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趣味の人生を楽しむサラリーマンの日記

完全ワイヤレス・ノイズキャンセリング・イヤホン SONY WF-1000XM3 レビュー

WF-1000XM3-201908


まず、僕のポータブル・オーディオに対するスタンスから。

もちろん、音が良いに越したことはない。でも音質至上主義ではない(音質は据え置き機に求める)。DAPについては携帯性や操作性の良さ、管理のしやすさ(ライブラリの扱いやすさ)、アルバムや曲の閲覧性の高さがまずは重要で、ここがダメだと使うことじたいにストレスを感じてしまう。最近のDAPは、携帯性に背を向けたサイズと重量、無線化していく世相に逆行する不便で取り回し性の悪いバランス・ケーブルの採用が、一部ポータブル・オーディオ・マニアに喜ばれており、個人的には、音質追求を口実に本末転倒な方向に向かっているように感じています(持ち運びと取り回しが不便な機器が重宝される場所ってどんなところなんだろう・・・)。

そもそも、基本的には雑音、騒音にまみれた屋外で聴くためのものがポータブル・オーディオ。良い音質を求めはするけれど、落としたり失くしたりする可能性があって、製品サイクルが短いポータブル・オーディオは価格も含めてソコソコのもので良い、というのが僕のスタンスです。DAPやケーブルに大金を投じるなら、同じ金額を据え置き機に投資した方が遥かに良い音質が得られるのは明らかで、ポータブル・オーディオ界の行き過ぎた音質追求と、音質追求に取り憑かれたマニアを相手にした商売には疑問を感じてしまうのです。すべてのオーディオ機器について言えることだけれど、その音楽がより魅力的に聴こえるようでなければ音質向上に意味がない、というのが僕の考えで、雑音の中で使用するポータブル・オーディオにおける小さな音質変化(音楽を聴くことを忘れ、音の違いに神経を集中させて違いを探し出さないと気づかないような音質変化)に意義を感じません。

ポータブル・オーディオにおけるヘッドホン/イヤホンについては、今やワイヤレスであることが必須条件で、電車通勤中の使用をメインにしていることからノイズキャンセリング機能の高さを重視しています。通勤で使う以上、携帯性も重要なポイントです。

現在、主に使用しているのはSONY WH-1000XM2ヘッドホンとWI-1000Xイヤホンで、前者は、飛行機や新幹線か、装着時に暑さを感じる6~10月以外の時期限定での使用。暑くない時期でも出社時の通勤では使えない(始業時から髪型が潰れているのは受け入れがたい)ので、主力機は後者になっています。そんな限られた条件でもWH-1000XM2を使っているのは、ヘッドホンの方がずっと音質が良く、音に柔らか味と温もりがあるから。WH-1000XM2でも、音質を追求した室内用途のヘッドホンに比べたらそれほど高音質というほどではありませんが、ポータブル用途の音質としては十分で、安心して音楽に身を任せることができるところが気に入っています。

DAPはこだわりの専用機ではなく、iPod Touchを使っています(iPhoneでも良いが曲が多すぎて容量が足りない)。他のDAPと比べて音質が劣るとは思っていない(地味めの傾向なのは事実ながら質が悪いとは思っていない)し、ライブラリの管理性と(好みのミュージックアプリを見つけることができれば)操作性がトータルで優れていることが選択の理由。僕の持論としては、DAPというものは機種ごとに音の傾向の違いこそあるものの、クオリティの差はそれほど大きいとは思えず、大した違いがないDAP機種の選別に時間と労力を費やすことに意義をあまり感じていません。カセットテープのウォークマンから使ってきた身からすると、今販売されているDAPはどれもポータブル用途としては十分に高音質で満足できるものです。

現在の主力イヤホン、WI-1000Xは、ノイズキャンセリングを含めて機能的に大きな不満はありませ。ただ、音質には不満があります。ロックやジャズを聴いているぶんにはその音質にもそれほど不満がないのですが、音源によっては、芳醇で優雅な響きを持つオーケストラの弦の音(特にヴァイオリン)がかなり人工的に聴こえてしまうところがあり、例えばベーム指揮ベルリン・フィルのブラームス交響曲第1番などは聴いていて気持ちが悪くなるくらい違和感があるのです(もちろんあくまでも僕個人の感覚の話であり、オケの音でも美しく聴こえる音源も多い)。また、BA型ドライバーのイヤホンは、どうにも温もりとパンチが欠けていると感じることが多く、僕の好みに合っていないようです。

この度、新発売となったソニーの完全ワイヤレス・イヤホンWF-1000XM3は、ダイナミック型ドライバーで、ひょっとするとオーケストラの違和感が少ないのではないか、ということに期待して購入しました。選択理由が完全ワイヤレスありきではないところは他の方は違っていると思いますが、完全ワイヤレスのイヤホンがどんな使い勝手で、通勤音楽ライフにどんなメリットがあるのか、という興味もあっての購入でもあります。

僕のノイズキャンセリング・ヘッドホン/イヤホン歴は以下の通り。
・BOSE QC2
・BOSE QC15
・BOSE QC20 ※
・BOSE QC30
・SONY WH-1000X
・SONY WH-1000XM2 ※
・SONY WI-1000X ※
※は現在も所有しているもの。

ソニーとボーズ以外の製品はノイズキャンセリング機能が弱かったり、携帯性が悪かったりするため、今のところ選択肢に入ってきていません。BOSE QC20以降のモデルのノイズキャンセリング性能はどれも十分なレベルにあり、近年の両社の製品はどれも満足できるクオリティにあります。WF-1000XM3は、完全ワイヤレス・イヤホンとして業界は最高レベルのノイズキャンセリングを謳っていますが、ヘッドホンや、有線・ネックバンド式イヤホンまで対象を広げれば最高ではないことをソニー自身が認めた物言いで、それでも今この時期に出す製品なら納得できるレベルにはあるだろう、と見込んで購入しました。

音質
WI-1000Xよりは情報量はやや落ちる印象ながら、屋外でのカジュアル使いであればその差は小さいと言って差し支えない程度の小差。低音から高音までバランスが良く、尖ったところのない聴きやすい(言い方を変えると低音も高音も抜きん出たところがない)タイプで、故に音源を選ばずうまく鳴らせる。BOSEのQC20/QC30と比べると音の見通しが良く、楽器のリアリティもなかなかのもの。10年前のイヤホンの水準を考えるとイヤホンも随分音質が良くなったなと思わずにはいられないし、現代の水準で聴いても音質はなかなか良いと言って差し支えないレベルだと思う。ただし、情報量や音のきめ細かさがとても高いとまでは言えないので、音質の要求度が高い人には物足りないかも。音源によってはどこか味気なく無味乾燥な音に聴こえることもあり、オーディオ機器としての主張、音の面白みには欠ける印象(押し付けがましくないとも言える)。一番気にしていたポイント、オーケストラの弦の音は、WI-1000Xよりは自然な音で表現できていて、これは個人的には喜ばしいポイントだった。それでも、安心して身を委ねられるほど自然な響きとは言い難く、本機でも人工的な匂いを完全に払拭できているわけではない。BOSEも含めてイヤホンでオケの弦の美しさを表現できているものに出会ったことがないので、ひょっとするとこの価格帯のイヤホンの限界なのかもしれない。誤解ないように付け加えると、人工的に聴こえるのは一部音源のオケの弦セクションの響きであって、美しく表現される音源も多く、ヴァイオリン独奏、ピアノはナチュラルで微妙なニュアンスを描く表現力があるし、ジャズの場合を含めて金管、木管の響きもこの価格の製品としては上々の音質、再生力を持っていると思う。

ノイズ・キャンセリング
総合的にはWH-1000XM2、WI-1000X、BOSE QC30をやや下回る印象。キャンセリングできる得意分野と不得意分野がはっきり別れている。低周波ノイズと高周波ノイズはかなりキャンセリングできていて、これまで使用してきたNC機の中でも最上位に来る。一方でその影響もあってか、人の声や駅の発車通知メロディなどがWI-1000Xよりもやや目立って聞こえる場面があるし、駅で聴こえてくる電車の走行音(線路との接触音)は結構聴こえてくる。車内にいるときの走行音のキャンセリングは優秀なので乗車中は音楽に没頭できる。

ちなみに、ノイズキャンセリングとは特に(空調、エンジンなど)機械的な騒音が発する低周波ノイズ、高周波ノイズを打ち消す技術で、飛行機や新幹線などで特に大きな効果を発揮し、そうしたノイズ成分の含有率が低い音(人の声など)のキャンセリングは得意ではない。ノイズ成分は文字通りノイズでしかなく、そのノイズ成分が多い環境では低音と高音がマスキングされて音楽が聴き取りづらくなってしまう(ロードノイズはじめ様々なノイズに包まれるクルマで音楽を聴くときに低音と高音が聴こえにくくなるのと同じこと)もので、そうしたノイジーな環境で、聴いている音楽のバランスが乱されないないことこそがノイズキャンセリング最大のメリット。一方でノイズキャンセリングを、外音キャンセル(すべての外音を打ち消すもの)と受け止めている人も少なからずいて、人の声が聴こえやすいことにネガティブな(ノイキャンってこんな程度か、話し声が聴こえてくるから使えない、のような)反応を示す声もネットではよく見かける。ノイズキャンセリング技術がどのようなもので、どのような効果を目的としたものかを考慮すると、人の声が比較的聴こえやすいことが欠点であるとは思っていない。ノイズ成分を大きく除去して、音量を上げなくても低音高音のバランスを崩さずに聴ければ、ノイズキャンセリング機能は優秀、というのが僕の評価軸になっている。

その観点で言うと、WF-1000XM2のノイズキャンセリング性能は優秀で実用的。中音域をよりカットできれば申し分ないとは思うけれど、現状でも十分満足できるレベルにあると思う。

装着感
カナル型として、ごく普通。イヤーピースが平凡で、BOSEの装着感抜群で遮音性に優れたStayhearイヤーピースと比べると見劣りしてしまうところはWI-1000Xと同様。イヤーピースのフィット具合によって、外音の遮断度合い、ノイズキャンセリングの効き、音のバランスが大きく変わってしまうのはイヤホンの常識ではあるけれど、この平凡なイヤーピースだと、そうしたフィットしていない、本来のNCや音質を損なう状況になりやすく、また気づかないうちに微妙に緩んでいる状況になっていることもある。完全ワイヤレス機としては個体が重く、大きいため、走ったときに落ちるんじゃないかという不安も少し感じる(ジョギング程度では落ちないでしょう、恐らく・・・)。

操作性
左右のタッチセンサーでいくつかの操作が可能。後述のHeadphone Connectアプリで左右にそれぞれ(あるいは両方とも同じ)機能をアサイン、またはタッチセンサーを無効化することができる。アサインできるのは、「コントロール機能」(曲の一時停止、再生、曲送り、戻しなど)、と「ノイズキャンセリング機能」(NCのON/OFF、アンビエントモードの切り替え、クイックアテンションモード)の2種類。
耳の収まり具合を微調整したりするときに不用意にイヤホンに触れるとタッチセンサーが反応していしまうけれど、イヤホンの外周をつまむように扱う習慣が身に付けば問題ない(WH-1000Xシリーズも右側は似たような注意が必要だった)。

ケースから取り出すと電源ON、ケースに収めると電源OFFとなるため、電源を入れる/切る操作を意識する必要はない(AirPodも同様らしい)。ケースへの出し入れ以外での電源を操作は、アプリでオフに一応できるものの、装着すると電源ONになる=ポケットに入れたりするとセンサーが反応してONになってしまうため、このイヤホンを使うときにはケース携帯が必須になる。

イヤホン内側にあるセンサーにより、装着、脱着を判別しており、音楽再生中にどちらかのイヤホンを外すと一時停止になる(アプリからその機能をオフにすることも可能)。1000X系のヘッドホンで好評だったクイックアテンション機能は、イヤホンを外したときに一時停止するのであれば特に必要性は感じない(片手でヒョイと外したり戻したりするのが面倒なヘッドホンだからこそ、右手をハウジングにかぶせるだけで外音を聞けるようにするクイックアテンション機能は便利だった)。

惜しいのはイヤホン側で音量調整できないところ。狭いタッチセンサー部に多くの機能を持たせることは難しく、上記「コントロール機能」「ノイズキャンセリング機能」を、NCイヤホンとしての基本操作と考えるとしたら、音量用調整機能が省略されたのは仕方がないかもしれない。個人的にはノイズキャンセリング機能はON固定でしか使わないため、代わりに音量調整機能をタッチセンサーにアサインできるようになっていれば良かったのに、と思ってしまう。ただ、このイヤホンは当然iOS/Android専用機というわけではなく、アプリで操作できない機器には同社の看板DAPであるウォークマンも含まれている。ウォークマン・ユーザーが使えない、アプリでしか使えない機能を実装して盛り込むことには商品戦略上、よろしくなかったのかもしれない。音質にかかわる機能以外のものを排除した、音質に注力した機器で聴きたいという、ごく一部のオーディオ・マニアがスマホとは違う専用プレーヤーを求めた結果、利便性が失われ、もうひとつの同社看板製品である無線イヤホン/ヘッドホンの機能をフルに使うことができないというジレンマが生じている(深読みしすぎか?)。

接続性
接続優先モードで使用して(音質優先モードで特に音質が向上しているように感じないので)みて、普段、通勤で使用している環境(都内地下鉄、駅など)で、音が途切れるケースは少なく、途切れても瞬断に留まる。とはいえ、ほとんど途切れることがないWH-1000XM2、WI-1000Xよりはやや切れ頻度は高い。この程度の発生頻度なら許容範囲でしょう。

DAPとの接続のマナーは従来のソニー機と同様。つまり、イヤホンの電源を入れると前回接続していたDAPにしか接続しに行かず、そのDAPの電源が入っていない(あるいはBluetoothがオフになっている)場合には、ペアリング済み接続可能状態の別DAPがあったとしても接続しに行かない。接続機器が固定でないユーザーにとって、この仕様は面倒。ペアリング済みのDAPが圏内にあれば、前回接続したか否かに関係なく自動で接続をリジュームしてくれる(いちいち設定画面を開いてBluetooth接続しなくても良い)BOSE製品の方が使い勝手が良い。

携帯性と扱いやすさ
完全ワイヤレスという、なんとなく自由度の高いイメージに反して、完全ワイヤレスであるが故に携帯性はそれほど良くはなく、取扱いに関してはむしろ制約が増えるように感じる。
イヤホンを外したらケース収納が必須(事実上、収納しないと電源OFFできない)で、ケースは厚みがあってポケットに入らないため、イヤホン本体がこれだけ小さくてもケースを収納するためのカバンを持って歩く必要がある。取扱いにおける最大の制約は、短時間聴くのと止めたいとき、あるいはこれから聴くんだけれど少し後のタイミングで聴けるようにしておきたい、というときにイヤホンの居場所がないこと。

例えばコンビニで買い物をするとき、ネックバンド式のWI-1000Xならイヤホンを外してダラッとぶら下げておけるけれど、完全ワイヤレスだと外したイヤホンは服やズボンのポケットに入れるしかない。ポケットに入れると装着センサーが反応して一時停止した音楽が再開されてしまうし、タッチセンサーの誤動作を誘発する可能性もあり。そもそも、無用な付け外しは落下、紛失のリスクも伴う。そうかと言って、ごく短時間の使用停止のためにカバンからケースを出して収納するのもあまり現実的ではない。

有線イヤホンだと上着の内ポケットに収めておいて、ネックバンド式なら首まわりに置いておいて、音楽を聴くタイミングになったら耳にセットすることができる。完全ワイヤレスだと、聴きたいタイミングになったときにケースからイヤホンを取り出して耳に装着するというステップをきっちり守らなくてはならない。耳に軽めに挿入し、外の音が聴こえる状態にしておいて音楽を聴き始めるときに押し込む、というやり方も普通のイヤホンならできるけれど、完全ワイヤレス・イヤホンだと落とすリスクがあってそれもできない。アンビエントモード(外音取り込みモード)にすれば、装着状態で周囲の音は聴き取れるとはいえ、それでも聴き取りにくいし、周囲の人から音が聴こえる状態だと見てもらえることはなく、装着状態での会話はそもそも失礼と考えているので僕にとっては現実的ではない。

アプリ
iOS、Andoroid端末ではHeadphone Connectというアプリでいろいろと設定などを操作できる。設定項目は従来とほぼ変わりなく、以下の通り。
・バッテリー残量表示(昔はインジケータ表示のみだったが今は%表示もされる)
・アダプティブサウンドコントロールON/OFF(自動外音コントロール)
・外音コントロール(NCレベルの調整)
・気圧調整
・定位設定
・サラウンドモードの切り替え
・イコライザー
・ヘッドホンを外したら一時停止
・音質モード(音質優先か接続優先か)
・DSEE HXのON/OF
・L/Rそれぞれのボタン機能の変更
・通知音と音声ガイダンス
・自動電源オフ
・着信時バイブレーションON/OFF
・ソフトウェアの自動ダウンロード

WH-1000XM2、WI-1000Xにあった、定位変更、サラウンド設定、気圧調整機能はない。また、イヤホンの電源OFFもできるようになっている。その場合、耳に挿入すると電源ONになるが、すなわちポケットなどに入れた場合にもONになってしまうことを意味する。

左右独立で接続しに行く仕組みのせいか、アプリを開いてから接続まで、WH-1000XM2、WI-1000Xよりもやや時間を要する。アプリでイコライザーをカスタマイズできるのは、ソニー製品だけの特長ではないけれど、同じアプリで同じように扱えるのは楽なもので、気がつけばソニー製ばかりが手元に残っているのはそのせいもあるかもしれない。どのヘッドホン/イヤホンもFLAT状態のバランスは好みではないため、イコライザーと調整のしやすさは僕にとって重要な項目である。
(余談)イコライザーを毛嫌いする人、邪道と決めつけて音に拘っていることを主張している人が、少なからずいますが、なぜイコライザーが良くないと思っているのかという疑問に立ち返った方が良いと思います。かつて、昭和の時代にはアンプにトーン・コントロール機能があるのが一般的で、その部分を音質劣化をもたらす余計な回路と考え、バイパスすることで音質向上が図れることを売りにする製品がその後主流になっていったことがあり、それを機にトーン・コントロールやイコライザーは音を劣化させるものという常識が多くのオーディオ・マニアが刷り込まれました。しかし、DAPやヘッドホン/イヤホンのイコライザーに余計な回路などあるはずがなく、単なるソフトウェアのバランス調整でしかありません。好みの音のバランスでもないのに、我慢してイコライザーを使わないという選択に意味があるようには思えません。

バッテリー時間
イヤホン単体の稼働時間はNCオン時で6時間というカタログ・スペック。片道1時間弱の通勤でしか使用していないため今のところ使い切ったことがなく、実測値はまだわかっていない。個人ブログで6時間以上稼働したという情報があり、これまでのソニー製品もカタログデータ以上は稼働していたので恐らく6時間は問題なく使えるでしょう。イヤホン単体の稼働時間を測定できていないのは、使用しないときにケースに収めるから(=充電してしまうから)でもある。通勤で使用している限り、(他社でも一般的な方式である)ケースがバッテリーを備え、ケースからイヤホンに充電する2段階充電の仕組みはとても理に適っていて、電池切れで使用不可にならないようにバッテリー残量を気にしなくて済むことは思っていたよりもずっと気が楽だということが、使ってみてようやくわかった。尚、WF-1000XM3は従来のソニー製品と異なり、残量をパーセンテージでアナウンスしてくれる。

これまでのノイズキャンセリング・ヘッドホン/イヤホンは、当然ながらバッテリーが切れてしまうと音が出ない、あるいはNCが使えない状態になってしまうため、バッテリー残量には常に目を光らせておく必要があった。しかし、ケースを介しての2段階充電だと、ケースバッテリー残量がゼロになってからイヤホン単独でも数時間使うことができるため、ケースのバッテリーが少ない、または切れたことに気づいてから(イヤホンをケースに戻してイヤホン本体の赤LEDがすぐに消えるとき=ケースの電池残量が少ない、赤LEDが点灯しない=ケース電池残量なし)充電すれば良い。
通勤での使用(1日あたり2時間未満)がメインの用途だと、ケースを介しての2段階充電は扱いやすく、理想的な仕組みのように思える。万が一、イヤホンのバッテリーまで使い果たしたとしても10分の急速充電で90分稼働できる機能もあり、バッテリー残量に神経質になる必要はないところはWF-1000XM2の魅力のひとつと言って良いでしょう。
ちなみに、WH-1000XM2、WI-1000Xでバッテリー残量を知りたい場合には、Headphone Connectアプリを開くか、電源ON状態のときに電源ボタンを押す必要がある。一方で、WF-1000XM2はイヤホンをケースから取り出して電源ONになった直後に残量をアナウンスしてくれる。主体的に見に行かないと残量がわからないのと、受動的であっても把握できるのとは大違いで、電源ON時のバッテリー残量アナウンスは全機種に実装してもらいたいところ。

その他
ケースの底面が丸みを帯びていて自立しない(前モデルはできた)ようになっているのは使い勝手が悪い。カバンに入れたり、ただ置いておくだけであればもちろん問題ないけれど、イヤホンを収めるときにケースを立てておけないデザインの意図がよくわからない。

デキが良いWF-1000XM3の登場により、ネックバンド型のWI-1000Xの価値が下がったと捉える人が多いことでしょう。WI-1000Xは、完全ワイヤレス機とと比較して、

・スーツの襟周りにネックバンドの収まり具合が良くない(少し浮く。BOSE QC30はそうならない)
・冬場のマフラー装着時にネックバンドとケーブルが邪魔になりやすい(この形状の宿命)。
・Tシャツなど襟なし服のときに皮膚に直接当たって異物感がある(夏場は気持ち悪い)。

という使い勝手の悪さがある。しかしながら、WI-1000Xの方が優れている点もある。

・バッテリー連続稼働時間はWI-1000Xの方が上(約11時間)で長距離フライトの連続使用に耐える。
・有線も使用できるため、飛行機内の映画鑑賞などにも使用できる。
・音量調整をイヤホン側でできる。
・イヤホンを耳から外してもダラッとぶら下げておける。
・電源OFFし、外してカバンに無造作に押し込むことが片手でできる。
(WF-1000XM2はカバンからケースを取り出して両手で収めなくてはならない)

総論
前機種の「ないよりはマシかも」のレベルより大幅に機能向上した実用的なノイズキャンセリングを備えた完全ワイヤレス・イヤホンとして、現状では唯一の存在と言って良いでしょう。音質もまずまずで、バッテリー駆動時間も完全ワイヤレス・イヤホンとしては上出来、特に通勤用途では問題ないレベルにある。総合的に見てよくできていて、妙な癖もないので広くお勧めできます。特筆すべきは、従来のノイズキャンセリング・ワイヤレス・イヤホンよりも価格を抑えている(発売当初34,000円だったWI-1000Xより10,000円も安い)ことで、この値段でこれだけの機能と音質を備えた製品をいち早く出したことで、カジュアル・リスニング用途に向いた製品としては頭一つ抜け出した存在と言って良いでしょう。他社から競合製品が今後どんどん出てきて選択肢が増えることを望みたいところです。

漸く足元に目を向けるようになってきた

コールハーン201906


僕はもともと服装に無頓着だった。要はダサかった。今でもオシャレだとは思っていないし、ファッションセンスのある人から見たら「その組み合わせちっとも良くないよ」と言われるかもしれないけれど、パッと見て「うわ、だっさい」と思われない程度の身だしなみはするようになったんじゃないかなあとは思っている。

服装はとても重要で、相手に与える印象に大きな影響があるのは言うまでもないこと。高価なブランド物や尖ったデザインの服を着れば良いというわけではなく、年齢相応のシンプルなデザインでサイズ感が体型に合っていればとりあえず十分、というのが僕のスタンス。あとは手元にある服をうまく組み合わせることができればそれで「うわ、だっさい」は回避できるものではないかと思っている。

なんて偉そうなことを言っていますが、こう言えるようになったのは妻のおかげです。特に年齢相応の服という観点が僕には薄くて、今まで通りの好みの服を単純に選んで結果的に若作りになってしまうことが往々にしてありました。そんな点を含め、最近になってようやく自分なりにある程度選べるようになったような気がしています。でも、まだ自信がないのでよく妻に最終チェックしてもらっていますが。

身なりに気をつけるようになったと自分で思えるようなってきた昨今、しかし、まだ軽視しているのが靴。もちろん、みすぼらしい靴を履いているわけではないけれど、あまりデザインに気を使うこともなく、服との組み合わせて違和感がなければいいや、という程度に適当に選んでいました。ブランド物の靴には興味がない、というか特に突出したデザインというわけでもないのにアウトレットでも最低50,000円から、という値段相応の価値をあまり感じないのです。もちろん、そのディテールのデザインが全体のイメージに影響をもたらし、そのブランドの価値が宿っているということなのはわかっているのですが。

僕が靴のデザインで唯一気にしていたのがソールが白い靴を選ばない(ソールがダーク系の色を選ぶ)ということ。これ、別に信念とかポリシーとか深い考えがあるというものでもなく、単純に白いソールの靴は子供っぽく見えるのではないか、というのがその理由でした。その掟を破って数年前にコンバースのスニーカーを買ったのは、カジュアル感丸出しの選択は、これはこれでドレスダウンとしてアリかなと思ったからで、白いソールを受け入れていたわけではありませんでした。

ある日、普段着のときに、ソールが白い黒のジョギング用スニーカーを気まぐれで履いてみたら、あれ、別に若作りに見えないし、適度にカジュアルで雰囲気は悪くないじゃないか、と意外な発見。自分で決めつけて避けていた白ソールのスニーカーも次の選択肢に入れてみようかな、と考えが変わりはじめたのです。

それからアウトレットで見つけたのがこのコールハーンのスニーカー。

白いソールは、ともすれば軽々しくて安っぽい印象を与える可能性があるため、50代が履く靴としては全体に質感があることが望ましい。コールハーンの靴は、カジュアルなムードと質感、良いデザインがうまくバランスしているように思える。スニーカーに何万円も使う人の気持ちが理解できなかったんですが、こんな靴なら納得です。しかも、軽くて履き心地がとても良いという機能面でもスグレもので、靴を履くことで気分がアガるようになってしまいました。もちろん、50代に相応しい質感とデザインの靴を作っているメーカーは他にも沢山ありますが、コールハーンは、アウトレットで買えばそれほど高すぎるというほどではなく、アウトレット専用品(コールハーンのアウトレット店舗は基本アウトレット専用品を置く)であっても正規点商品と比べて質が落ちる感じがないところも良いところ。

ファッションは実は靴を見ればわかる、という意見があります。靴は外見で最初に目に入る部分ではなく、足を保護して歩きやすくするという機能が求められる部分も大きいため、無難なものでいいや、となりがち。だから靴を見ればどこまでファッションに気を遣っているかがわかる、という意味なんだとか。身だしなみポイントとして、これからはもっと考えて靴選びをして行こうと思います。

テレビの音質を改善するために Bose SoundTouch 300 soundbar を導入してみた

BOSEsoundbar201904

ふと思い起こしてみると、ブラウン管テレビが姿を消し、薄型テレビが当たり前になってからもう結構長い時間が経過している。その薄型テレビの登場当初から言われ続けてきたことは音が悪いということ。悪いというよりは貧弱と表現した方がいいかもしれない。大型のスピーカー・ユニットが使えず、スピーカーボックスとしての容積を確保できない(低音を稼ぐことができない)という物理的に不利な条件から逃れることはできず、9年前に購入した拙宅プラズマテレビのスピーカーも控えめすぎるほどに慎ましい存在に留まっている。

映画や音楽の映像作品を良い音で楽しみたいときには、メインのオーディオを5.1ch化したシステムがあるから、それを通して聴いている。しかし、このオーディオ・システムはAVアンプを含めて4つのアンプを抱えていて、使う前に元電源を入れたり(週末しか使わないアンプは普段落としている)、HDMIセレクターやスピーカーセレクターを操作する必要があったりするという面倒なものになってしまっている(ま、自業自得ですが・・・)。

もちろん、映画を観たり、音楽のブルーレイを観たりするときには、じっくり腰を落ち着けて良い音で鑑賞したいという目的があるから面倒な操作が必要でも億劫には感じたりはしない。でも、テレビや録画してあるドラマなどをもう少し良い音で聴きたい、程度のときには面倒だなあと思ってしまう。大掛かりな装置でなくても構わないから、もっと気軽に、そこそこ良い音で聴く手段はないものだろうか・・・。

と、そんな要望に応える製品として大型家電店に結構なスペースを割いて展示されているのが、テレビの前に置く、薄くて幅広く伸びるサウンドバーと呼ばれるスピーカー。テレビの音をもっと良くしたいという要望に応えるべく、省スペースで、基本的な音質を底上げし、映画鑑賞ではサラウンド感をも実現する、というもので、本格的なサラウンド・システムを用意しようとまでは思っていない人にピッタリの製品。テレビ番組の音質の底上げという意味では、これが今回の僕にニーズに合いそう、というわけで製品選びに入る。

でも、どうせスピーカーを導入するのであれば、できればもうひとつ実現したかったことがBGMでの用途。メインのスピーカー、JBL Project 1000 Arrayは、特に低音の中でも最も低い、地を這うような低音域(60Hz以下あたり)まで明瞭に再生する能力の高さが仇となり、音源によっては音量を絞っても夜遅くに鳴らすことを躊躇ってしまうことがある。低音が響きすぎないような、深夜BGM用途に合うスピーカーがリビングにあるといいなあ、とずっと思っていたので、その役割を担えるものであれば尚嬉しい。

サウンドバーの売れ筋は2万円前後のようで、その中から評判の良いものを、と物色しているうちにふと疑問が浮かんで来る。旅行で持ち運びしているモバイルスピーカーよりも低価格の製品で音楽も快適に聴こうというのはちょっと虫が良すぎるんじゃないだろうか。せめてもう少しグレードの高い製品を選ばないときっと後悔するだろうと考え直す。

価格帯を上げて製品を物色していると、サブ・ウーファーとセットの製品が中心になってくる。でも、リビングにはすでに大型サブウーファーがあって、もう1つ置けるスペースはなく、共用も難しそう。サブウーファーなしでも厚みのある低音が確保できてテレビの音質を底上げできそうなサウンドバー、ということで選んだのがBose SoundTouch 300 soundbarという製品。

僕のボーズ製品の認識はhttp://buhaina.blog.fc2.com/blog-entry-73.htmlに書いている通りで、Hi-Fiを追求するのではなく、カジュアルに楽しむ用途に向けて作られている製品だと思っている。小型でも低音の厚みを持たせる製品作りが得意なことから、僕がサウンドバーに求める要素を満たしているだろうと予想。設置予定の場所にピッタリのサイズで、Wi-Fi、Bluetoothにも対応し、Spotifyの再生ができてNASに溜めてあるライブラリーも再生できる可能性がある(WebサイトではDLNA準拠でないと謳っているが再生できそう)ところもニーズに合っている。ボーズのスピーカーと言えば、サイズ(容積)からは想像できない低音が出ることに特徴があるけれど、オーディオに詳しい人ならご存知の通り、厚みがあるのはベースの中心音域である低中音あたりで、60Hzあたり以下の再生は潔く諦めているため、極低音の響き過ぎも回避できるだろうということも選択の理由になった。

尚、Bose SoundTouch 300 soundbarは旧モデルで、現行モデルはSoundbar 700となっている。主な違いはAlexa、eARC、CEC対応の有無(SoundTouch 300 soundbarもAlexa対応機器を持っていれば連携できる)あたり。あと、リモコンがBLE対応(機器に向けなくても良い)になっているらしい。いずれの機能も対応機器を持っていない、あるいは使うつもりはないので、約20%の価格差が選択の決め手となった(スピーカーじたいの構造は違いがないと言われているが事実は不明)。

商品が到着して、早速設置する。上面がガラス貼りでスチールメッシュの枠は、樹脂と布張りの低価格帯サウンドバーとよりワンランク上の質感で、インテリアとして部屋の雰囲気を損なわないところにまずは好印象。見た目のスッキリ感と引き換えに、本体には電源スイッチを含め、操作系のボタンは一切なく、リモコンかアプリでしか操作できないところは国産メーカー比べると使い勝手が良くないと感じる。猫が上に乗って音量ボタンを勝手に押してしまうことがあるという話もあるので、本体で操作できないことは拙宅では都合が良い面もある。

ブルーレイ・レコーダーから本機HDMI入力へ、HDMI出力からテレビのHDMI入力へ接続。拙宅のテレビは9年前の製品ゆえにHDMI ARCは非対応のためテレビの音声は光ケーブルで接続する。初期設定は、Wi-Fiやネットワーク・オーディオに親しんでいる人なら困ることはないと思うけれど、馴染みのない人にはやや煩雑でわかりにくいかもしれない。

ADAPTiQ音場補正を含めたセットアップを終えて音を出してみる(スピーカーで最初に音を出す瞬間は何度体験してもワクワクしますねえ)。主電源スイッチはなく、コンセントが入っていればスタンバイ状態。テレビやブルーレイ・レコーダーの電源を入れても自動で電源は入らないため、リモコンでONにする。取説(製品に付属せずPDFでダウンロードが必要)ではテレビのスピーカーをミュートするように指示されているけれど、拙宅環境ではテレビは自動でミュートされ、テレビのリモコンの音量ボタンでSoundTouch 300をコントロールすることができた。

ブルーレイ・レコーダーを使用してみると音が約5秒間隔で1秒途切れるという現象が発生、これはSoundTouchアプリの詳細設定から「HDMI INダイレクトオーディオ」項目をONにしてリモコンのソースボタンをアサインし、再生時にそのボタンを選択することで正しく音が出るようになった。この設定について取説には説明されておらず、取説に書かれているサイトにアクセス、動画を探してようやくわかったもので、このあたりも含めて設定の説明は親切とは言えない。

テレビ番組の再生は、声(特に男性の低い声)にやや厚みが出てリアリティが増した。ただ、「おおっ」と感動するほど音質が良くなったという感じはしない。音楽や効果音が少ないバラエティ番組やニュースを見ていると、価格に見合った効果はほとんど実感できない。また、恐らく多くの人にとって気にならないレベルには収まっているとはいえ、光ケーブル接続だと僅かに音声が遅延する(HDMI ARC接続の場合どうかは環境がないため確認できず)。AVアンプなどでも光ケーブル接続は音声が遅延するし、経験上、その遅延はもっと大きいので、この程度の遅延なら仕方がないかなといったところ。

もうひとつ、期待していた音楽再生はどうか。

まず、嬉しいことにQNAP NAS+MinimServerのDLNA環境の音楽再生は可能だった(ただしFLAC再生とギャップレス再生は不可)。NASライブラリーのアクセスで利用するBose SoundTouchアプリのメニューは洗練されているとは言い難く、音楽再生中の情報表示内容にも不満があるけれど、レスポンスが良いのでストレスは感じない。

音質は、ボーズ製品らしく周波数レンジはほどほどといったところ。低音は、薄いエンクロージャからは想像でいないほど豊かで、これ以上低音が強いとマンション住まいでは近所迷惑が気になるかもしれない、と思えるくらいの厚みがある。オーケストラのコントラバスはボワついてブーミーな感じになってしまい、低音を望んでいない人には響きすぎと感じられるかもしれない。その低音は9段階の調整が可能で、最大にするとかなり強めでその分コモる音になり、最小にすれば低音はだいぶ控えめになる(音源ソースによってはそれでも結構低音が出る)。前述の通り、極低音は割り切っているから出ていないし、低音設定を下げれば低中音も響きすぎという感じはなく、(音量を絞れば)夜遅くに音楽を聴いても近所迷惑を気にしなくて良さそうであることに安心する。中音域や高音域は思っていたよりはクリアで、オーケストラの弦のしなやかさや木管の艶、金管の深みのある響き、ジャズのベースの膨よかさや管楽器のリアリティもまずまず表現できている。それでもやはりボーズ製品であり、あくまでもこの価格帯の製品でもあるので、クッキリした解像度や溢れるような情報量とはいかず、オーディオに関心がない妻が「音が粗くて低音に無理矢理感がある」と気づくくらい、普段鳴らしているJBLと比べて劣るのは仕方のないところ。ジャズならまずまず聴ける一方で、スピーカーへの要求度がもっとも高いクラシックを真面目に聴こうという気にはなれない。また、同じ楽器でもフレージングや音域によって音の出方にややバラツキがある(音の精度が低い)のも仕方ないかなあと思う。音源の録音状態によってはうまく響かせることができずに、大げさな言い方をするとAMラジオ的になってしまうものもある。それでも、角が取れた音で豊かに響く温もりあるサウンドは聴き心地の良さがあって、ボーズらしいサウンドを実現しているのは流石で、そんな特性は小音量でもまずまず情報量があるところを含めて想定していたBGM用途にピッタリ。

音楽再生の時のサウンドは通常のステレオ・オーディオとは異質な鳴り方をする。5つのスピーカーユニットは中央に一直線に並べられ、左右に配置されたトランスデューサーで横方向に音を広げる構造になっているようで、中央付近から左右チャンネルの音が合わせて出てくる。例えば、アート・ファーマー&ベニー・ゴルソンのジャズテットというアルバムは、テナー・サックスは左チャンネルのみ、トランペットが左右両方(よって中央に定位する)、トロンボーンが右チャンネルのみというミックスになっているんだけれど、サックスとトロンボーンの音も中央付近から出るため、ステレオ感がそれほどない。一方で、真横で聴くと左右に振り分けられた音がそれぞれの方向に明瞭に聴こえてくることから、横に音を飛ばすことで壁に反射させてサラウンド感を持たせる設計になっていることが伺い知れる。よって、このサウンドバーの設置場所は左右の壁の素材や壁までの距離が同等であることが望ましい。このような特徴から結果的に、正面で聴くとステレオ感はあまりないものの、音場の広がり感はあるという独特な鳴り方をすることになり、リアルな音場感というよりも、小型スピーカー・ユニットで上手く、擬似的な広がり感を持たせる音作りがなされていることがわかる。2chステレオの音楽鑑賞としては、所謂ピュア・オーディオとはだいぶ違う方向性の音設計だと言えるでしょう。(補足:アプリからセンター音量の設定が可能で、最小にすれば音場の広がり感と、ステレオ感が得られるようになっている。ただし、前述の基本特性は同じであくまでも擬似的な音場感の調整機能と考えた方が良い)

この独特の鳴り方が効果を発揮するのが、アクション系などの派手な音作りがなされている映画。セリフはセンターにしっかりと定位し、音楽や効果音のクオリティと広がり感はテレビのスピーカーに大きく差を付ける。やはりSoundTouch 300 soundbarが本領を発揮するのは(特に音作りが派手な)映画鑑賞だと実感する。もちろん、本格的な5.1chシステムの音場感には及ばないけれど、テレビの前にポンと置くだけでこれだけのシアター感が出せる音作り、それをこの価格で実現しているのは流石ボーズという感じ。サブ・ウーファーとリア・スピーカーを追加することも可能で、追加すればさらに臨場感が得られるだろう、と思いつつ、サウンドバーはそもそも部屋をごちゃごちゃさせずに映画館のようなサウンド感を楽しむことを目的としたものと捉えると、本末転倒という気がしなくもない。

このSoundTouch 300 soundbarは、事前の予想通り、解像度や情報量至上主義のオーディオ・マニアにはやはり向いていない。しかし、オーディオ・マニアの世界に足を踏み入れるつもりはないという(機材に淫しないバランス感覚のある)方なら満足できるであろう良好なサウンドを実現していると思う。Bluetoothの接続性が不安定なことや初期設定の分かりづらさで評価を下げているけれど、気軽にホームシアターを楽しんだり、音楽を聴く用途であれば、価格、サイズ、音質のバランスが取れた良い製品だと思う。

住環境に合わせて掃除機を強化 - ダイソンV8のアップデートとルンバ960の導入

ダイソンV8-201810-1

拙宅の掃除機は、ダイソンV8アニマルプロ(Animalpro)。2年前の7月に購入(http://buhaina.blog.fc2.com/blog-entry-267.html)し、日常的に使用している。寿命が2年程度と言われていたバッテリーは今のところ劣化の兆候はなく、拙宅の掃除時間(実稼働はたぶん15分程度)ではバッテリー・インジケータが残り1目盛りに変わったくらいのタイミングで終了し、多少劣化してきたとしても拙宅利用状況ならまだまだ使えそうな感じです。コードレスに惹かれて購入したわけですが、今ではコード(やキャニスター)がないことが当たり前になってしまい、物置から掃除機の居場所をなくしてしまったこともあって、キャニスター式には戻れない体になってしまいました(もちろん妻も)。

そのダイソンV8、引っ越し前は、カーペット敷が2部屋、畳が1部屋、廊下とリビングがフローリングという環境で、猫の抜け毛を特に吸ってほしかったためアニマルプロを選択したわけですが、今のマンションは全室フローリングになり、ダイレクトモータードライブ・ヘッドは必須ではなくなりました。このヘッドは床との密着度が高くカーペットの埃を掻きむしって吸う力が強力という長所がある反面、密着度が高いゆえにフローリングでは粒の大きいゴミを弾いてしまい、またローラー前側にデッドスペースがあるため壁際に弱いという短所がありました。

というわけで、並行輸入品でソフトローラークリーナー・ヘッドを購入。確かにローラーは壁際まで届くし、大粒の猫砂を弾くことなく吸ってくれるようになり、より使いやすいものに。一方で、毛足長めのトイレマットで使用するとあまり吸っている感じがしないので、やはりこのヘッドはフローリングか畳向けという感じ。良い意味で想定外だったのは操作感で、ヘッドがだいぶ軽くなって片手での操作がより楽になりました。V8アニマルプロはパイプが赤色で、このヘッドを組み合わせると3色の統一感が出すぎてしまうのは面白くないところではありますが(上の写真の通り)・・・。

こうして住環境に合わせてアップデートしたダイソン、より使いやすくなって満足度アップです。

掃除機に満足、とはいえウチのように猫がいると、日々床に抜毛が溜まって行くのは仕方ないところで、少なくとも2日に1回、できれば毎日掃除機をかけておきたい。掃除は1日30分程度のことではあっても毎日のことになると面倒といえば面倒。代わりに誰かやってくれないかという願いを叶えるものとしてもうだいぶ前からロボット掃除機というものがあることはもちろん知っていて、拙宅でも4年くらい前に一度導入を考えたことがあるんですが、あちこちにぶつかりながら方向を変えて適当に動いているだけの掃除機を「そんなに綺麗にしてくれないんじゃないの?」と信用していませんでした。前のマンションは電源ケーブル類のやりくりや、家具などの配置の関係で狭く入り組んだ場所が少なからずあり、ロボット掃除機向きでなかったこともあって、ロボット掃除機向きではなく見送りに。しかし、レイアウトがスッキリした今のマンションに環境的な問題は少なそうで、さらに最近は妻が仕事で忙しく、掃除を毎日させるのも悪いなあと思いはじめて、もう一度検討してみることに。

以前のように壁にぶつかって方向を変えてランダムに動くだけ(実際にはぶつかり方に応じて動き方を変えるらしいんですが)のロボット掃除機に、各部屋を跨いでくまなく掃除させようとすると効率的に動くのは難しく、全室をカバーしてくれないことが多かったり、時間を要しているうちにバッテリーが切れて力尽きてしまったりするものだったらしい。もちろんロボット掃除機がすべてをこなしてくれるものとは思っていないけれど、2LDKの部屋くらいはカバーしてくれないと「自動でやってくれる」感がない。しかし、僕が無関心でいるうちに技術は大幅に進歩していて、上位機種ではマッピング機能(カメラやセンサーなどを装備して部屋の形状を認識した上で効率的に動作する)を備えており、この進化のおかげで、マンションの全室掃除はもう実現されているというではありませんか。

もちろん、大手メーカーの上位機種はそれなりのプライスタグがぶらさがっていて、部屋をくまなく掃除してくれると言っても、椅子などを退けて掃除してれるわけではないし、狭いところを掃除してくれわけでもない。ロボット掃除機だけで床掃除を完結させることはできないわけで、その程度のモノのために安くないお金を払うなんて怠け者にもほどがあるのではないかと自問自答してしまう。ロボット掃除機の存在は多くの人に知られていながら、家庭の普及率が低い(ルンバとブラーバで4.5%とのこと)のは、僕と同じように「自分でやるべき仕事をサボるための高額贅沢家電」と思っている人が多いからではないかと思います。

でもよく考えてみよう。掃除(と洗濯)は、生産性がないのに必要不可欠な家事で、だから時間を奪われている感じが強い。これまで仕方なく費やしてきた時間をなくす、あるいは減らす、を実現してくれる技術はものすごく価値が高いのではないか。有意義と思えなかった時間浪費を減らすことができる家電には、それだけの価値があると言えるんじゃないだろうか。買うための言い訳にしか聞こえない感じもしますが、忙しい妻に楽をさせてあげるためのものであればと考えて導入することにしました。

そうと決まれば次は機種選び。海外、国内メーカーを含めて、今や数多くのロボット掃除機がラインナップされている。知名度が高い製品はそれぞれに一長一短ありそうだけれど、掃除する機能において大きな違いがあるわけではなく、どれを選んでも満足できそう。

購入にあたっての条件。
[1] マッピング機能を搭載していること(全部屋を掃除してほしいので)
[2] サポートがしっかりしていそうであること(壊れやすそうなので)
[3] 猫の自動給餌器や飲水器を避けてくれること(留守中でも置いておく必要があるので)

あるに越したことはないが、あまり重視しなかったこと。
・静寂性(基本的には留守中に掃除してもらうので)
・吸引力(全室フローリングなので)
・隅っこの集塵力(そこまでロボット掃除機に期待していないので)

[2]を考えると、一応大手メーカーであった方が良さそうで、そこから[1]の条件をふまえるとルンバ900シリーズかパナソニックのルーロMC-RS800、エレクトロラックスのPurei9、Neato RoboticsのBotvacシリーズあたりに絞られてくる。そして[3]を実現しているのはルンバ(ヘイローモード)だけ、ということであまり悩むことなくルンバに絞られる。拙宅は強力な吸引力は特に必須というわけではなく、強力吸引機能を省略した下位モデルの960なら価格面でもそれほど割高感もないことからルンバ960を選択することになりました。

まずはホームベースの設置。説明書によると前方1.5m、横に1.5mという決して狭くないスペースが必要と書いてあり、置きたい場所は、前方は確保できるものの、横方向はそこまでのスペースはなく、それでも今のところはしっかりと戻ってきてくれます。条件はあると思いますが説明書の条件がすべて、墨守しないと絶対にダメというとこではないようです。ネット情報を見ると、ラックなどの下のスペースにホームベースを設置している人もいるのだとか。

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(この広さで今のところ、支障なし)

拙宅は、段差がほとんどなく、フローリングしかないため、ロボット掃除機向けの部屋である一方、2人暮らしの割には家具や物が多く、そういう意味ではルンバに優しいとは言えない環境。仕様上、通れることになっている幅45センチはクリアしていても、狭い場所が数箇所あります。そんな環境で本当に部屋全体を掃除してくれるのか半信半疑で初回の掃除を実施。

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(ケーブル巻き込み対策は必須。奥のキッチンまで入って本当に掃除してくれるのか?)

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(拙宅で一番狭いところで左に折れてキッチンが奥まで続く)

狭いところまで入って掃除してくれるのかという懸念を抱きながらルンバの様子を観察していると、その狭いところの入り口を少し掃除したところで引き返してしまう。これじゃあ導入した意味ないじゃん、と思っていると広いスペースを一通り掃除したあとにまた狭い場所に戻って、どんどん入り込んでしっかり掃除してくれました。L字型で奥に入る洗面所もベッドサイドも、一番奥までしっかりとカバー。部屋のカタチを認識した上で掃除をしてくれるマッピング機能のおかげで、2LDKの部屋を一通りしっかり掃除してくれました。ルンバは広い場所を先に掃除してから壁際を掃除する仕様であることが謳われていますが、壁際だけでなく狭い場所も後回しで掃除する傾向があるようです。

ヘイローモードを設定した自動給餌器と飲水器はもちろんしっかり回避(ただし60センチ半径という仕様より狭い印象)、高さ10センチの玄関はギリギリのところを少しずつ伝って落ちないなど、行って欲しくないところへの備えも万全。一方で、動かせるモノに対しては、体当たりを仕掛けてどんどん動かしてしまうので、置いてあるドアストッパーを蹴散らしてしまったり、もう1箇所の猫の水飲み器をどんどん押し出してしまう事象が発生、やはり基本的にはモノは置かない、あるいは動かないようにするなどの対策が必要です。あと、ルンバが乗り越えられるとされる2センチ前後の高さの、床に這うタイプの脚は苦手です。

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これ、なんとか乗り越えてくれるんですが、途中でスタックしそうになって見ているとハラハラします。がんばって脱出してくれるとはいえ、本来の目的である掃除を全うしてくれているようには見えず、この種の脚の家具を置かなくて済むのであれば、置かない、もしくは掃除のときだけどこかに上げておく方が無難です。

あと、椅子やテーブルの足をしつこく掃除してくれるので、特にウチのように椅子の脚にフェルトを付けていると溜まってきてしまう猫の毛を掃除してくれるのはとても助かります。

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もちろん完全に取り除くことはできていませんが、この写真の残った毛は手で引っ張っても取れなかったものなので仕方ないところ。ロボット掃除機は、モノを退けて掃除できないし、狭い場所も入れない、即ち普通の掃除機よりも掃除できる範囲が狭くなってしまう。つまりどうやっても掃除範囲が普通の掃除機には及ばないわけですが、このダイニングチェアの脚元のような場所は掃除機のヘッドだと届かないところで、ここを丁寧に掃除できるのはロボット掃除機ならではの数少ない強みと言えるでしょう。

2LDK、75平米の拙宅全体に要した時間はおよそ50分で、ちょっと買い物に行っている間に完了してくれる時間で収まってくれるのもありがたいポイント。これはルンバだけの機能ではありませんが、どのエリアを掃除したかのマップを後でアプリで確認できるから、留守中掃除でやり残したところがないかがわかるのも便利です。ちなみにインジケータでは掃除終了時点でまだ40%くらいの残量を示していました。

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(洋室の未実施エリアはベッド、猫のケージやデスクと椅子など置いてある場所)

物が置いてあるところやルンバが入れないところを掃除していないにもかかわらず、1回の掃除で取れる埃や猫毛の量が、ダイソンで掃除したときよりも多いのはちょっと意外でした。実は丁寧にやっているつもりの普通の掃除機でも、やはり人間がやることなので「かけ残し」があること、ロボット掃除機は自分で掃除できるエリアについては、より時間をかけて掃除をしているために念入りに集塵していること、あたりが原因ではないかと思います。テレビCMなどで掃除機の吸引力をアピールするために白い粉を吸わせたりしているとき、ゆっくりヘッドを前進させているのは、そうしないと吸い残しが出るからであって、家の掃除機をあのゆっくり動作で部屋全体に対してやっている人がいるはずもなく、人が通常やっている掃除機のかけかたはそれほど丁寧ではない、ロボット掃除機は丁寧にやっているという当たり前のことに気づきます。時間をかけて丁寧に埃を吸引するところも、ロボット掃除機の強みと言って良いんじゃないでしょうか。

というわけで、「2LDKを一通り自動で掃除してほしい」という決して低くなかった期待値に応えるだけの賢い掃除ぶりに大満足。部屋をちゃんと認識して行き来する様子を見ていると、子供の頃にSFで見た未来のロボットを見ているかのうようで、技術の進歩って本当にスゴイなあと感心しきりです。もちろん、まだ至らないところもあって、やはり部屋の隅はしっかりトレースしてくれていないこともあって微妙にかけ残しがあるし、通った場所でもあまり丁寧にやってくれていないところもある。このあたりは今後の改善課題でしょう(他メーカー品はもっとしっかりやってくれるのかも)が、ここまで自動でやってくれれば十分。逆に言うと、これ以上進化する余地はあまり多くはなく、あとは細かい部分のブラッシュアップくらいなのでは?と思ってしまうほどの完成度にも驚くばかり。ロボット掃除機なんて面白半分の贅沢品でしょ、と懐疑的な方もいると思いますが、床に物を置かない環境を作れる家なら実用観点でも大変なスグレモノだと言えるレベルになっています。なんて偉そうに言ってますが、マッピング機能を装備したルンバはもう3年前に発表されていたようで「面白半分の贅沢品と思っていた」のは他ならぬ自分のことなのでした。ここまで進化していること、知らないのは僕だけではないと思うので、ルンバに限らず、マッピング機能を装備しているロボット掃除機はもっとアピールした方が良いと思うんですが、メーカーの皆さんいかがでしょう?

最後に余談ですが、ルンバが日本でロボット掃除機市場において60%のシェアを持っている理由は、機能というよりもマーケティングが上手いからなどの理由があると考えられますが、名前も結構効いているような気がします。映画「ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ」でマクドナルドを乗っ取った理由をレイ・クロックが「マクドナルドという名前がイイから。クロックという名前の店で食べたいと思わないだろう?」と嘯くシーンがあります。耳に心地よい名前が親しみを持たれるというのは飲食店に限らず、結構重要だと僕は思っていて、例えばダイソンという名前にはシンプルで力強い響きがあって、これがもしローワン(現CEOの姓)という名前だったら、ここまで名前が浸透していなかったんじゃないかと思えます。昔、パソコンのVAIOが流行ったのもデザインの良さだけでなく名前の良さがあったからだと僕は思っていて、例えば「ウチのVAIO」と呼ぶ人はいても「ウチのFMV」と呼ぶ人は誰も居なかったわけです。ロボットはついつい擬人化してしまうもので、「ルーロ」「Purei9」「Botvac」という名前よりも「ルンバ」の方がずっとポップで親しみやすくて感情移入しやすい。そうなると所有満足度が上がるわけです。他のメーカーも機能的にはルンバとほぼ同等、場面によってはそれ以上の機能を実現しているようなので、ネーミングもひと工夫してみてはいかがでしょう?

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サブ・オーディオを刷新した

拙宅は、じっくり吟味して、本気で音質を追い求めて選んだオーディオがリビングに据えてある。まあ、2LDKなので専用ルームなんてのは夢のまた夢、映画鑑賞も含め、リビングがオーディオ・ルームになっている。マンションではあまり大きな音量で鳴らすこともできませんが。

寝るとき以外は妻と一緒にリビングで過ごしているのが通常の生活で、2人揃って普段はあまりテレビを見ないこともあって自由に音楽を聴くことができる。8年前に結婚してからそのような生活パターンだから、気合を入れて選んだオーディオで好きなときに好きなだけ音楽を聴けるという恵まれた生活することができています(妻が自由に聴かせてくれているおかげ)。

なのに、実は寝室にもサブのオーディオ・セットがある。DENON RCD-CX1というSACD/CDプレーヤー
一体式アンプに、ブックシェルフ型スピーカーのベストセラー B&W CM1という組み合わせのコンパクトなシステムで2008年に購入したもの。2010年からはSqueezebox Touchを再生機としていたので、RCD-CX1は実質アンプとしての使用だったんだけれど、このシステムは価格の割にはなかなか良い音で音を鳴らしてくれている。その音の中心であるB&W CM1は、この価格、このサイズでありながら華やかな高音とローエンド域まである程度出る低音(その分能率は低い)、そして奥行きのある音場が魅力的なスピーカーで、ジャズとロックだけでなくクラシックを聴くようになってからもサブ機としては上々の再生能力があった。

このサブ・システムは独身時代、まだ両親と暮らしていたときに、親がテレビを見ていたりすると音楽が聴けないことから自分の寝室用に購入。前述の通り、結婚して妻と2人で暮らすようになってから使う機会が激減したんだけれども、機材に愛着もあって引っ越した今でもそのまま寝室に鎮座していた。引っ越し前は妻がリビングでビデオ通話(仕事)をしているときがたまにあったので、そんなときにまだ使う機会があったものの、引っ越してからは洋室のひとつを仕事部屋として使えるようにしたため、いよいよ使う機会がなくなってしまった。

ならばもう売ってしまえばいいじゃないか、と思うんだけれども、メイン機以外でも何か音が鳴るシステムがないと寂しい(苦笑)。あと、仕事可能な部屋とした洋室は今後自分の自宅勤務でも使う可能性があり、ここに音楽を聴ける環境がないのも寂しい。

というわけで(?)、従来のサブ・オーディオ環境を刷新し、新しい生活に合った新しいサブ・オーディオ環境を導入しようではないかと思ったわけです。仕事用デスクはそれほど広いというわけではなく、ブックシェルフ型のスピーカーでも邪魔になるし、場所を取るスピーカーをデスクに置くことは妻も望んでいない。となると、ある程度スペース効率に優れつつも、そこそこ良い音で鳴らしてくれるシステムが望ましい。更に言うならば、これまで同様にサブ・オーディオ・システムとして寝室でも使いたい。即ち、寝室と仕事部屋で気軽に移動できるものであって欲しい。

そんな要望に一番近いのは、今や星の数ほど製品が溢れているモバイル・スピーカー。とはいえ、サイズ的制約(ポータブル用途前提なので当然小型)により音場が狭く、どんな製品であっても箱庭的になってしまう。また、検討している用途にバッテリー駆動も必要ない。

そうやって条件をいろいろと付けて行くと選択肢はどんどん少なくなって行く。ようやく見つけたのが B&O BeoPlay A6というスタイリッシュなネットワーク再生対応のスピーカー。壁掛け、天吊り可能であればデスク・スペースを取ることもなく、パソコンの奥に設置すると直接音が聴こえなくなるという問題も壁掛けなら回避できる。しかもDLNAに対応しているため、拙宅のNASに蓄えてある音源をそのまま再生できる。A6は既に発売から2年も経過している(既に生産終了しており在庫品で販売終了らしい)にもかかわらず、発売時にはまだ日本でサービスが始まっていなかったSpotifyやGoogle Chromecastにも対応していて、現時点でも仕様が古びていない(B&Oの先進性が現れている)。

尚、旅行のときに持ち歩くモバイル・スピーカーとしては、同じくB&OのBeoPlay A2を愛用している。このスピーカーはモバイル用途としてはなかなかの高音質で音の響きもナチュラル。いや、実は厳密に言うとナチュラルではない。注意深く聴けば実はそれなりに加工された音であることがオーディオに精通している人ならわかる。でも、限られたサイズで、ある程度広い音場感を出しつつ、情報量豊かで、Fレンジもそこそこ欲張って、ひとつひとつの音をしなやかに出すのは無理な話というもので、それら要素をバランスよく満たすためにはそれなりの加工が必要になるのは仕方がないこと。B&Oの製品は「ナチュラルに聴こえるように巧みに加工・演出された音質」であると僕は思っている。加工・演出されているということは、特性が音源に合っていないとショボい音に聴こえる場合があることを意味しているんだけれど、サイズなどの制約のある中で、B&Oの音はなかなか上手く作ってあって、僕はその音質を愛好している。

そんなBeoPlay A6を家電店で視聴して、納得できる音であったので購入と相成りました。BeoPlay A2と同じ傾向の音色を持っていて、まずまず豊かな情報量、低音域の充実、モバイル・スピーカーより広い音場を実現していて、まさに今回望んでいる音質だったから。豊かで自然な響きを要求される金管楽器・木管楽器、艷やかで柔らかい響きを要求される弦楽器の表現は、この価格帯、サイズではなかなかのもの。

ちなみに同価格帯の競合製品としてDYNAUDIO MUSIC 5という製品があり、こちらも店頭で視聴できた。ところが予想外にモバイル・スピーカー特有の箱庭的な鳴り方でちょっとガッカリ。所謂ピュアオーディオ用のスピーカーではクオリティの高いモデルをラインナップしているディナウディオだけれど、この種のスピーカーではまだノウハウが足りていないのかもしれない(あるいはJBLのように同じブランドでもモバイル系はまったく異なるコンセプトにしているのかも?)。

余談ながら、B&OにはBeoPlay A9という上位モデルがあり、こちらも一応試聴してみたところ、これが実に素晴らしい音で一瞬これにしようかと思ったほどでした。サイズ的制約が少ない(言い換えると大きくて重い)ことで音に余裕があり、小型ハイコンポに引けを取らない音質。いや、小型ハイコンポにも部分的には大型のシステム的な音を出そうという演出があることを考えると、むしろA9の方が無理がなくて自然であるように思える。ネットのレビューではコモリ気味という意見もあり、確かに高音の抜けが特別良いわけではない(見通しが良いわけではない)ものの、音のきめ細かさと柔らかみがあって総合的なクオリティは高いと思いました。こういう傾向の音質は聴き疲れしないもので、そういう意味ではBOSEも似た特性があるんですが、B&Oの音作りの方がより自然で音の情報量が多い。尚、個人的な意見ですが、B&OはBOSEの高級版の位置づけと言って良い性格のスピーカーだと思います。BOSEやB&Oの製品は、機器の正面に姿勢良く座って本気で聴くというよりは、BGMとして心地良く聴くためのものという製品コンセプトなので、本気のリスニングを目的とするのでなければA9の音で不足を感じる人は少ないでしょう。

というわけで音質的にはBeoPlay A9が断然気に入ったんですが、今必要としているのは、あまり使用頻度が高くないサブ・システム用、状況に応じて寝室の仕事部屋を移動させるという用途だったのでA9のサイズと重さはちょっと無理があり、価格も倍以上ということでこちらは見送り、当初から第1候補としていたBeoPlay A6を選ぶことになったというわけです。

さて、持ち帰って早速セットアップ。付属のクイックスタート・ガイドは最低限のことしか書かれていない(オンライン・ユーザーガイドもたいしたことは書かれていない)ものの、無線ルーターへの接続は記載通りの操作ですぐに完了。音を出してみると、店頭で聴いたときよりも好印象、カジュアル聴き用途ならこれで十分と納得できる音質。まあ、騒々しい家電店の店頭ではごく大雑なに音の傾向を知るのが精一杯なので当然と言えば当然です(それでも試聴してみないと何もわからない)。

もともと望んだポイントでもありますが、やはりモバイル・スピーカーよりは音場が広いところが良い。オーディオ機器への要求度がもっとも厳しくなるオーケストラの再生では、金管、木管楽器の響きもまずまず、弦の艶も及第点、A9と較べるとすべてにおいて格落ちは否めないものの、サブ用として聴くには納得できるレベル。低音がモバイル・スピーカーより余裕があるのも期待通り。BGM用、カジュアル用途としては総じて満足できるサウンドで気分良く聴けます。とはいえ、やはりフルサイズのオーディオではないのでスケール感はそこそこ、大編成のオーケストラよりは、音数が少ないジャズやロックの方が上手く鳴ってくれるのは間違いないところ。念の為に書いておきますが、リビングにあるオーディオのように本気でHi-Fidelityを求めて開発された製品を基準にすると、較べることが憚れるくらい音場は狭いし、音質も落ちます。そもそも狙っている方向が違うし、価格も全然違うからそれは当たり前のこと。また従来のサブ機(RCD-CX1+CM1)と較べても、解像度と高音の見通しは劣っています。こちらもA6の方が価格が半分以下であることを考えればこれも当然のこと。特にBeoPlay A6はA9同様に高音域が控えめで、シンバルなどの金物系はあまり響かせない音作りになっているので派手な音色が好みの人には向いていないでしょう。もう少し高音が欲しい場合にはイコライザーで高音を上乗せすれば、シンバル系の抜けが良くなるものの、音の見通しの良さはそれほど変わりません。例えばソニー製品のようなクッキリ、ハッキリ系の音ではなく、あくまでも柔らかく響かせる音作りです。尚、こうした音質傾向のせいか、Wi-Fiでの再生(DLNA、AirPlay)とBluetooth接続での音質差は極小で、恐らくほとんどの人がブラインドで聴き分けるのは難しいでしょう。

そのまんまの名前である「Bang & Olfsen」というアプリで操作することで、BassとTrebleの調整、ラウドネスON/OFF(これも小音量でのBGM用途を想定している証)、ボリュームの調整が可能。設置場所によって「Free(前後左右に壁がない場所)」「Wall」「Corner」の音設定は本体下部のスイッチで切り替える。このセッティングの違いは想定通り、Freeでは低音域全体が強調され、Cornerでは控えめになる設定で、音場感などスピーカーの基本特性が変わるような極端な違いをもたらす設定にはなっていない。このネーミングの指定に合わせなくても好みで選べば良いと思います。尚、このアプリでDLNAから音源再生が可能ではあるものの、曲の検索性はいまひとつ。「ジャンル」から全アルバムを表示できるのは僕にとって必須項目でこれができるのは嬉しいんだけれど、リストされるアルバム一覧にアーティスト名が併記されないため、例えば Beethoven: Symphony #5 が20以上並んで出てきてもどれがどの演奏家であるかわからないところは残念。あと、アルバム一覧でアートワークが表示されないため、ジャケットから直感的に目的のアルバムを選べないところも改善してほしいポイント。ちなみに、拙宅のネットワークプレーヤー YAMAHA WXC-50をレンダラーとして認識してくれるLUMINアプリでA6は認識してくれませんでした。

BeoPlay A6は本体上部をタップやスワイプすることで、曲の再生/一時停止、音量調整できるスタイリッシュさがウリのひとつになっていて確かに操作している様は見た目にも「おっ」と思わせるものがある。一方で、本体からひとたび離れると(普通のリスニングではそうなるはず)何かしらのリモート・コントロールが当然必要になり、DLNA再生の場合は純正アプリからということになる。ところが、iPad(もちろんiPhoneも)ロック画面に簡易操作画面は出てこないし、iPad本体のボタンで音量を変更することができない。DLNA再生はレンダラー操作になる(iPadじたいが音源ファイルを再生しているわけではない)ため、これは仕方のないこと。しかし、アプリを開いたときでもボタンで音量調整できず、再生/一時停止を含め、音楽再生画面を呼び出さないと操作できない。これはかなり不便。しかもこのアプリ、開いてからA6へのネットワーク接続をし直すため、操作できるようになるまで5秒くらい待たなくてはならないという特性もある。リモート・コントロールを前提とするなら音楽再生アプリを使ってAirPlayかBluetooth(それぞれiPadのボタンで音量調整可能)を選んだ方がずっと便利。純正アプリは、曲の検索性と合わせ、DLNA環境での操作性は今ひとつです。DLNA再生だとギャップレス再生もできないので、iPengでAirPlayでの再生がメインになりそう。

ちなみに、BeoPlay A6には物理スイッチがどこにも見当たらない。スイッチとケーブル差込口類は本体中央底辺に集約されていて、蓋で閉じられているので、これらのスイッチは通常の利用では触れないことを前提とした設計ということになる。3.5ミリの入力プラグもこの中にあり、有線での外部入力に使うことはできるけれど、カバーを外さないとアクセスできないということは、それがメインの使い方ではないという製品からのメッセージということ。電源スイッチもこの中にあるため、電源オン/オフも通常はしない使い方を想定しているようです。一応タッチ操作、またはアプリでスタンバイにはできるものの、基本的には電源入れっぱなし、聴きたいときにすぐに聴ける状態で使う(電源コードを差し込んでから聴ける状態になるまで1分かかる)ものという、いかにも外国製品的らしい割り切りがなされています。

尚、無線の接続性については、iPhoneなどではWi-Fiが途切れてしまうところ(拙宅は無線LAN親機が部屋の端にあるので反対の部屋の端までは届かない)、無線ステイタスがPoorの状態でも粘ってDLNA再生を続けてくれています。データ転送量が多いと思われるハイレゾ音源でも途切れないので、無線の接続性は良好と言って良いでしょう(でWi-Fiが切れてしまうとiPadなどで操作できませんが)。

旧来スタイルのオーディオがミニマル・デザインの無線オーディオに変わると部屋がこうなる、の図↓

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NAS音源を再生するためのプレーヤーとして使っていたSqueezeBox Touchは撤去して、こちらはメインオーディオ故障時のバックアップ機として保存。STAXヘッドフォンとアンプがなければもっとスッキリするけれど、これは愛用機なので手放すつもりはありません。余談ながらNAS音源をSTAXで聴くために昔使っていたAirMac Expressを復活させました。

仕事部屋で聴くときは、とりあえずこんな感じで吊り下げる感じにしてみた。手元にあったS字フックとホームセンターで用意した金具と紐であつらえたもので見た目が悪いんだけど、聴かないときには全部外してしまうからまあこれでいいか、という感じです。

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というわけで、用途を考え、オーディオ的パフォーマンスよりもデザインと機動性、機能性を優先したオーディオ製品選びというのもあっていいんじゃないか、という話でした。もともとミニ・コンポの音質は本格的なオーディオ・システムにはやはり敵わないので、サブ・オーディオと割り切ってスタイル優先の製品選びというのもアリだと思います。

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