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趣味の人生を楽しむサラリーマンの日記

インターネット解約訴訟騒動記

今からおよそ1年前にあったインターネット契約の解約トラブルです。同じ境遇にいる人たちの参考になると思い、記録としてここに残しておきます。

第1章:解約したはずなのに
2012年8月19日、確定したクレジットカードの明細を眺めていると「んんん?」。なんと2011年の10月で解約したことになっていたはずの某社のインターネット料金がまだ請求されていることに気付いた。前年の9月13日に電話で解約を申し込み、解約手続き書類とレンタルルーター返却キットが送られてきて両方を送り返したはずだった。なんだよ、とっくに解約したのに、と翌日サポートセンターに電話をしてみることにした。何かの手違いだからすぐに返金してもらえるだろう、とこの時点では気楽に考えていた。

第2章:コールセンターの対応
翌日、電話をして解約したので返金をと要求してみると「調査して検討しますのでしばらくお待ちください」と一旦電話を切る。2時間ほどして折り返しの電話が入る。「確認しましたが、解約申し込みの書類が届いていないので解約していません。レンタル・ルーターは昨年の9月24日に受け取っています」。いやいや書類も送っているはずだ。ただし、送ったという客観的証拠は残っていない。そもそも到着が保証されていない普通郵便で返送することになっているし、某社側での紛失の可能性だってある。解約者が送り忘れてしまう場合も含めて抜け漏れが起こり得る曖昧な解約プロセスなのに、某社側から解約の再確認をすることはなく、ユーザーに解約完了を知らせることにもなっていない。まあ、クレジットカードの請求に1年も気付かないのもいかがなものかという指摘はあるとは思うけれど、それは個人的なお金の管理の話であって解約プロセスとは別の話だ。仮にカード明細をしっかりチェックしていたとしても1カ月分余計に支払い終えた時点でしか気付くことができないプロセスがまっとうだとは思えない。某社の言い分は「一度解約を申し込まれましても、気が変わる方もいらっしゃるので書類が届くまでは解約としていません」。なるほど、そうこじつけるか。しかし、某社自身がレンタルルーターを1年以上前に受け取ったことを認めている。ならば、もうネットが使えない状態であることがわかっているわけで、気が変わる云々は関係ないでしょう、と言うと「ルーターを返してもメールアドレスはご利用になれます」という。言い分を総合すると、解約を申し出てルーターは返したけどやっぱりメールアドレスだけ使いたいので解約するのをやめることにした、という心変わりがあり得ると言っているらしい。では解約書類が届かなかったら、このまま10年でも請求し続けるんですか、と訊くと「はい、そうなります」という。到着が保証されていない普通郵便を指定しているのは他ならぬ某社であり、某社で紛失していないことを証明できないのにそう言い張るのか、などと突っ込んでも、とにかく解約書類が某社の手元に届いていなければ解約はできません、規約にそう書かれていますの一点張り。契約者は規約に合意したうえで契約書にサインしているため、正当だという主張である。とりあえず、まだ解約できていないのだから即刻解約してくれと要求すると「今日(20日)、解約書類を送り直してからだと21日以降の手続きになります。当社は21日以降は翌月解約になります」と機械的に説明する。これだけ強い解約の意思を示し、ルーターがなくて使えない状態なのをわかっているのに、更に来月分もむしり取るのかと、いい加減苛立ちながら問い詰めると「規約にそのように記載されていますので」と暖簾に腕押し。「ルーターは返したけどやっぱりメールアドレスだけ使いたいので解約するのをやめることにしたということがあり得る」という理由で解約は受け付けないという屁理屈解釈へのツッコミや、まだむしり取るのかという問い詰めに対しては「そうは申していませんが、そのように受け取られるのなら仕方ありません」と、そう受け取る方がおかしいとでも言いたげない事務的な返答をしてくる。では、どんなことがあっても返金はしないんですね?と尋ねると「何らかの指導などあれば別で、どんなことがあってもということではありません」と言う。こんな電話での要求には応えるつもりはないので文句があるのなら出る所にも出てくれとでも言いたいようだ。これ以上サポートセンターと話をしても埒が開かない。一旦電話を切り、策を考えることにした。

第3章:手段を探る
まずは消費者センターに相談してみる。「多いんですよ、そういうトラブル。みんな泣き寝入りしているみたいです。誰かが裁判で勝訴したという実績があればいいのですけどねえ。誰か訴えないですかねえ」と予想以上に頼りにならない。詳細に説明しても「確かに納得できないんですが、こちらではどうしようもできません。弁護士に相談してみてはいかがでしょうか」と区役所の無料弁護士相談を紹介される。早速問い合わせてみると区役所の無料弁護士相談は毎週火曜日だけ、当日予約のみということでいつも予約開始時間に電話が殺到し、そう簡単には予約が取れないらしい。普通に弁護士に相談できるものならしたいが当然お金がかかる。過剰支払いの金額は46,000円程度なので、個人の損失額としては決して安くはないとはいえ、弁護士費用を雇ったら簡単に飛んでしまう額でもある。そこでネットの法律相談サイトで、このような状況で返金を求めても勝ち目がないのか、取り返す手段はないのかと相談してみた。一般的にネットなどで何らかの会員になるときに長ったらしい規約が出てきて承認することによって入会することになっている仕組みが良くあるが、全部読む人などまずいないため、裁判では規約に書かれていても現実的でないければその内容が無効になった例があったと記憶していたから、今回の件も同様にならないかと期待してみての質問投稿だった。翌日、ある弁護士から「解約の意思を認識できていたとして返金が認められる可能性が十分にあります。少額訴訟を検討してはどうでしょうか」と回答が付いた。少額訴訟?聴いたことのない言葉だ。調べてみると60万円以下の金額請求が対象で、裁判は1日で結審し、今回程度の金額だと手数料は印紙代1,000円のみ、それに加えて切手代3,910円だけで済むという。つまりお金と時間がかからない、まさに今回のケースにピッタリのシステムであることを知る。泣き寝入りするしかないかとあきらめかけていたが光が見えてきた。金が惜しいというのもあるものの、某社の画一的かつ人をバカにしたやり方が許し難いという思いが強く、早速訴訟を起こす準備を始めることにした。

第4章:起訴
数こそ多くないものの、インターネットにある少額訴訟サイトの情報は充実しており、準備は難しくなかった。訴状テンプレートを見つけ訴状を書き上げるのも思いの他労力がかからない。被告を誰にしたら良いのかわからないので某社のサポートセンターに再度電話。対応者はこれまでと違うが、こちらの人物照会をしてから対応を開始しているので、これまでのやりとりの履歴は確認しているはずだ。訴訟を起こすので被告人を誰にしたら良いか教えてほしいと言うと、少々お待ちくださいのあと、ごく普通に「社長でお願いします」と回答。ここで手の平を返したような対応を期待しいたわけではないものの、どうぞ訴えられるものなら訴えてくださいという態度に見えてしまう。実はこのあたりから裁判そのものに関心を持ち始め、勝ち負けとか手間の話を抜きにして、この訴訟そのものの活動がどうなるかという興味が出てきてしまっていた。訴状を書き、必要な収入印紙、切手を持って、霞が関にある東京簡易裁判所で手続きを行う。受付前にレビューをしてくれる相談室のような窓口があり、手続きについていろいろと教えてくれる。持って行った切手の金額の比率が違っていたが「合計が合っているからまあいいでしょう」。ちなみに地下にある売店で切手も印紙も購入できるので、訴状さえしっかりと準備していけばあとは裁判所ですべて揃えることができるようになっていた。その訴状については「代表取締役社長という肩書は法的には意味がないので代表取締役代表者としてください」と言われ書き直す。訴状の内容を読んでから「なるほどそういうことですか。クレジットカードの明細なんていちいち全部見ないですよね」と同情的な言葉をいただく。ここで共感してもらえても裁判に影響するわけではないものの、少しなりとも法に関わっている人の感覚なので悪い気はしない。社長表記の問題以外はOKだったが法人を訴える場合は法務省に行って法人登記簿謄本を入手する必要があるというのでそのまま九段下の法務省に行って取得、霞が関に戻り正式に訴状を提出した。余談ながら、東京簡易裁判所の地下にあった食堂の夏野菜カレーは結構おいしかった。

第5章:裁判に備える
裁判を迎えるにあたって、理論武装、想定反論などを踏まえた準備に取りかかる。実は映画もドラマも法廷モノが好きで、弁護士気取りでいろいろ考えているのを楽しんでいる自分に気づく。そしてリーガルハイの古美門研介のように相手をやりこめてやろうとあれこれシミュレーションしてみる。そもそも、不確実な解約プロセスを採用していながら、それをリカバリーする仕組みが一切ない。他のプロバイダーでは、2週間以内に解約通知が来なければ問い合わせてください、としているところも珍しくないが、この某社は「解約完了通知を希望する人は解約申し込み時に言ってください」とWebサイトに書いてあるだけで、電話で解約を申し入れたときにそのような説明は受けていないことは不備として指摘できるポイントだろう。また、「当社はルーターの返却と解約は結びついていません」と言ってきた場合には、「解約後、ルーターを返却しない場合には罰金を取ると規約に書いてある。金を取るときは解約と結びつくが返金のときには結びつかないというのは矛盾している」と言ってやろうなど、議論の的になる内容を頭の中で整理していった。

第6章:手の平返る
一週間ほどしてから、簡易裁判所の書記官より訴訟内容の確認が入る。そして証拠としてプロバイダー料金を引き落としていたクレジットカード請求書と、実際に引き落とされたことを示す通帳の記録を求められる。少額訴訟は1回で結審することが必須であるため、証拠類はすべて揃えておかないと判決を出せないことになり、お金と時間がかかる通常訴訟に回されてしまう可能性がある。だから、必要な書類はビッシリと揃っていなければならないらしい。書記官との数回のやりとりを経て、裁判の日程が10月30日に決まり、10月1日、裁判所より原告と被告に裁判所から召喚状が送られた。そして10月4日には某社から拙宅へ封書が届いた。封書の裏には法務部と書かれており、どんな内容かと幾分の緊張をもって封を開けてみる。書いてあった内容は少々予想外のもので、訴訟を取り下げてくれれば全額と裁判費用を合わせて返金するという和解の申し出だった。和解文書の日付は召喚状が発送された翌日の10月2日である。対応が早い!と褒めてあげたいところだがいくらなんでも早すぎるだろう。要するに社内でこの件を精査し、どうするべきかという議論がなされた様子はない。某社にとってこの一連の流れは想定範囲であり、ルーチンワークに過ぎないのだ。まあ、泣き寝入りする人がほとんどだし、訴訟を起こすまでしつこい人は返金することにしておけばいいんじゃね?というのが見え見えである。そもそも訴えられたとしても勝算があるから頑なに規約を盾にして対応し、訴訟することを意思表示しても何も対応しないのかと思っていたが、裁判による解決でなく和解したいと完全にベタ下り状態である。そこまで下手に出ていながら、振込先を書面で送ってほしいという要求に普通なら入っていると思われる返信用封筒が、やはりというかなんというか入っていない。原告の感情を逆撫でしないようにという配慮はなく、ひたすら事務的に徹しているところにこの会社のポリシーがよく表れている。

第7章:和解
和解文書には、訴訟を取り下げてくれれば返金する、と書かれていた。杓子定規にしか対応しない会社というのはここまでで良くわかっているが、裏を返せばハッキリさせていないことはうやむやにしてくる可能性もあるのかもしれない。故に和解文書に法的な効力がないとしたら、訴訟を取り下げたあとに条件変更を言ってくる可能性もゼロではない。もう不確定要素はなくしたいのでここは慎重を期して、10月12日までに返金されていたら訴訟を取り下げること、そして某社が訴訟費用に計上してなかった法人登記簿謄本代とこの書面送信料金も支払うことを条件に訴訟を取り下げると返信する。すると今度は、謄本代と切手代も払う、返金は12日には間に合わない、ということに加えて確認書も添えられていた。確認書は「返金を受けることを条件に訴訟を取り下げることを約束する」「以降、一切の要求をしない」の2項目が書かれており署名を求めていた。この時点で、まだ返金日について一切触れてこないので、確認書の文書を「返金を受けたことを条件に」に変えてくれれば確認書にサインすると返信した。返金が確認できない限り訴訟は取り下げないという意思表示も加えて。尚、今回は返信用封筒が付いてきたが、2回の文書ともに「解約文書を受け取っていないので本来は解約できない」「規約どおりではないが」という、何度も聞かされた文言がしつこく書かれており、あくまでも要求に屈したわけではないといことが行間に滲み出ていた。つけ上がって必要以上の要求をされないように釘を刺しているつもりなのかもしれないが、それは確認書で担保しようとしているのだから折れるなら潔くなれないものなんだろうかと改めて呆れてしまう。結局、10月18日に「返金を受けたことを条件に」と書き換えた確認書が再送されてきて、22日には入金すると書かれており、約束どおり返金された。簡易裁判所に経緯を話して訴訟取り下げを申し出ると「良かったですねえ」と心からの喜びの言葉をいただき、取り下げの手続きに入った。

第8章:終わって考えてみると
ということで欲していた結果は得られたものの、規約を盾に自社の仕組みを一切省みずにすべての要求を拒否しながら、訴訟になれば180度方向転換して応じるというモラルの低い会社が存在していることは非常に残念であり、いつのまにか少し楽しみにしていた裁判を経験できなかったのもちょっと残念ではあった。まあ、これだけでも面白い経験、社会勉強にはなったと思う。振り返ると某社のサポートセンターの人たちはとても良く教育されていた。最初に返金を要求したときに即答せず、数時間後に内部で検討したかのように回答をするところも恐らくマニュアル通りだったのだろう。解約プロセスの不備を突いて揺さぶりをかけると、私個人もおかしいとは思うんだけれどというニュアンスを出しつつも一線を越える失言はなく、徹底的にマニュアル通りに受け答えをしていた。そういう意味でプロとして良くやっていたと思う。ただ、結局は全面的にこちらの要求に応じることになった背景には、電話のやりとりが録音されることをこちらが意識して、腹が立ちつつも大きな失言のないように注意していたこと、解約書類が届かなければ10年でも支払い続けるのかというツッコミに「はい」とルール通りに答えざるを得なかったことなど、結果的に裁判になったら立場が悪くなるような発言をすることになった(こちらが引き出した)ことなどがあったからだと思っている。規約を盾にすれば正しいと言い切れるという態度が結局は墓穴を掘ったんじゃないだろうか。この件に限ったことでなく、ルールがあれば何も考えずにそれを守って行動するという思考停止型の態度が個人的には嫌いだし、そういう姿勢がまかり通るという世の中であってほしくないという気持ちがあることも裁判を起こす動機だった。最後に、お世話になった裁判所のシステムにも一言。いまどき、やりとりがすべて紙というのもいかがなものかと思う。急ぎの時はFAXでのやりとりになり、あまり調子が良くない我が家のFAXを久しぶりに使うのはかなり不安だった。一般企業より10年は遅れているし、これが通常訴訟だったらと思うとぞっとする面倒さだった。ここはさすがに改善してほしいものだ。

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