなどの(いささか邪道ではあるが)加工系モードも使えるものの、オートで気軽に、そしてテンポ良くなかなかのクオリティの写真が撮影できるので非常に楽しい。一眼であれば当然もっと良い画が撮れるだろうけれども、コンデジでこの画質ならスマホのカメラと十分差別化ができていると思う。

iPhoneSample
S120Sample

上がiPhone6の写真で下がS120の写真。

思いつきでサッと撮影した2枚なのでまったく同じアングルというわけではなく、直接比較は難しいけれど、まずぱっと見でiPhoneの写真の方が奥行き感がなく平板であることは誰でも感じ取れると思う。後方にある紙袋のBurberyの文字びボケ具合など、オートでもPowershot S120ではポートレイト・モードを選択しているようでそれがうまく機能している。S120は窓から逆行がフレームに入ってより悪い条件ながら被写体が暗く映るようなことになっていないし、毛の1本1本も細かく表現できていて毛並みの質感がより膨よかに見える(ここに上げたのは縮小写真でオリジナル同士の比較ではもっと差がある)。

というわけで、撮った写真のクオリティがワンランク上がったのは間違いない。モデル末期で最安値時よりはやや値が上がっていたとはいえ、ここまでのコンデジが3万円未満というのは、300万画素競争をしていて9万円くらいしていたときからデジカメを使い始めた身からすると驚くばかり。それでこの画質の写真が撮れるのだから満足度は高い。正直言ってコンデジがこんなに進歩しているとは思わなかった。「もうスマホで十分じゃん」と言っている人も今のコンデジは一度見直してみた方がいいのではないかと大きなお世話的なことを言いたくなる(あまり低価格なものはどうかわかりませんが)。

手放しで褒められない唯一のポイントは、強いて言うならばサイズだろうか。気軽に持ち運びするモノとして重さと厚みはこれ以上になると厳しいと思う(サイバーショットDSC-RX100は更に少し厚くて重い)。今のサイズならGパンのポケットに入れることもできるし、手に持ち続けていてなんとか苦にならない重さにギリギリ収まっている。それでも、人によっては大きく重すぎると感じるんじゃないだろうか。ところがキヤノンのコンデジ・ラインナップを見ると、Powershot Sシリーズは後継機種がなく、事実上G7シリーズに統合されている様子。しかし、S120の193gに対してG7シリーズは279gもあり、その存在の重さはもはや「気軽に持ち出す」ものではないような気がする。G7シリーズはより大きなサイズのCMOSを搭載するなどもう少し高画質寄りとはいえ、このサイズと重さだと持ち運ぶときに「よし、今日はカメラを持って行くぞ」という決心が必要で、中途半端に大きいコンデジになんの価値があるのか個人的にはよくわからない(それなら一眼を買いたくなるのでは?)。そのへんに置いておいて出かけるときにヒョイと持っていける気軽さが欲しいならIXYを買ってくれというのがメーカーのメッセージなんだろうけれど、それならスマホがあれば十分というのがカメラに関心がない一般の人の実感だろうから、「スマホよりもずっと良い画質で気軽に持ち出せる」カメラとしてS120はとても価値があると個人的には思う・・・でもやっぱりニッチなんだろな、そういう市場は。

こういうリマスターもある-Bad Company 初期2枚のデラックス・エディション

バドカン初期デラックス・エディション

僕が学生時代のころ(83年~89年)に流行っていたロックと言えば、LAメタル系の幾多のグループやヴァン・ヘイレンといったアメリカのグループだった。確かにその種のグループは時代の流れに乗って聴いたけれど、僕の心は英国にあった。ただし、80年代の英国ロックは低調で、遡って70年代のものばかり聴いていた。レッド・ツェッペリン、ディープ・パープルといったメジャーどころから、フリー、ハンブル・パイ、ウィッシュボーン・アッシュ、テン・イヤーズ・アフターといったややマイナーなものまで、ブルース色の濃い、80年代米国のチャラチャラしたロックではなくてバタ臭くて骨太で男っぽいヤツが大好きだった(今でもね)。

そのお気に入りグループのひとつがバッド・カンパニー。最初に買ったレコードは「10 from 6」というベスト盤で、ザ・ファーム(The Firm)でジミー・ペイジが久しぶりに活動を再開したときに組んだヴォーカリストとして玄人好みのポール・ロジャースににわかに注目が集まり、それに便乗したかのような企画編集モノという印象だった。

これが聴いてすぐに良いとはさっぱり思えない渋さ。今でこそ大好きだし、遡って聴いたフリーも生涯大事にして行くグループになっているけれど、刺激の強いロックに耳が慣れていた高校生にとってはあまりに地味だった。コーラスはほとんどないし、ギターも必要最低限。激しいわけではなく、むしろノンビリ調の曲が目立つくらい。でも繰り返して聴くうちに、もっと内面に目が行き届くようになると違うものが見えてくる。シンプルで、大音量でいなくても演奏やヴォーカルというものはニュアンスのもたせ方でいろいろと音楽に起伏を与えることができることを僕はこのバンドから学んだ。今聴くと、たとえばミック・ラルフスやサイモン・カークの演奏なんてヘタクソだなあと思う。でも、「ここでハイハットを一発強めに入れる」「ここでコードを上昇してチョイ強めに」みたいなほんのちょっとのことで音楽が生き生きしてくる。ロックってそういう譜面で表現できないような情感をいかに表現するかの音楽で、この4人はそういうろころが良くわかってるなあと聴く度に感じ入ってしまうのだ。でも、彼らは僕の世代より少し上の人たちが聴いてきたバンドで、バッド・カンパニーを聴いている人なんて周囲に誰一人いませんでしたねえ。今の若い人が聴いてもわかんないだろうなあ、こういうロック。

という、オジサンにしか聴かれていないバッド・カンパニーのアルバムにデラックス・エディションがリリースされるとは思いもしなかった。オリジナル・アルバムは再度(3度めか?)のリマスターを施し、ボーナス・ディスクには未発表、未発表テイクが山盛りとなれば、何度目かの買い直しも仕方ないところ。

まず、リマスターの仕上がりを聴いてみる。比較は以前手元にあった当時最新版リマスターでたぶん2010年のものだと思う(音源はリッピングして残っているけれどCDはもう手元にない)。

パッと聴いた瞬間に音の違いがわかる。もう明らかに別物。ただし、それは必ずしも良い意味ではない。最初に聴いたら「あれ?古いリマスター盤?」と思うはずだ。前リマスターを聴いたときにあまりにクッキリかつクリアで感激したので、今度のリマスターではそれをどうイジったのか興味津々だった。その前リマスターは高音クリアで低音もズンズン響くワイドレンジで音の響きまでも克明に表現した高音質リマスターだったと思う。今回の2015年リイシューのリマスターは反対方向に振っている。ハイハットやシンバルの音が抑えられているし楽器の響きも少なくなっていて、結果的に音がコモリ気味に聴こえてしまう。音場は狭くなりタイトに。だからといってCD初期のようにガサついた音の感触ではなく、ひとつひとつの音は滑らかで低音も普通に出ているので、一応新しいリマスタリングであることはわかる。

最新のレッド・ツェッペリンのリマスターは、アナログ時代の温もりある音を取り戻しつつ、音のディテールもしっかりと表現できた見通しの良い、やり直しリマスターのお手本のような仕上がりになっているけれど、今回のバッド・カンパニーのリマスターは見通しが悪くなっていてまるでレコードを聴いているかのよう。

これは推測になるけれど、バッド・カンパニーのこれまでのリマスターは誰かがポリシーを持って施してきたわけではなく、リマスターの企画ごとに場当たり的にやっていたんじゃないだろうか。メンバーが積極的に関与した形跡も見られない(そういう情報を見かけない)。今回はデラックス・エディション用にリマスターしましょうということで企画したんだろうけれど、特に目的意識を持ってやっているわけじゃないからリマスタリング・エンジニアが好きなようにやる。この2015年リマスターと前2010年リマスターには連続性がない。前リマスターが現代的すぎる作りだったから最近のトレンドに従ってアナログ味を取り戻そう、というような流れではなく、今回の担当エンジニアの好みでナローレンジのアナログ的なリマスタリングにしているだけになっているように見える。だから、より良くなっているのではなく別物になってしまっているのだ。

これは困るなあ。確かに2015年リマスターを聴いていると「そうそう、確かにバッド・カンパニーってこういうレトロなサウンドが相応しいよな。前のは現代的に仕上げすぎだったかも」と思う一方で「もっと丁寧に音を掘り起こせばレトロサウンドを維持しつつ微細な音を拾い上げることもできたのでは?」という疑念が頭をよぎってしまってどうにもスッキリしない。

リマスタリングはやはり慧眼とポリシーと持った人が監修しないとこうなってしまうということなんだと思う。

デラックス・エディションのメインはむしろ未発表テイク集のディスクでしょう。一部はベスト盤に収録されたテイクもあるものの、基本的には初お目見えのものが多い。かつてリリースされたフリーのボックス・セット「Songs Of Yesterday」をご存知の方はほぼ似たような感じだと思っていただいて差し支えない。純粋な未発表曲は少ないかもしれないけれど、テイク違いやヴォーカル違いで全く違う表情を見せることができるのがこの時代のバンドの底力。もちろん本テイクの完成度には到底及ばない。それでも違う魅力として聴けるからファンなら押さえたいところ。特にテイク違いでのポール・ロジャースの引き出しの多さには改めて恐れ入る。個人的にはオーバーダブなしの"Shooting Star"の別テイクが素晴らしい。肩の力が抜けたまったく本気でないテイクなのに惚れ惚れする。ファンなら押さえておきたい。いや、必聴に訂正しよう。素晴らしい。

ところでこのシリーズ、「Run With The Pack」以降は出すんだろうか。リマスターが微妙だけれども、別テイクてんこ盛りなら期待したい。でも、もうちょっとリマスタリングはなんとかして欲しいなあ。

「ダラス・バイヤーズ・クラブ」(ネタバレあり)

ダラスバイヤーズ

予備知識なしでの鑑賞。
好評価なのも納得できる、好みの映画でした。

まず、冒頭でHIVをロンが宣告されてから周囲の反応がやたら旧時代的(ゲイだけが感染するとか、触っただけで感染するとか)で、???と思っていたら、余命30日を宣告されてカレンダーを眺めるシーンに「1985」と書いてあって、なるほどと納得。わざわざそういう時代設定ということはこれ実話なの?とここでようやく気づく。

僕はAIDSに関わったことはないけれど、この世で一番好きなミュージシャンの一人、フレディ・マーキュリーを奪った病気として向き合い、周りの人よりも正しい知識を得たのはずっと早かったし、80年代後半くらいの時期に世間一般でどういう目で見られてきたのかをよく覚えているだけに、この時代の空気を思い出してちょっと嫌な気分になってしまった。

見るに耐えない堕落した生活を送るヤク漬け男にシンパシーを感じる人はおそらくいない。余命30日を宣告されて、最初は現実を受け入れることができなかったものの、冷静になってからの行動力は凄い。インターネットがない時代に調べまくり(マイクロフィッシュを覗いているシーンがなんだか懐かしかった)、玄人はだしの知識を身に付ける。その先には未認可の薬と役所や人命より金儲けを優先する製薬会社の姿が見えてくる。

ここに、正しく、患者のための薬を提供するための裏ドラッグ屋が誕生し、その奮闘が描かれているのがこの映画というわけで、こうやって書くとストーリーは特別意外性があるわけではないことに気づく。でもね、人間、ここまで変われるんだっていう話は、よくある王道パターンのストーリーかもしれないけれど、こうやって実話ベースで見ると説得力があるんですよ。自分はもうすぐ死ぬかもしれない、という焦燥感からここまでできだけのことをする人ってそうはいないんじゃないだろうか。だから感情移入できるわけです。

この映画のいいところは、過剰にドラマチック仕立てあげていないところでしょう。かつての仲間にゲイ友達を無理やり握手させるシーンや、女医(ジェニファー・ガーナー)とのディナーのシーンなどはもっと派手に仕立てることもできただろうに、ほどほどで収めている。お涙頂戴になるはずのレイヨンの死も大事件でありつつ、案外アッサリ描いているところも象徴的。アメリカ映画として必要な部分はちゃんと盛っているけれど、決してやりすぎていないところが好印象。

あと、マシュー・マコノヒーの立ったキャラがうまくハマった感じですかねえ。途中からマコノヒーではなくてこの人がロンに見えてきてしまう。僕が初めてマコノヒーを観たのはラブコメの「10日間で男を上手にフル方法」で、そのときから「この人、そんなにイケメンのキャラかなあ。顔でかすぎるし」などと思っていて、今となってはその印象が当たっていたと思わずにはいられない。久々に観たのは「リンカーン弁護士」で、なかなかいい役者になったじゃないかと思っていたら、「ウルフ・オブ・ウォールストリート」で短時間登場ながら濃いキャラで凄いインパクト、そしてこの映画で行くところまで行ってしまった。これからは怪優としての道を歩む予感さえする。

壁にあたっている自分を鼓舞したいとき、僕は「マネーボール」を観るけれど、この映画も加えることにしよう。

Bluetoothスピーカー対決 <BOSE Soundlink mini vs SONY SRS-X33>

僕は音楽中毒だ。しかも、かなり重症の。

思い起こせば、家にいるときに常に何らかの音楽を流しているという生活を小学生のころからずっと送っている。テレビを見ているとき以外は、基本的に音楽を聴くことが当たり前、ウォークマンに始まり最近の携帯音楽プレイヤーのおかげで移動中も聴くことが当たり前になり、1000枚以上のCDをポケットに持ち運べる時代になると、次は旅行先や屋外で気軽に聴けることを望むようになってくる。

というわけで、出張や旅行のときに部屋に音楽を流すためのスピーカーは僕にとって今や必携品になっている。とはいえ、持ち運べるスピーカーというカテゴリーの製品は古くからあるもので今更目新しいものではない。しかし、かつてにそれら製品は、とりあえず音が鳴るというだけの代物で音楽を聴くというよりは音声を聞くためのものでしかなかった。昨今の持ち運べるスピーカーは、ある程度音楽鑑賞に耐える音質の良さを目指して作られ、しかもワイヤレスで聴けることがトレンドとなっている。

ほとんどがBluetoothを利用するワイヤレス・スピーカー市場において、その製品は今や百家繚乱の様相を呈してきたといっても過言ではなく、ニーズに応じて商品を選べるというのは消費者にとって大変喜ばしい。中にはミニコンポの代替品の領域までを狙う本格的なものまであるけれど、僕が求めている要素は出張や旅行先に気軽に持っていくことができる軽量・コンパクトさであり、それでいてしっかりした低音が出るものであること。

ホテルの部屋は、当たり前だけれども大きな音で音楽を流すことはできない。だから低音のパワーなんて要らないし、そんなに音質にこだわらなくてもいいじゃないか、と思う御仁がいらっしゃったとしても不思議はない。しかし、抑え気味の音量だと空調の音などでマスキングされて低音が聴こえ辛くなってしまう。そこでベースやコントラバスの音が聴こえることを基準にボリュームを上げると今度は全体の音量が結構大きくなってしまう。小音量でも低音を実感できるレベルであってほしい。低音が聴こえないと音楽がどうしても薄っぺらくなってしまうからだ。

そんな要望に応えてくれる製品として、かれこれ1年以上愛用しているがBOSE Soundlink mini。

BOSEはもともと「コンサートホールで耳に届いている音の90%は直接音ではなく間接音である」という事実から、Hi-Fiを追求した透明度の高い音質というよりは豊かに音を響かせることを音作りの基本としていて、特にコンパクトな筐体から厚い中低音を撚り出すことを得意としている製品が多い。その独特の音作りはBOSEサウンドと呼ばれおり、解像感はほどほどにしつつ中低音をしっかりと響かせることを特徴としてる。ところが最近のBOSEのヘッドフォンやイヤホンは、その中低音が控えめで、誤解を恐れずに言えば爽やかで小奇麗なサウンドに変貌してきていて、BOSEも変わってきいるんだなと思いはじめていた。

しかし、このSoundlink miniは旧来のBOSEサウンドを強く継承した製品で、この小ささながら中低音が豊かに響くところに流石と思わせる説得力がある。解像度はあまりなく、塊感のあるサウンドであるところも旧来のBOSEサウンドそのもので、そこは弱点と捉える人も(特にピュア・オーディオ愛好家を中心に)少なくないものの、実はBGMで聴くという用途においては聴き疲れしなくて心地良いという利点もある。総じて僕の用途で使う分には多くのニーズを満たしてくれる納得できる製品として愛用し続けている。一方で、音質にこだわる人は欲が深いもので、「もう少し音がクリアだといいな」「音場の広がりが欲しいな」とないものねだりをしたくなってしまうのも事実である。

この3月に、ガチンコの競合製品としてソニーからSRS-X33というモデルが発売された。レビューを読むと「このサイズでありながら重低音が出る」と書かれているので、BOSE Soundlink mini並に低音が出て音がクリアになるのならと期待して購入してみた。

以下、各要素の比較。

【サイズ】
大きさはSONYの方が少し大きいけれど、ほぼ同等。以下、写真を参照されたし。

BTSpeaker-Front
BTSpeaker-Top

重さはSoundlink miniが670g、SRS-X33が705gとその差は35gとこちらもあまり違わない(いずれも実測)。カタログデータではSRS-X33の方が75g重いので、カバンに持って歩く分には小さくない差だと思っていたけれど、35g程度の差なら気にならなさそう。尚、BOSEは純正のケースを付けると712gとなりその差はほとんどなくなる。実はこのBOSEのケースは垢抜けないデザインながら想像以上に機能的で、サイズを無駄に大きくすることなくそのまま使える状態で、操作部分と底面以外が保護されているので乱雑にカバンに放り込んでもカドが傷ついたり剥げたりすることを気にしなくても良い優れモノ。SRS-X33は今のところ利用できる状態で保護するケースがないため、カバンに入れて持ち運ぶ時には収納するためのケースを別途用意してそこに収めるか衣類に包むなどの配慮をしないとカドの部分が剥げたりする可能性がある。

【デザイン】
見た目の印象は大きく異るのは誰の目にも明らか。ここまで違うと好みだけが判断材料になってしまう。BOSEは機能がそのまま形になったかのようなシンプルさでメタルの渋い質感が落ち着き感を与えているものの、無骨で野暮ったい感じがすることは否めない。SRS-X33は北欧家具のようなシンプルかつモダンなデザインで、選んだ赤色もケバ過ぎず安っぽくもなく、ポップさと質感のバランスがうまく取れていると思う。スタイリッシュという観点ではSONYが上と思う人が多いかもしれない。ただし、その質感を演出する主因であるスウェード調の仕上げは汚れには弱い(拭き取りにくい)ので取り扱いには注意が必要。

【バッテリー】
充電は両者ともに4~5時間といったところで時間がかかる。再生時間は、Sounlink miniが公称7時間、SRS-X33が12時間。Soundlink miniは、部屋のBGM程度の音量で毎日30~40くらいの利用という使い方(僕は浴室の扉の外側に置いて音楽を流している)で2週間以上は確実にもっているので、断続的な利用で大音量でもなければ7時間以上はもつことがわかっている。SRS-X33も同じ使い方でほぼ同じくらいもったのでほぼ同等ではないだろうか。ただし、CHARGEのLEDが点滅してしばらく使い続けていると自動的に音量を半分に落とす仕様になっているのは余計なお世話。これはバッテリーの余命を伸ばすための機能らしいけれども、室内のBGM用途程度の音量ならまだ少なくとも1時間以上くらいはもつので、普通の音量で聴きたいと思う人が多いだろうし、そうなると結局ボリュームを上げたくなってしまうからあまり意味がないと思う。まあ「LEDを見なくても音量が下がることで残りが少ないことがわかるでしょ」という言い分なんだろうけれど、12時間というスペックを満たすためだけの機能に見えなくもない。

【機能】
ペアリングの方法は両方ともに同じで、SRS-X33はNFCでのワンタッチ接続も可能(それほど便利だと個人的には思わないけれど)。音声入力はどちらの製品もBluetoothの他に3.5mmステレオミニジャックを備えていてこちらも同等。SRS-X33は入力切り替えボタンはなく、ライン入力にケーブルを差し込むと自動的に切り替わるようになっている。

Soundlink miniは再生機能についての操作は入力切替と音量調整のみで必要最低限の簡素な作りがいかにもBOSE製品という感じだ。SRS-X33は音量調整のみでなくSOUNDというボタンで音場を切り替える機能が付いている。OFFだと定位がしっかりして音の広がりは控えめで低音がやや強くなり、ONだと音場が広がり(特にオーケストラもので効果大)、高音がやや強調されて例えばシンバルの音が目立つようになる。その他に、マイクを内蔵しておりスマホとペアリングして電話マークを押せば、通話(複数人で会話)できるという機能もある。余談ながら妻にこの通話機能を説明したらこのスピーカーを受話器のように持つのだと勘違いしたけれどそうではなく当然テーブルに置いて使うような用途を想定している機能だ。

音量のコントロールはiPadを再生機とした場合では両者で振る舞いが違っていて、Soundlink miniはiPadの出力設定をベースに音量をコントロールするのに対して、SRS-X33はiPadの音量コントロールと同期が取られる(SRS-X33本体でボリューム調整するとiPadのボリュームも変動する)。Windows PCだとPC本体スピーカーとは別扱いのボリュームコントロールとなり、それとのボリューム連動はない。このあたりの挙動は機器によって異なることがヘルプガイドに書かれているのでペアリングしたい機材との間でどういう挙動になるかは実際に使ってみないと分からないようだ。

充電の勝手は微妙に異なる。Soundlink miniは専用のACアダプターを直接mini本体に差し込むか、付属専用のクレードルに差し込んでそこにmini本体を置くかの方法で充電できる。クレードルを使えばケーブルの抜き差しをすることなく置くだけで充電できることから、BOSEでは「部屋にいるときは充電しながら音楽を聴き、好きなときにそのまま手にとって持ち出せる」使い方ができることをセールスポイントとしている。SRS-X33は充電の入力がMicroUSBポートで、付属ACアダプターとUSB-MicroUSBケーブルで接続することで充電を行う。ACアダプター(出力はUSBポート)もケーブルも特別な仕様ではなく、例えばiPhoneの小型ACアダプターでも充電できるし、パソコンやモバイル・バッテリーのUSBポートからの充電もできるので柔軟性はこちらの方が上だ(ヘルプガイドは付属品以外は使うなと書いてあるけれども)。尚、SRS-X33は音楽再生中に充電ケーブルを接続してもCHARGEのLEDが点灯しないので充電ができていないかのように見えるけれど、実はちゃんと充電しているとヘルプガイドで説明されている。知っていればいいとはいえ充電中にLEDを点灯させるのがそんなに技術的なハードルが高いのだろうかと疑問に思わなくもない。老婆心ながら、つまらないことでサポートに電話をしくる人が増えるだけのような気がする。

【音質】
これが実に事前の予想通りの結果となった。Soundlink miniは解像度は控えめで中低音(特にベースの領域)が力強いことが特徴で、音場は狭くややコモリ気味。SRS-X33は場合によってはサ行が少し刺さる傾向があるもののキンキンするほどエッジは立っておらず、なかなかクリアで明瞭な音を聴かせる。SRS-X33の方がベールを2枚ほどはがしたような見通しの良い音で、ピアノのタッチのニュアンスやトランペットやサックスの音の微妙なかすれや裏返り具合までもよくわかる。加えてSOUNDボタンを押したときの音場の広がりが大きく、クラシックのオーケストラを聴くとスケール感がかなり違ってくる。ここはBOSEとの大きな差別ポイントになっていると思う。ただし、「重低音が出る」という評判は見方による。確かにローエンドの低域(ベースでもかなり低い音域のところ)はサイズに似合わず出ているの。しかしながら、ちょうどベースやコントラバスの中心音域に該当する中低音域はまあまあ出ているとはいえSoundlink miniよりもかなり控えめな量に留まっている。しかしながら、中低音を重視しない人(BOSEは出過ぎという人もいるはず)や静かな環境でのリスニングにおける音域全体のバランスという観点ではSRS-X33の方が優れていると感じる人が多いんじゃないだろうか。特に弦楽四重奏のような室内楽などは綺麗な音を奏でてくれて合っていると思う。いずれにしても両者は音の傾向が違いすぎるので、どういう目的で使うかのイメージができている人は聴き比べたら選択に迷うことはないと思う。前述の通り、ホテルの部屋において控えめな音量で音の厚みを感じつつもそこそこクリアに聴きたいという僕の要求だと、中低音域はBOSEが十分すぎるほど出ている点で満足できるし、SONYはもう一歩(でも必要十分)ながら音の見通しが良くて満足できるという感じだ。音像のクリアさではSONYの圧勝で小音量で聴いても明瞭なサウンドを得ることができる。ロックやヒップホップのようなタイトな音像でビート感やグルーヴ感を重視するならBOSE、楽器が多い音楽の音の解像感やオーケストラ美音と広がり感を重視するならSONYというように完全に得意分野が違っている。付け加えるとSRS-X33は、ただ単に音が小奇麗というだけでなく、ハードロックの重く歪んだギターも厚みを伴って鳴らす懐の深さもあるので一概にロック系が苦手とは言えない。店頭で試聴したらおそらくSONYの見通しの良さに惹かれる人が多いと思うけれど、先にも書いた通りBOSEのやや解像度が低い音はBGMとして聴くには聴き疲れしない特性があることは頭に入れておいた方が良いと思う。

実は僕のワイヤレス・スピーカーの用途はもうひとつあって、機会こそ少ないけれど洗車場でクルマを洗うときのBGM用として使うこともある。洗浄スチームが頻繁にジャージャー言っている騒々しい現場は、静かなホテルの部屋で控えめな音量で鳴らすのとは対極の環境にあり、そのノイズで低音も高音もマスクされてしまう。こういうところだとSRS-X33程度の中低音だとベースの響きが足りなく感じてしまう。美しい音を楽しむ環境でないのならコモリ気味でも気になりにくいので、そうなるとBOSEの方が向いていることになる。

【結論】
僕の用途だと両方あった方が望ましいという結論になってしまった。それでも2つ持ち続けるのは無駄なので、SRS-X33を手元に残すことにした。尚、両者には実は価格差があり、4000円近く安いSRS-X33はコストパフォーマンスが良いと思う。

また、SRS-X33を購入した動機のひとつにLDACの対応がある。手持ちのウォークマンA10シリーズは、DAPとしてiPodより格段に扱いづらい製品で、正直なところiPod classicに戻りたいくらいくらい落胆したんだけれどもアップルからの販売が終わってプレミアム価格になってしまっている現状では、ウォークマンしか選択肢がないので仕方なく使っている。愛着が持てないウォークマンならではのメリットを享受できそうなのがこのLDAC対応で、来月には対応ファームウェアがリリースされるようなので、そのときに結果を追記する予定です。

(4/7追記)
LDAC対応のファームがリリースされた。正直なところ、LDACでの接続になったからと言って大きく音質が変わったとは思わなかった。確かに高音域の抜けが少し良くなったかな、程度の違い。これを大きなメリットと感じるかどうかはその人次第だと思う。ただ、少しだとしても音質が良くなっているのは確かなので有意義なアップデートであることは間違いない。

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