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Enjoy Life, Enjoy Hobby

趣味の人生を楽しむサラリーマンの日記

私的楽曲検索方法が思いのほか簡単に見つかった


極めて私的な話ではあるけれど、僕はクラシックの楽曲を聴くときの選び方はこんな方法を採っている。どの演奏家(指揮者とオーケストラ)で聴こうかなと思って選曲を始めることもあるけれど、まず「どの曲を聴こうかなあ」と考えることが多い。それから「では、誰の演奏で聴こうかな」と探すことになる。

僕のライブラリは数がとても多く、クラシックだけでもトラック数が20,000曲以上、アルバム数(CD単位ではなく「Tchaikovsky: Symphony #5」のように曲で整理してある)が1,600以上あって、探しやすくするためにジャンルを作曲家別で分けてある。所有枚数が少ない作曲家の場合は国名を付けたジャンル名で集約してあり、まずジャンルからの選択である程度作曲家を絞れるようにしてある。そこで「どの曲を聴こうかな」から「では、誰の演奏で聴こうかな」となった場合に、ジャンル(≒僕のライブラリ管理では作曲家)の次の階層ではすべてのアルバム一覧が見れるものであってくれないと選ぶことができない。

ネットワーク・プレーヤーで使っているDLNAサーバーのMinimServer、SqueezeBoxのLogicool Media Sererだと、ジャンルのあとにアーティスト名一覧が表示されるのに加えて「全アルバム」の項目が先頭にあって、この選び方が容易にできる。例えば、ベートーヴェンの交響曲第5番を聴きたいと思い立ったときは、ジャンルで「Classical (Beethoven)」の項目を選ぶと全アーティスト(指揮者とオーケストラ)一覧が表示されるのに加えて「全アルバム」があればそれを選び、スクロールすれば、「Beethoven: Symphony #5」というアルバムがズラリと並んでいるところに辿り着く。そこにはアーティスト名がもちろん併記されている。

一方で、ポータブル・オーディオでは、ジャンルを選択した後、この「全アルバム」が見れるものがない(あるのかもしれないけれどメジャーな製品ではない)。かつて、iOSデバイスではこの検索方法が可能だった。しかし、どのiOSバージョンからだったか、ジャンルで検索したときにジャケット表示が大きなサムネイルが表示されるようになり、文字情報がとても少なくなってしまったために「Beethoven: Symph...」までしか文字が表示されず、どの曲かを判別することができなくなってしまった。

一時期ソニーのウォークマンを使っていたときも、ジャンルの下の階層には「全アルバム」の項目が出てこなかった。家電店で他のDAPを操作しても同様。これでは僕の探し方で聴きたい曲を選択できない。

今は iPod Touch をDAPとして使っており、この検索を実現できるミュージック・アプリとしてUBIOを使っていた。UBIOに満足していたものの、独自の音作りがもうひとつしっくりこない。また、再生回数をカウントしてくれないため、再生回数で選曲したプレイリストでときどき聴く僕の用途に沿ってくれていない。

この検索方法はあきらめて、Ecouteというアプリを長らく愛用していた。このアプリは中身は標準のミュージック・アプリが稼働していて、要は画面上のインターフェイスを変えているだけのもの。標準のミュージック・アプリよりもずっと見やすくて使いやすい。

それでもやはり、アルバム一覧から指揮者とオケを選びるものであってほしいというモヤモヤがずーっと残っていた。。

もう一度調べ直してみると、CS Music Playerというアプリでそれが実現できることがわかった。このアプリはかつてCeciumという物騒な名前だったんだけれど、バージョンアップによっていつの間にか名前が変わっていたらしい。CS Music PlayerもEcuteと同様、中身は標準のミュージック・アプリが動作していて画面インターフェイスを変えているだけのため、再生回数をカウントしてくれる。

CS Music Playerでも初期設定ではジャンルの階層の下はアーティスト一覧が表示され「全アルバム」は選択できない。しかし、画面右上のアイコンをタップすると「アーティスト/作曲家」か「アルバム」を選択することが可能で、「アルバム」を選択すれば結果的に「全アルバム」一覧を表示することができる。
Mアプリ202009-01

この場合、ジャンルからアーティストの検索はできなくなるけれど、表示設定を切り替えれば両立することができる。

「アーティスト/作曲家」選択時のジャンル選択後のメニュー
Mアプリ202009-03

「アルバム」選択時のジャンル選択後のメニュー
Mアプリ202009-02
これでようやく僕好みの検索ができるようになった。指揮者とオケから選びたいときには従来どおりEcuteを使えば上記画面の設定切り替えをする必要もなく、ようやくストレスのない曲の選択を実現することができるようになった!

というわけで極めて私的な用途のネタでした。どうせ全部聴くわけじゃないのにそんなにDAPに溜め込んでいる方が悪いんじゃないかという声が聞こえてきそうですが、手持ちのCDを全部持ち運んで、聴きたいと思ったときにいつでも聴けることを実現する利便性がiPodの魅力。そのメリットを活かせないようでは、iPodの価値が下がるというものです。こんな検索方法を必要としている人なんてほとんどいない、ニッチなニーズだと思うので大多数の人にとってはどうでも良い話ですが個人的は嬉しかったのでつい書いてしまいました。でも僕にとっては音楽ライフを充実させるのに必須の機能だったんです。

Technics EAH-AZ70W レビュー (vs SONY WF-1000XM3)

EAH-AZ70W 202004-2
EAH-AZ70W 202004-1


通勤時の愛用ワイヤレス・イヤホンとして、ソニーのWF-1000XM3-1000XM3を購入したのは以前書いた通り(http://buhaina.blog.fc2.com/blog-entry-438.html)。

そこでも書いた通り、雑踏の中で使う完全ワイヤレス・イヤホンとして、ノイズキャンセリング能力は優秀、音質は良好のバランスの良い製品で、特に大きな不満もなく使っています。ヘッドホンのWH-1000XM3と比べると、音質もノイズキャンセリング機能も落ちるのは仕方がないとして、完全ワイヤレス機として考えると満足度が高いイヤホンだと思っています。

とはいえ、音質もノイズキャンセリングも最上級とまでは言えないのも事実で、より良い製品があればなあ、と思っていたところに登場したのがTechnics EAH-AZ70W。というわけで早速購入して試してみました。


[音質]
色付けがなくナチュラルでスッキリした見通しの良い音質。解像感は、音の輪郭がクッキリという性格ではないものの十分なレベル。音の情報量は多く、TWSイヤホンとしては恐らくトップクラス。クラシックでは、弦の滑らかな美しさはもちろん、金管楽器の見通しの良さと木管楽器の艷やかな響きが印象的で、いずれもWF-1000XM3より1枚上を行く。これまで使ってきたノイズキャンセリング・イヤホン(BOSE QC20、QC20、SONY WI-1000X)は合奏時の弦の音の人工的な響きが気に入らず、WF-1000XM3でもなんとか許容範囲と思っていた僕にとって、EAH-AZ70の自然な弦の響きはイヤホンの中では頭一つ抜けたレベルにあると感じる。ホールトーンの表現、音場の広さもイヤホンとしてはまずまず。低音域は再生能力としてはしっかりあり、ズウンという地響きレベルの極低音域までカバーしてはいるものの、コントラバス(特にピチカート)やティンパニのような最低音域よりも上の低周波数音域は、音源によっては量感が少ないため、特にマーラーなどの大編成オーケストラの重量感の表現が控えめになるものもある。とはいえ、それはコンサート会場、あるいは大型のスピーカーでの低音の響きを基準に、どの程度まで再現できるかを考えた場合の話で、不足しているというほどではない。

一方で、ロック、ジャズ系はもともとベースの音量がしっかり出ている音源が多いため、EAH-AZ70Wでも必要十分。EDMのような音楽で低音をズンズン響かせたいという人には物足りないと感じる人もいると思う。シンバルを小さく叩いたときの金属が振動するニュアンスの表現はWF-1000XM3を明確に1ランク上回っている。ジャズの場合は各楽器のニュアンスまで描く再生能力があり、満足度が高い。クリアな美音を特徴とするだけに、50年代の録音状態があまり良くないジャズ、60〰70年代ハードロックの歪んだギターの音、ソウル・ファンク系のベースのウネりなどは、綺麗でお行儀が良すぎて雰囲気が出ないと感じる人もいるかもしれない。

WF-1000XM3は、イヤホンとしては低音の量感が豊か(イコライザーで増量できる幅も広い)であるところが魅力で、低音重視であればWF-1000XM3に軍配が上がる。EAH-AZ70Wもイコライザーで調整はできるものの、調整しても変動幅はあまり大きくないため、低音域を最大限にしても量感はそれほど増えない(バスエンハンサー設定でもそれほど増えない)し、高音域も同様にそれほど大きくは変わらない。どの装置のイコライザーであっても同じことだけれど、音源によってイコライザーの効き加減は異なり、低音の量感が増えやすい音源の場合、EAH-AZ70Wでも結構厚みが出るものもある。しかし、その場合は音がぼやけて破綻気味になってしまう。総じて量感たっぷりな低音はEAH-AZ70Wはあまり得意ではない。恐らくメーカーは、ユニットやアンプ部の総合能力から、この音のバランスに確信があって、イコライザーの設定で大きく変化させることを許容していないのではないかと思える。後述するノイズキャンセリング機能が優秀なため、飛行機や電車内といった騒音環境で低音が聴き取りづらいという状況になる場面は少ない。


[ノイズキャンセリング]
WF-1000XM3はTWSとしては最高レベルと評されるノイズキャンセリング能力があり、ノイズキャンセリング機能をかなり重視する僕でも納得できるレベルにある。完全ワイヤレス機では今の技術ならWF-1000XM3のレベルがおそらく限界なのでは?しかもテクニクス(パナソニック)にとって初めてのノイズキャンセリング機能付きTWSだから、それほどでもないなんだろうと高を括ってEAH-AZ70Wを試してみたら、WF-1000XM3を明らかに上回っていて驚いた。これまで使ってきたワイヤレスNCイヤホン(BOSE QC30、WI-1000XM)を含めて間違いなく最高レベル。高周波ノイズ/低周波ノイズの削減が優秀で、コロナの影響で窓を開けている地下鉄の走行音でもかなり消してくれる。注意深く聴くと、その反作用で、消せない音域が結果的にやや目立ってしまうのは仕方のない(その音域でもWF-1000XM3よりキャンセリングできていないわけではない)ところではあるけれど、それは音楽を流していない状態で確認した場合であって、通常の利用であれば気になることはまずない。尚、人の声などのノイズ成分が少ない中音域は、他NC機と同様にある程度透過する。ノイズキャンセリング機能については、評価が高いヘッドホンWH-1000XM3と同等のレベルにあり、ノイズキャンセリング技術に大きなブレークスルーがない限り、TWSの中でトップの座を譲ることは当分ないかもしれない。


[装着感]
カナル型として、ごく普通の装着感。余談ながら、ネットではTWSイヤホンの装着感についての感想が機種ごとに書かれているけれど、イヤーピース以外の場所が耳に当たるわけでもない(当たってもせいぜい軽く触れる程度の)ため、その感想は実はイヤーピースのフィット感についての感想であるように思う。

イヤーピースはWF-1000XM3同様でシリコンタイプ。BOSEの装着感抜群で遮音性に優れたStayhearイヤーピースと比べると見劣りしてしまうところはWF-1000XM3と同様。イヤーピースはS、M、L、LLサイズが同梱されており、全体的にやや小さめ、これまですべてMサイズで良かった僕の場合、Mだと小さく、Lだとしっかりフィットするが耳穴への圧迫感が強い。標準のイヤーピースが合わない場合はサードベンダーのイヤーピースを使えば良い。尚、充電ケースのイヤーピース収納スペースはWHと比べると少し奥行きに余裕があるように見える。


[操作性]
WF-1000XM3同様、ケースから取り出すと電源ON、ケースに収めると電源OFFとなるため、電源を入れる/切る操作を意識する必要はない。ソニーWF-1000XM3は標準設定では片耳を外すと再生が一時停止になるのに対して、EAH-AZ70Wは両耳を外しても再生は止まらないし、設定変更して止まるようにすることもできない(センサーがない)。また、アプリからでもイヤホンを電源オフにできない。オートオフのタイマーを設定して時間が過ぎるのを待ってオフにするのが唯一の方法で、オフになった後、電源オンにしたい場合には一度ケースに収めてから取り出す必要がある。もっとも、TWSイヤホン単体を電源オフにするシチュエーション、オフにできなければ困る使い方というのは特に思い浮かばない。

音楽の再生に関わる機能は、左右のタッチセンサーでほとんどの操作が可能。タッチセンサーは、WF-1000XM3の場合、外音コントロール(NCモード切り替え)、再生と一時停止、音量調整の3種類の制御のうち、2つを左右どちらかにアサインできる(アプリで設定)。つまり、すべてのアクションを同時に使うことはできない。EAH-AZ70Wはこれらをすべて操作可能ではあるものの、その分操作が煩わしい。例えば音量調整は、左耳側で3回連続(上げる)、または2回連続(下げる)タップとなっていて使いやすいとは言えない。外音コントロール・モードは、ケースにしまうときの設定が次回使用時に引き継がれる。WHはどのモードでケースに収めても、取り出すとNCモードになる。


[接続性]
新型コロナウィルスの外出自粛の影響で、人混みでの接続性確認はできていない。ご近所への買い物歩きで利用している限りでは、WH-1000XM3よりも切れる機会が多く、やや安定感を欠く。ただし、ネットでは人混みでもWF-1000XM3より切れにくいという意見も見かけるため、評価は保留としたい。(8月10日追記: 出かける機会が増え、出歩いた結果、人が多いところ、電波状態が良くないところで切れる頻度が高く、WH-1000XM3よりも安定感を欠く。WH-1000XM3で一瞬切れる場所で、EAH-AZ70Wだと数秒切れる場合があり、ひどい場合にはそれが断続的に続く。世評では良く切れると言われるWH-1000XM3に不満を感じたことはない)

DAPとの接続のマナーはソニーWF-1000XM3と同じく、マルチポイントは非対応(マルチペアリングは当然対応)。イヤホンの電源を入れると前回接続していたDAPにしか接続しに行かず、そのDAPの電源が入っていない(あるいはBluetoothがオフになっている)場合に、ペアリング済み接続可能状態の別DAPがあったとしても接続しに行くことはない。BOSE QCシリーズのように、マルチポイントでBluetooth接続状態のDAPに自動的に接続してくれない挙動は複数台DAPを使っている人には不便な仕様(BOSE仕様はつながっていてほしくないときに煩わしいという意見もある)。ペアリング済みDAPが2台とも電源ONで、片方に接続した状態からもう1台のDAPに切り替えたいときに、WF-1000XM3では、これから使いたいDAPのBluetooth設定で接続すれば完了、切り離される側のDAPは何もしなくて良い。一方のEAH-AZ70Wは元のDAPとの接続を切断、あるいは電源OFFしてからでないと、これから使いたいDAPと接続できないため、少々面倒くさい。補足:2020年6月リリースのファームウェアで、切り離される側の接続解除は不要になった。


[携帯性と扱いやすさ]
ケースはEAH-AZ70Wの方がWF-1000XM3よりも一回り小さいため、カバンなどへの収まりは良い。WF-1000XM3のケースと違い、自立するので、取り出しのときの扱いはEAH-AZ70Wの方が楽。前述の通り、原則、イヤホン単体の電源オフはできないため、ケースの常時携帯が前提であるところはWF-1000XM3と同様。


[アプリ]
Technics Audio Connectでできることは最低限に留る。
・設定(名前設定、オートパワーオフ設定、ガイダンス言語設定など)
・イヤホンのバッテリー残量表示(10%区切り。WF-1000XM3は100、70、50、30%の4段階)
・NCオン、NCオフ、アンビエントモード切り替え
・サウンドモード(バスエンハンサー、クリアボイス、イコライザー)
・LEDのオン/オフの切り替え(2020年8月のバージョンアップで追加された機能)

イコライザーはソニーと同様、5バンドで調整可能。アンビエントモードは、WF-1000XM3ではいかにも外の音をマイクで拾っていますという音で聴こえるのに対して、EAH-AZ70Wは自然な感じに聴こえる。言い換えると、積極的の外音を拾うわけではないため、外の音はそれほど聞こえやすいわけではない。

ソニーのアプリは、イコライザーにプリセットがあり、自分好みの設定を何パターンも登録しておくことができる。テクニクスのアプリは、プリセットがなく、記憶させることができるのは1つのみ。音源によってバランスを切り替えたいときにいちいちスライドさせて調整しなくてはならないのは面倒。アプリのバージョンアップで改善されることを期待したい。


[バッテリー駆動時間]
イヤホン単体の連続稼働時間はNCオン時で6.5時間というカタログ・スペック。実際にNCオンで連続使用してみたところ、およそ5時間45分程度の稼働だった。バッテリー切れの30分前から残量が少なくなったことを知らせるアナウンスがあり、以降5分ごとに電子音の通知があって少々煩わしい。半年弱、平日に平均1.5時間程度利用してきたWF-1000XM3と比較するのはフェアではないかもしれないけれど、一応計測(DSEE HXはオフ)してみたところ、WF-1000XM3の連続稼働時間は約4時間で、バッテリー切れになる1時間前に残量が少ないことを知らせるアナウンスがある。通勤用途であればどちらも十分な再生時間にある。EAH-AZ70Wのケースはイヤホンのフル充電2回分とのこと(実際に使ってみてもそのくらいの感じ)なので、トータルで15時間程度はケース充電をしなくてももちそう。

ソニーWF-1000XM3は装着時にイヤホンのバッテリー残量をアナウンスしてくれる。ケースからフル充電されているから100%とアナウンスされるのが通常で、装着時に70%とアナウンスされたら「ケースのバッテリーがなくなったんだな」と気づくことができる、EAH-AZ70Wでは装着時のバッテリー残量のアナウンスはなく、イヤホン本体のバッテリー残量はアプリで確認することになる。とはいえ、イヤホン本体のバッテリー残量を把握しておきたいという状況もそれほどあるわけではなく、不便というほどでもない。重要なのはケースのバッテリー残量の確認手段で、WF-1000XM3はアプリで、EAH-AZ70Wはケース本体の3段階のLED表示で確認することができる。EAH-AZ70W充電中は点滅し、充電が進むと点滅するLEDがひとつずつ増えるため、途中でもどの程度充電されているかがわかるようになっている。


[その他]
EAH-AZ70Wのケース(シルバーの場合)は、上面に削り出しの金属のプレートがありTechnicsのロゴが彫られていて高級感がるように見えるものの、その他はプラスチックであるため、実際にはそれほど質感は高くない。潔くプラスチックで素材でしっとりした表面のWF-1000XM3の方がむしろ安っぽさがなく好印象。シルバーのケースは無造作にかばんに押し込んで使っていると、黒い汚れが付きやすく、汚れが目立つようになる。WH-1000XM3はベージュカラーでも汚れが付着しない素材が使われていて、流石にこの種の製品開発を長く手掛けるソニーの方が手慣れているな、と感じさせる。


[総論]
EAH-AZ70WはTWSイヤホンとしては最上級のノイズキャンセリングと美音を聴かせてくれるモデルと言って良いでしょう。ノイズキャンセリング効果を重要視して、音質もある程度求める僕にとって移動時のベスト・パートナーはヘッドホンのWH-1000XM3であり、EAH-AZ70Wでもやはりヘッドホンを超えているとは思いません。WF-1000XM3とWH-1000XM3では音質差がそれなりにあったけれど、EAH-AZ70Wの繊細な音の表現は、ヘッドホンのWH-1000XM3に迫るものがあります。低音域(特に地響きレベルの極低域)の余裕や、音場の広さはヘッドホンWH-1000XM3には及ばないとはいえ、イヤホンでこのレベルにあれば満足できます。特にクラシック愛好家にオススメです。

あとは、人混みでの接続安定性の改善、イコライザーに少なくとも3つ以上のプリセット機能があって、低音にもう少し厚みが出れば、もう言うことはありません。ヘッドホンのWH-1000XM3は、携帯性の悪さと装着時に髪型が潰れるという弱みがあるとはいえ、飛行機での万能機(バッテリー持ちが長く、長時間装着で耳穴に負担がかからないし、有線接続できるから映画を観るときにも使える)の座は揺るぎないんですが、電車通勤用途ではEAH-AZ70Wは僕にとって非常に満足度が高いイヤホン、というのが結論です。

とはいえ、WF-1000XM3も音楽を楽しむのに十分な音質で、クラシックやジャズのような生楽器へのリアリティ要求度が高くなれば不足はなく、低音を重視ならWF-1000XM3の方が鳴りっぷりが良いのも確かです。価格にも小さくない開きがあることを考えると、用途によってはわざざEAH-AZ70Wに買い換えるほどではないと思います。一方で、電車通勤でクラシックを聴くような人であれば、その価格差を納得させる音質の持ち主でもあります。

DALI KATCH Bluetooth Mobile Speaker

DALI Katch 202003


Bluetoothモバイル・スピーカーとして、拙宅ではBeoPlay A2 Activeが主力機として活躍しています。

導入時の記事はこちら(長いです:http://buhaina.blog.fc2.com/blog-entry-289.html)。

僕がモバイル・スピーカーに求める要素は、室内のどこにでも気軽に持っていけること(=バッテリー駆動である)こと、旅行のときに容易に持ち運びできる(=キャリーバッグに詰め込んでも邪魔にならない)サイズと重量であることがまずは必須条件。あとは、風呂場で音楽を聴きたいので、できれば防水機能があることが望ましい。あとは旅行のときにホテルで聴く用途がメインのため、たとえば屋外でガンガン鳴らすような大音量での再生は想定していません。

そしてもちろん、音質が良いことも当然ながら重要な要素。聴く音楽はジャズとクラシック(主にオーケストラもの)がメイン。小型スピーカーなりに、ローエンドの音域まで再生できて、音の見通しが良く、管楽器の生々しさと弦楽器の美しさが再現できれば言うことなし。とはいえ、モバイル・スピーカーはあくまでもモバイル・スピーカーであり、その要求に物理的限界があるのは事実で、制約がある中でどこまで高いレベルに達しているかがポイントになります。

以前書いたことの繰り返しになりますが、高性能なスピーカーとして僕が評価で重視するポイントは音の精度が高いかどうかにあります。具体的にはピアノとヴィブラフォンがわかりやすい。ピアノの打鍵感、ヴィブラフォンのアタック感、それらの響き方のリアリティは、高性能なスピーカーの聴かせどころで、均一に音が揃い、演奏者の意図で響かせ方を変えたり、色を付けたりしているところは、その意図通りに響きを表現することができる。これはモバイル・スピーカーに限らず、基本的にはすべてのスピーカーについてのチェックポイントで、クオリティが高くないスピーカーは、流れるフレーズの中で微妙に音が引っ込んだり出過ぎたり、濁ったりクリアになったりして音が揃ってくれない。ピアノとヴィブラフォンをうまく再生できるスピーカーは、結果的に弦楽器や木管楽器の芳醇な音色や、管楽器の張りや響き、ヴォーカルのリアリティを高いレベルで再生できるため、ピアノとヴィブラフォンの鳴り方をスピーカーのクオリティ評価の基準にしているというわけです。

そうした観点で、BeoPlay A2 Activeはとても満足できるモデル。この種のスピーカーとしては解像度が高く、情報量が多い上に、低音の響きもなかなかのものがある。音の精度についても、それまで使ってきたBOSEやJBLと比べると確実にワンラック以上優れいてる。イコライザー(X軸Y軸のマトリクスで選ぶ方式)での音の調整範囲が広いため、自分好みのバランスで聴ける点も魅力です。また、ストラップがついてるので、いろいろな場所に引っかけて聴けるところも気に入っています。

満足しているBeoPlay A2 Active、そのまま使っていれば良いのですが、気がつけば販売終了になっており、価格的に後継機種と考えられるBeopPlay P6は、(あくまでも店頭でですが)試聴してみたところ音がコモリ気味で音場も広くなく、あまり印象が良くなかった。そうなるとA2 Activeをいつまで使えるのかが心配になってきます。リチウムイオン電池の寿命は充電500回程度と言われていて、今の僕の使い方でもあと6年は問題なさそうではありますが、バッテリー交換できそうな情報が見当たりません(構造的にはできそうだけど予備部品として入手できるという情報が見つからない)。いざ、バッテリーが劣化したり、故障したりしたときに、A2 Activeと同じレベルの使いやすいスピーカーが手に入らなくなったらどうしよう?と不安になります。

BeoPlay A2 Activeを購入したとき(約3年前)、他に候補になっていたのがDALI KATCH。形状は似通っており、前後に左右ステレオ音を出して広がり感ある音場を狙っているところも同じ。DALI KATCHもきっといい音するんだろうなと後ろ髪を引かれながらA2 Activeを選んだのは、防滴対応だったから(風呂で使えるから)という理由だけでした。しかしながら、A2 Active後継機不在の状況となると代替機があった方がいいかもという理由と、DALI KATCHがどんなサウンドで音楽を聴かせてくれるんだろうという好奇心を抑えることができず、購入してしまったのです。

ちなみに、DALI KATCHは使用者によるレビューがネットにほとんどありません。BeoPlay A2 Avtiveもレビュー記事は少なく、同じ価格帯のB&W T7、KEF MUOも似たような状況。恐らく、限られた用途向けで、使い方としてはサブ機扱いとなるカジュアル・オーディオ製品にここまでの額を投資しても良いと思う人、そこまでの高音質を求める人が少ないからでしょう。それほど売れるわけでもないカテゴリーの製品であることがわかってきているせいか、各メーカーは後続のモデルを出す気配はなく(次世代と言えるモデルを発売したのは前述のBeoPlay P6くらい)、Bluetoothモバイル・スピーカーの上位モデルはこのまま消えてしまうのでは?という気がしています。手に入るうちに買っておこうと思ったのは、そういう理由もありました。

長い前置きはこのくらいにして、BeoPlay A2 Activeとの比較を交えながらDALI KATCHのレビューをしてみます。

[外観]
BeoPlay A2 Avtiveはスッキリしたスタイリッシュな外観で、DALI KATCHもまあ似たようなものかと思っていましたが、実物が届いて見るとDALI KATCHの方が明らかに高級感がある。プラスチック部分が両側のバッフル面だけで、削り出し仕立てで光沢あるリングでバッフル外周を縁取りしており、側面部分もツヤ消しの金属になっている。ベルトも革で収納時にボディ張り付くようになっているから見た目がスッキリしている。全面プラスチックで布ベルトのA2 Activeと比べると質感の違いは誰の目にも明らか。

[サイズと重量]
A2 Activeが実測で1058g、DALI KATCHが実測で1140g。持ってみるとDALI KATCHの方がズッシリと重く感じる。DALI KATCHの方が厚みがあるため、旅行カバンに詰め込むときに少し場所を取ることになる。とはいえ、形状、体積、重量面で取り扱いについてはほぼ同じ。

[操作性]
充電は専用ACアダプターで行う。4年前の製品ということを考えると仕方ないかもしれないけれど、今やモバイル機器のスタンダードとなっているUSB Type-Cでないのは煩わしい。ほぼ同じ時期に発売されたA2 Activeは、当時まだ主流でなかったUSB Type-Cを既に採用しており、B&Oの先進性が見て取れる。
端子は、どのモバイル・スピーカーにも付いている3.5mmミニプラグ入力と、他のデバイスに電源供給する(バッテリーとしても使える)ためのUSB端子がある。
電源ON/OFFは長押し、Bluetoothのペアリングはごく一般的なもので戸惑うことはない。電源、音量、Bluetoothボタン以外に、サウンドモードの切り替えがあってクリアとウォームのどちらかを選択できる。
イマドキのBluetoothスピーカーやヘッドホン/イヤホンはデバイス側にアプリが用意されていて、さまざま機能やイコライザーでの調整が可能であることが当たり前になっていることを考えると機能的にはだいぶ遅れている。一方で、本体だけですべて完結する必要があることが幸いして、4段階表示でバッテリー残量がひと目でわかるようになっているのは、バッテリー残量表示もアプリ任せになっている製品が多い昨今においてはわかりやすくて良い。

[バッテリー]
フル充電まで2時間というのは短くて良い。またiPadで4割くらいの音量で聴く限りだと18時間くらい稼働する(A2 Activeは12時間くらいで大きめの音量で聴くと大幅に短くなる)。4泊くらいの旅行であればACアダプターを持ち歩く必要はないかもしれない。

[音質]
音質モードがクリアのときの音の見通しの良さはA2 Activeを大きく上回る。音の精度はとても高く、ピアノ、管楽器のリアリティは、モバイル・スピーカーでもここまでできるのかと思わせるものがあった。低音域はローエンドまでしっかり再生するものの、量感はほどほど。オーケストラを聴くときにコントラバスの厚みが欲しいと思っている僕にとっては、古い録音やモーツァルトのような軽めの曲だと特に低音が不足しているように感じる。音質モードをウォームにすると低音の厚みがぐっと増して、その代わり高音域に見通しが悪くなって少し眠い音になる。ウォーム設定でも音の見通しの良さはA2 Activeを少し上回る印象。ウォームの方が耳あたりが良く、聴き疲れしないのでBGM用途で使うことを考えるとこれでも十分な高音質だと言える。

一方で、ジャズの場合だとクリア設定の低音の量感でもベースに実体感がしっかり出ているので不足感はない(ベースがズンズン響く鳴り方が好みだとやや足りないか)。トランペットやサックスの生々しさ、スネアドラムの細かいニュアンスの表現も、クリア設定ではA2 Activeよりもずっと鮮明な音で、ジャズはかなり満足できる音質で聴ける。このサイズでこれ以上は望めないだろうと思わせるくらいサウンド・クオリティは高い。

素晴らしいと音質だと思っいたA2 Activeも、DALI KATCHと比較して聴くと、金管楽器の音がややササクレた、粗い音に聴こえてしまう。スピーカーとしての基礎能力はDALI KATCHが明らかに上回っている。一方で、A2 Activeはイコライザーによる調整の音のバランスの自由度でDALI KATCHを上回る。DALI KATCHをしばらく使い続けて慣れた耳には、見通しが良くないと思える音も、BGM用途で聴くならこのくらいの方が聴き疲れしなくて良いんじゃないかと思えてくる。

[結論]
DALI KATCHを購入した当初は、イイ音のモバイル・スピーカーが手に入ったと喜んでいたんですが、BGM用途で聴いていると、そこまで高音質じゃなくてもいいんじゃないの?BeoPlay A2 Activeで十分だったんじゃないの?と思うようになってきました。それでもDALI KATCHはこの種のモバイル・スピーカーとしてはとても良い音で聴ける逸品であることには違いありません。防滴仕様ではないけれど、その音質の素晴らしさ故に、風呂場でも水のかからない高いところにぶら下げて聴きたくなってしまう。そんな魅力的なスピーカーです。

コーヒーとのおつきあい

HIDE COFEE201912


コーヒーは嗜好品で、ワインと共通する要素があります。

香りから入って、多様な味わいがあり、品質と味の好みの微妙かつ曖昧なバランスで、その人なりの美味しい/美味しくないが決まる。その味わいは、苦味、酸味だけでなく、果実、時には無縁と思われる例えば紅茶のようなニュアンスを併せ持つものまである。

しかしながら、ワインと比較するとコーヒーはカジュアルな飲み物で、ごく一部を除いて購入することを躊躇うような高価なものは存在しない。ほっと安心、寛いで飲めるコーヒーは特別高級なものである必要もなく、アイスコーヒーに至っては900mlのペットボトルで1本100円未満のものでもスッキリした味わいを楽しむことができてしまうし、コンビニのコーヒーなんてあのお値段でも結構美味しく飲めてしまう。

とはいえ、やはりすべてのコーヒーが美味しいかと言うとそうでもない。200gで800円くらいの豆でも、味わいが単純でコクがほとんどないものもあるし、そもそも味そのものが美味しくないものもある。

僕は高校生のころから一服するときの飲み物はほぼ一貫してコーヒーを(当時から見栄を張ってブラックで)飲んできたし、若いときから家では豆を挽いて淹れて、香り立つコーヒーを愛飲してきた。近所のスーパーなどで手に入るコーヒーはそれなりに美味しく飲めて午後のひとときを楽しめるとはいえ、味はそこそこ、まあ、コーヒーとはこういうものかな、なんて長いことずっと思っていた。一時期はスタバのコーヒーが気に入って、スタバのコーヒー豆ばかり買っていた時期もあった。

とはいえ、美味しい、美味しくないという思いを抱くことはあってもあまりコーヒーの品質について深く考えたことがなかった。考えてこなかったが故に、間違った思い込みをしてきたことが2つある。

まず、酸味のあるコーヒーは好みでないと思ってきたのは実は間違いだったということに、最近になってようやく気づいた。コーヒーに詳しい人にとっては周知の事実ではあるんだけれど、コーヒーの酸味には豆本来の味に由来するものと、品質の低さ、劣化(鮮度の低さ)に由来するものがある。低価格のコーヒーから出てくる酸味は後者で、これをもって「酸味のあるコーヒーは好きじゃない」と思い込んでいた。しかし、鮮度の高い豆から焙煎して淹れたコーヒーにある酸味は爽やかさな味わいがあって嫌味なところはまったくない。

そんなことがわかるようになったのは、今の家に引っ越してきて近所に自家焙煎で売っているコーヒーショップと出会ったから。

そのご近所(東雲)のコーヒーショップがこちらのHIDE COFEE。
http://www.hidecoffee.com/

ここのコーヒーは、実に美味しい。家にゲストが来たときに出すと、例外なく美味しいとお褒めの言葉をいただく。豆の仕入れから焙煎までこだわった鮮度の高いコーヒーというのはこんなに美味しいのかと教えてもらったのは、ここのコーヒーのおかげと言っても過言ではない。また、美味しいコーヒーというのは濃くなくても味わいが豊かで深いということもこの店のコーヒーを飲むようになって初めて知った。コーヒーは濃い方が美味しいと思っていたのも間違った思い込みだと今頃になってようやくわかった。

他に、ネットで高評価を得ているショップのコーヒーも飲んでみると、焙煎の手法というのは店(というか職人)によって個性が出ていて、豆が違っていても焙煎の手法による一定の味わいがあることもわかってきた。こうした、豆の品質と焙煎にこだわった店のコーヒーでも法外に高いということはなく、スタバの豆と同じくらいのお値段なのだから、コーヒーは店選びがなによりも重要である、ということにも今更ながら気づいた。

そうした高品質のコーヒーを飲む機会は日常では意外と多くはないような気がする。それ故に、コーヒーとはこの程度のものという思い込んでいる人も少なくないんじゃないだろうか。1日に何杯もコーヒーを飲む愛好家と思っていた自分でさえそうなのだから。

コーヒーを日常的に飲んでいる人は、良い品質の豆としっかりした職人が焙煎したコーヒーを飲むんだ方がいい、と今の僕は思っています。

B&O Beoplay H9 3rd GEN vs SONY WH-1000XM3

B&O H9 201910WH-1000XM3 201910


暑い季節が終わり、ようやく外出時にヘッドホンを使える季節になった。

これまで使っていたソニーのWH-1000XM2に特に不満はなかったものの、ノイズキャンセリング機能に優れ、より良い音で聴ける製品があれば試してみたいという思いはあった。8月に発売されたB&O Beoplay H9 3rd GENは、ノイズキャンセリング機能が、ソニーやボーズほどではないものの、だいぶ強化されたという評判を見かけるようになると無関心ではいられないのが悲しい性。

B&Oのサウンドはまず音の情報量が多い。解像感が高く、それでいて刺々しさがない中高音の表現に優れていて、サイズからすると十分な低音域の厚みにも無理矢理感がない。音が鮮明でありながら、自然で尖ったところがなく、聴きやすいところがウリ。一方で特徴的な中高音の表現は、自然なサウンドを目指しつつ、クオリティそのものは据え置きハイエンド・ヘッドホンと同等というわけにはいかないために、うまくチューニングすることで「自然な感じに聴こえる」サウンドを実現しており、その結果、場面によっては色が乗った(矛盾するようだけれど自然に聴こえる人工的な)サウンドになっている。こうした特徴が好みに合っているせいか、気がつけばA1、A2、A6のスピーカーが家には揃っている。B&Oのサウンドが肌に合う身である以上、やはりBeoplay H9 3rd GENのデキが気になってしまう。
(ちなみに音質に定評があるゼンハイザーの新型Momentumは未だノイズキャンセリングが弱いという評判と、携帯性の悪さから候補に挙がらず)

結論から言うとB&O Beoplay H9 3rd GENを実際に使用してはみたものの、モヤモヤが払拭できなかったため、手放したWH-1000XM2に代わって、結局SONY WH-1000XM3を購入することになってしまった。まあ、自分にとっての最良の商品に巡り合うために多少の授業料が必要なのはしょうがないところ。せっかく同時に所有する機会を持てたので比較記事を書いて世の中に還元することにしたい(と負け惜しみですけど)。


[デザイン]
レザーの質感やハウジングの素材はB&O Beoplay H9の方が高級感がある。形状もスマートでデザイン性は高い。ソニーXM3は、特に安っぽいわけでもカッコ悪いわけでもないけれど、可もなく不可もなくといったところ。


[装着感]
WH-1000XM3は、XM2と比較すると耳の密着感がやや軽くなったとはいえ、Beoplay Beoplay H9 3rd GENの方が装着感は軽い。


[携帯性]
実測で、
H9 3rd GENの本体重量は293g、付属のキャリングポーチ収納時では353g。
WH-1000XM3の本体重量は253g、付属のキャリングケース収納時では399g。
Beoplay H9 3rd GENは折りたたみ不可で付属品の収納ポーチはファブリック。従ってあまりコンパクトにはならない。WH-1000XM3は折り畳めるためコンパクトになるものの、付属品が(多少柔らか味がある)ハードケースになるため、保護性が高い反面、Beoplay H9 3rd GENよりも厚く、重くなる。サイズ感が合うファブリックのポーチを用意すれば当然ソニーの方が携帯性に優れる。


[音質]
両製品ともにイコライザーで音質調整可能であるため、ある程度好みの音を作ることができる。

(以前にも書いた余談をもう一度。イコライザーを毛嫌いする人、邪道と決めつけて音に拘っていることを主張している人が少なからずいる。かつて、昭和の時代にはアンプにトーン・コントロール機能があるのが一般的で、その部分を音質劣化をもたらす余計な回路と考え、バイパスすることで音質向上が図れることを売りにする製品がその後主流になっていったことがあった。それを機にトーン・コントロールやイコライザーは音を劣化させる悪者という常識が多くのオーディオ・マニアが刷り込まれた。しかし、DAPやヘッドホン/イヤホンのイコライザーに余計な回路などあるはずがなく、単なるソフトウェアのバランス調整でしかない。好みの音のバランスでもないのに、我慢してイコライザーを使わないという選択に意味があるようには思えない。)

ちなみに、僕はソニーの現行NCヘッドホンシリーズ初代のMDR-1000Xの音が気に入ってボーズQC15から買い替え、アプリでイコライザー機能が使えるようになったことからXM2に買い替えた。そのとき少々困惑したのはユニットが同じであるにもかかわらず、イコライザーがフラットの状態で初代とXM2の音のバランスがだいぶ変わっていた(低音が増えて中音域が引っ込んだ)こと。だから、初代の音のバランスに近づけるようにXM2のイコライザーをカスタマイズして聴いていた。今回XM3はまた音のバランスが結構変わっていて更に低音が明確に増強されていることがわかる。音色じたいは、良い意味であまり特徴がないソニーの音だと言えるけれど、世代が変わるごとに、音質ではなく音のバランスをこれだけ変えてしまうと、単に新型になったことのアピールを狙っただけの音イジりに見えてしまう。

一方のB&O Beoplay H9は、冒頭で書いた通りのB&Oのサウンド。手持ちのモバイル・スピーカーと同じ音作りがされていて、一貫性があるから愛好者には安心して聴ける。中高音ががクリアで音に艶があるところはいかにもB&Oらしい。

イコライザーの操作性は両者でまったく異なる。ソニーはトラディショナルな周波数帯域別にレベルを調整する方式で、B&Oはスピーカーのコントロールと同じアプリでX軸Y軸の図からWARM、EXITED、RELAXED、BRIGHTの方向性で選ぶ方式。どのあたりをポイントすればどんな音になるかという特徴がわかれば、B&Oの方が直感的に好みの音を選択できる。ソニー方式は大きく音の傾向を変えたいときにはプリセットの中から選び、微調整がしやすい場合にはカスタマイズできるため柔軟性が高い。B&Oだと低音と高音を盛る「Exited」方向のバランスが好みで、他のB&Oスピーカーとほぼ同じセッティングであることにも音の一貫性が見て取れる。ソニーXM3は低音をだいぶ減らして中音を持ち上げるセッティングで好みのバランスになった。

音質は、B&O Beoplay H9が上回る。とはいえ、オーディオ的パフォーマンスとしては差はさほど大きいわけはなく、音の性質が自分の好みに合うかどうかの方が評価を左右する。中高音域の音の表現の美しさはB&O Beoplay H9が優れているし、音のヌケが良く、特にオーケストラの木管楽器の艷やかな響きはXM3を明確に上回る。弦楽器の表現もB&O Beoplay H9の方が美しく、シンバルの響きの末端の薄刃感のあるニュアンス表現も優っている。XM3はどのようにイコライザーをイジってもB&O Beoplay H9のような抜けの良さは表現できない。ただし、こうした音の特徴は、B&Oらしい音色が乗っていること(音のチューニング)により実現している要素も大きく、ここが好みに合わない人にとってはB&Oのサウンドが作為的と感られるかもしれない。XM3でも、NCワイヤレスイヤホンとしては十分な音質ではあり音色に良くも悪くも特徴がないので、こちらを支持する人もいると思う。


[ノイズキャンセリング]
WH-1000XM3を10点とするとB&O Beoplay H9は7点くらいの感じ。僕の用途では、地下鉄のホームで聴こえてくる電車の走行音が一番耳障りなノイズで、低周波ノイズの「ゴー」、高周波ノイズの「カー」(ってわかるかしら?)の除去は、XM3の方が明確に優れている。人の声はノイズキャンセリングの苦手とするところだけれど、ここでもXM3の方がやや優勢。ノイズキャンセリング機能についてはB&Oに勝る点はない。ただし、もちろんノイズキャンセリングはまずまず機能しており、はじめてNCを体験する人であれば満足できるレベルにはある。言い方を変えると、一度XM3のノイズキャンセリングを知ってしまうとB&O Beoplay H9程度のNCであれば周囲のノイズをうるさく感じてしまって音楽に没頭できない可能性もあるということ。僕は電車通勤での用途がメインで、たまに乗る飛行機の騒音カットを重視するため、B&O Beoplay H9のノイズ・キャンセリングでは満足できなかった。


[接続性]
都心で人が多い駅だと音が切れやすいのはB&O Beoplay H9。XM3では2~3回瞬断するような電波状況で、B&O Beoplay H9だと瞬断が10回以上断続的に発生し、とても音楽を聴いていられなくなる。また、B&O Beoplay H9はさほど人混みの中でない場所でも単発の瞬断がときどきある。左右独立で接続性担保のハードルが高い(切れやすい)WF-1000XM3と比べてもB&O Beoplay H9の接続性は不安定。とはいえ、電波状況が悪くなければ実用性に支障はない。

一方で、WF-1000XM3もそうなんだけれど、ソニー製品は相変わらずマルチポイント接続に対応していないところはネガティブなポイント。前回接続していたデバイスの電源が落ちていても接続しに行く先はそのデバイスひとつで、ペアリング済みの電源が入っているデバイスがあったとしても決して接続しに行くことはなく、いちいちデバイスの設定画面を開いて接続しなくてはならない。複数デバイスで使用している人にとってはかなり使い勝手が悪い。B&Oはボーズ同様にマルチポイントに対応しているためこのような煩わしさはない。


[バッテリー]
実際に何時間もつかは測っていないけれど、スペック通りソニーの方がかなり再生可能時間は長そう。急速充電(10分充電で5時間再生)機能がついているのもいざというときに便利。あと、WH-1000XM3は電源ON時に電源ボタンを押すと残量何%とアナウンスしてくれるけれど、Beoplay H9 3rd GENのバッテリー残量を知る方法はアプリからのみで、その画面に到達するのに製品選択ステップを経る必要があり、あまり実用的ではない。


[どちらを選ぶべきか]
B&Oのサウンドが好みに合っていて音質重視、ノイズキャンセリングはほどほどで良いということであればB&O Beoplay H9 3rd GENを推奨。ノイズキャンセリング重視であれば迷うことなくWH-1000XM3。僕の場合、XM3だと地下鉄の中でも音楽に没頭できるけれど、Beoplay H9だと外の騒音がときどき気になってしまう。それに加えて、Beoplay H9はBluetooth接続の安定性がやや低いところもが気になってしまい、ソニーに戻ることになってしまった。そして、ここでもうひとつ重要なことは、現時点でWH-1000XM3の価格は、Beoplay H9 3rd GENのおよそ半額ということ。こうなるとBeoplay H9 3rd GENを積極的にオススメできる要素は少なく、推奨できるとすればB&Oサウンドが好きな人、みんなが持っているものは嫌だという人に限られてくる。

尚、WH-10000XM3とXM2との比較となると、バッテリー管理(持続時間、クイック充電)、USB Type-Cはポジティブなポイントではあるものの、音質とノイズキャンセリングについてはほとんど変わらない印象で、無理して買い換える必要はないと思う。

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